本氏
 今度はカリフォルニア、西海岸から東海岸に飛びましてニューヨーク州の、やはり「酒類管理局」と訳しています。同じ訳語になるのですけれども、使われている英語は、「ステイト・リカー・オーソリティー」です。免許、取締り等ということですが、ニューヨークでは場所的制限があります。1に学校・教会等から200フィート、約61メートル以内には免許を与えないとあります。これについては、(注1)にありますように、「オン・プレミス」、それから「オフ・プレミス」、先ほどカリフォルニアでは、「オン・セール」、「オフ・セール」という言葉を使いましたけれど、ほとんど同じ意味と考えてください。「オン・プレミス」、要するにその場で飲ませる所、レストランとかバーですね。「オフ・プレミス」は、持って帰って飲むような酒屋さんということですけれども、この両方について教会、学校から200フィート以内には免許を出さないということです。
 次に、2の方へ行きまして、申請場所から500フィート、152メートルほどですけれども、それ以内のエリアには免許数に制限があるとされています。それで、(注1)で、2については「オン・プレミス」に適用するとあるように、500フィート以内の店数に制限があるということで、要するにバーとかそういうその場で飲ませる場所については軒数制限というのがあります。ただし、(注2)ですけれども、2については利便性・有益性等により緩和とあります。この利便性・有益性というのが詳しい説明がなく、よく分からなかったのですが、4軒、5軒と店を開店する場合に、多分地域社会、コミュニティというのでしょうか、その地域で了解を得られれば利便性・有益性ということで許可されるということだと思います。
 それから、ニューヨーク州の場合、知事により任命された委員が3人おりまして、彼らが免許の付与や違反者への罰則を公開審議します。その公開の場に案内されまして、そこでミーティングを行ったわけですけれども、小さな裁判所の法廷という雰囲気でありました。
 それから、30名の「インヴェスティゲイター」(調査官)がいて、行政法違反の取締りを実施しています。ただし、カリフォルニアとは違って、武器は保有していないということでありました。警察が刑法の違反事件を取り締まるということです。
 その次、11ページにいきまして、不適正飲酒への対応で、これはニューヨークの「酒類管理局」の話の続きです。
 IDの確認については自主的にIDで年齢確認を行っており、法令の義務規定はありません。自己防衛のために実施しているということでした。先ほどのカリフォルニアでもそうなのですけれど、ニューヨークでも法律によって21歳以下であろうと思われる人に対して、法律によって年齢確認しろという規定はありません。ただ、売った場合に、もしその人物が21歳未満であれば、それで罰せられますので、店は自己防衛のために、先ほど言いましたように、もしかしたら、20代の後半だろうというような人も含めて年齢確認を行っているというのが実情です。
 販売方法ですが、自動販売機での販売は実質的に禁止されています。それから時間は先ほどのカリフォルニアとは少し違うのですけれども、午前0時から朝8時までとクリスマスの日は酒類の販売は禁止されています。ただし、下の(注)ですけれども、州以下の郡などのレベルで、上記に追加して販売禁止時間等を設けているところもあるということです。
 12ページにまいりまして、先ほど4ページのTTBのところで、連邦政府の機関の再編が行われたという話をしました。ここでそれを詳しく説明したいと思います。
 ATFとTTBの再編理由等と書かれておりますが、同時多発テロの9.11に起因する米国政府組織全体の再編成ということがあります。そして、テロ事件に不安を訴える市民感情に配慮するということで再編されたわけであります。
 具体的に言いますと、古くは20世紀の初頭からですけれども、連邦政府によるアルコール行政というのは、先ほど憲法のところで説明したとおり、徴税という部分がかなりの部分でありました。それについて、部局とすれば財務省というところが管轄していたわけです。
 ATF、見出しには「司法省:ATF」と書いてあります。昨年までこのATFという組織は、「司法省」ではなくて「財務省」に所属していたわけです。この「財務省」に所属していたATFと、それからやはり同じ「財務省」にありました「内国歳入庁(国税庁)」、先ほどの資料の下の方で、「オフィス・オブ・インターナル・リヴェニュー」の話をしましたが、それが後にサービスという言葉を使って、「インターナル・リヴェニュー・サービス」、略してIRSという名称になったのですが、この「内国歳入庁(国税庁)」が協力して、2003年1月まで行政を行っていました。ところが、9.11の事件が起こりまして、アメリカ連邦政府全体の再編成が行われ、例えば、御存じのように「国家安全保障省」という新たな省「デパートメント・オブ・ホームランド・セキュリティー」が新設されたりしました。この「国家安全保障省」の新設が再編の一番大きなものだと思いますが、それに関連して、ほかの既にある省、若しくはその中での部局も再編されることになり、ATFもまさにその中に含まれたということです。
 財務省時代のATFというのは、アルコール、タバコ、ファイアアームですね。ですから、アルコールとタバコと、それから火器といいましょうか銃器、そういったものの製造とか販売の違法行為、ときに脱税とかそういったものを取り締まることに力点が置かれていたわけですけれども、9.11以降、この銃火器、それから新たにエクスプローシヴ(爆発物)というものが加わりまして、特に9.11後はこの銃火器とか火器類、それから爆発物の不正所持とか流通、つまりテロに結びつくような可能性のあるものを取り締っていくことが期待される機関とならざるを得なかったということです。したがいまして、これまでATFは税の中心であった財務省に所属していたわけですけれども、それを2003年に、例えば、FBIという組織がその中にありますけれども、司法省という犯罪捜査を担当する省に移管することによって、テロ対策といいましょうか、そういったものをやりやすくすることを目的に再編が行われたということであります。
 再編後のATFの略称は、本来ならばATFEとなるべきところなのかもしれません。このATFは、現在犯罪捜査機関になっておりまして、アルコールに関してももちろん犯罪捜査ということでやりますが、大体、密造とか密輸とかそういったものを中心に担当しているということであります。ですから、ATFの主な対象物というのがアルコール、タバコというものから銃火器と爆発物の方に移っているという、そういう説明だったと思います。
 それから、括弧の中です。TTB、4ページ、5ページで説明しましたが、新設された財務省における組織ですけれども、そこが酒税に関する通常の税務調査等を現在も担当しているということであります。
 それでは、その次にいきまして、ワシントンのもう一つの省であります「健康福祉省」というところにもまいりました。「デパートメント・オブ・ヘルス・アンド・ヒューマン・サービス」HHSという、日本の厚生省のような役所ですけれども、その中の一つの機関であります「サブスタンス・アビューズ・アンド・メンタル・ヘルス・サービス・アドミニストレーション」。SAMHSAでは、主に麻薬なのですけれども、先ほどアルコールもドラッグとして考えるということでありましたが、お酒とかタバコ、といったものも含めて、最初の丸ポチですけれども、そういったものに関しての予防と治療の分野で活躍する健康福祉省の機関で、麻薬、酒、タバコから国民の健康を守るという目標を掲げた機関です。
 アルコール問題については、未成年者飲酒の取組を行い、一方で大人には節度ある飲酒。括弧の中は先ほどのラベルと同じように妊産婦を除き適度な飲酒を奨励する。妊産婦には禁酒を、それを除いては適度な飲酒を奨励するということです。
 ただし、喫煙問題と飲酒問題、これは別の問題として扱っていて、タバコは、全面禁止といいましょうか、恐らく基本的にはやめるということで、お酒の方は、先ほどの妊産婦は別としまして、成人の適度な飲酒は問題ないという立場をとっていますので、その辺が少し違うということです。
 それから、この組織、SAMHSAの取組の概要として、最初のところに、「国立科学アカデミー報告書」に基づく対策と書いております。
 未成年者の飲酒が原因とされる損失、これは主に交通事故であったり、飲酒から生じるような暴力犯罪ですね。そういったもので損害が出ていて、年間530億ドルという膨大な数字に上がるということを憂慮した合衆国の議会が、ここにあります「国立科学アカデミー」に、この問題にどう対応すべきかということを求め、昨年の秋になされた提言というものを紹介してくださいました。未成年者飲酒を減らすための世論の確立が必要であり、そのためには大人を対象としたキャンペーンが必要である。この場合の大人というのは、主に親と考えてもいいのでしょうが、大人全般、特に親がそういう未成年者の飲酒に対して無関心であったり、中には強要していたり、そういう大人もたくさんいるため、まずそういった人たちに働きかけることを求めるキャンペーンを提唱しているということです。
 2番目に、若者を対象とした宣伝の抑制等ということです。若者を対象とした宣伝には、いろいろなものがありますが、これは基本的には業界との連携、協力関係が必要であります。宣伝以外にも、実はテレビとか映画番組の中で、飲酒を美化したり、飲酒を格好よく見せたりすることのないように、といった提言も、「国立科学アカデミー報告書」には含まれていたということであります。
 規制実現の可能性ということですけれども、繰り返しになりますが、基本的に州法によって、独自に規制が行われているところがあります。連邦政府については、法的な影響力には限界があるといいますか、少なくとも憲法に書かれていること以外は直接的な影響はなかなか与えられないということになりますから、アメリカの場合、市民の日常生活というのは、大体、連邦ではなく州レベルですべて決定されるということであります。
 たまたま先ほど飲酒年齢が21歳と言いましたけれども、それは連邦政府ではなくて州政府の取組でありまして、運転免許証なんかも州によってバラつきがあります。そういうことで、基本的には日常生活に連邦政府はあまり入っていけないということであります。
 その次に、ビール協会というところにまいります。これはワシントンにある業界団体です。1986年に創設されまして、比較的新しい組織ですけれども、実は歴史をさかのぼっていくと、1862年に合衆国の醸造酒、ビール業界では、全国レベルで業界団体をつくりました。そこからダイレクトにつながってくる組織ではなさそうですが、現在では、大手のビール醸造会社ですかね、大手ビール会社のすべてと、中小ビール会社、それと輸入会社の90%ですから、ほぼ大半が会員になっているという業界団体であります。
 その業界が抱える問題点等というところで二つだけ挙げておきました。個々の州による規制の排除と書かれておりますが、これはビールのことなのですけれども、多くの州ではウォールマートのような大きなスーパーのチェーン、そういったところでも売られているのですが、州によっては規制がありまして、そういったスーパーで売れないところがやはりあります。つまり蒸留酒とかワインと同じようにリカーストアのみでしか販売できないのです。ですから、売れる店の数が少なく、売り上げにももちろん影響するわけですから、ビール業界とすればそういった州によってスーパーで売ってはいけないところがあるという状況を何とかなくしていきたいということで、州による規制を排除してもらいたいということを働きかけているという説明がありました。
 卸を通さない購入先の経済的圧力と書きましたけれども、これは小売店側の方からの圧力と考えていいのでしょうか。先ほども話しましたように、大型チェーン店でビールが売られているケースが多く、アメリカの場合、日本と同じように、生販三層システム、スリーティアというシステムで、つまり、製造から卸、卸から小売という形でお店の方に流れてくるというシステムができ上がっておりますが、小売店側とすれば、直接製造会社から購入することによって、安く売ることができるという、そういうこともありまして、現在そういう直接購入したいという圧力をかけているということでした。具体的には、訴訟を起こしていまして、今言いました生販三層システムというものが、ある種自由な取引を妨害しているということで独占禁止法違反ではないかという訴訟を起こしているというふうに伺いました。
 次にまいりまして、やはりビール協会の取組の概要というところです。不適正飲酒等の関係で言いますと、酒類業界として従業員教育等を行い、未成年者の飲酒を減らす努力をしている。これはこちらで聞いた内容なのですけれども、例えば、偽のIDカードの見抜き方を教えているとか、そういった努力をしているのだということをおっしゃっていました。
 広告宣伝関係にいきますと、近年、ビールの広告宣伝に多くの論争がなされているという説明がありまして、論争ですから、二つの勢力、若しくはそれ以上の勢力がありますけれども、一方には規制団体があります。規制団体というのは、要するに飲酒を抑制していこうという団体です。とりわけ未成年者の飲酒、そういったものを抑制していこうという団体ですけれども、そういうところは、基本的には広告というのは飲酒を誘引するものだということで反対という立場です。一方の業界側は、既に自主的なルールで、広告をかなり規制している。これは既に説明しましたけれども、そういったことをやっているので、これ以上の規制は必要なく、適法にやっているという反論をしている。そういうことで論争が起こっているという紹介がありました。
 それから、次にサンフランシスコに戻りまして、サンフランシスコBIDですね。BIDという組織があります。「ビジネス・インプルーヴメント・ディストリクト」という、これは下に書かれていますように、10年ほど前にできましたNPO団体ですね。サンフランシスコの一部の商業地域に土地を持っている地主たちが、100人ほど集まりまして、その地主や不動産のオーナーたちが税金を余分に払うというやり方でお金を出しまして、そのお金を使ってこの組織を創ったということであります。
 地区におけるサービスの高揚を図るための活動をしています。つまり商業地域ですので、多くの人たちが気持ちよく集まってきて安心してそこで買い物なんかができる。そういう地域にするための活動というふうにお考えください。
 実際にどういうことを行っているかというと、クリーンとセーフという二つのことをやっているという説明がありました。もちろんこのNPOは、アルコールのことだけではなくて、例えば、麻薬とかも含めた様々なディスオーダーというのでしょうか、秩序違反、これを防止することに関心を置いています。ただ、アルコールに関して言えば、スーパーでビールを買って袋に入れて通りかかっただけで呼び止められるとは思えませんので、路上で飲酒するということを目的に、お酒をその地域に持ち込んできた場合には、その中止を求める。それから取り上げる。それでも駄目な場合には警察に通報する。そういった活動をやっているということです。
 それから、先ほど出てきました「クリーン」と「セーフ」について御説明します。「クリーン」の方はブルーのベストを着て、6時から20時まで清掃を、「セーフ」の方は、赤いベストを着て、観光客で困っている者とか、公共の施設のごみ箱やベンチをいたずらしたり、破壊したりとか、そういった者に対応するということでした。写真は、これは赤で「セーフ」担当の人です。ちょっと見にくいのですけれど、BIDとかという文字も入っていたというふうに記憶しています。これはどう見てもベストではなくてジャンパーのようです。
 次にまいりまして、カナダに飛びます。カナダといってもトロントだけなのですけれども、トロントがありますオンタリオ州の話であります。そこにおける酒類の管理について話を進めていきます。ここには「州酒類・ゲーム委員会」というのがありまして、バーとかレストランですか、先ほどから出ています言葉で言えば「オン・プレミス」と言いましょうか、「オン・セール」での酒類販売等は、免許制度下で管理する。これは20ページ、21ページのところで話をいたします。
 酒類の小売、これは持ち帰りと書いています。「オフ・プレミス」若しくは「オフ・セール」は、実質的には専売制になっています。これは別の組織、州の酒類管理局というところが管理しています。これはまた22ページ、23ページのところで説明します。
 ただし、西の方にあるアルバータ州では、酒類の輸入、それから保管、小売などは専売ではなくて民営化というか、普通の免許制になっているということです。
 飲酒年齢ですけれども、飲酒が可能な年齢は、アメリカと違って19歳以上ということになっております。ただし、その下の三つの州では18歳ということになりまして、その辺がアメリカとは少し違うところです。日本とももちろん違います。
 未成年者の飲酒、購入、所持は禁止されており、未成年者への販売も禁止されている。これに対しては、また21ページのところで触れます。
 20ページ、先ほど出ましたオンタリオ州「酒類・ゲーム委員会」(AGCO)という組織です。この組織の行う規制等の概要というところで、これは「オン・セール」というのでしょうか、酒を販売する飲食店と、それからもう一つ、ビールとかワインメーカー直営の小売店、これはその場で飲ませるという意味ではなくて酒屋さんですけれども、それに関してもこのAGCOが小売免許とそれから製造免許を出しているということです。
 下にありますように、先ほど言いました「オン・セール」は1万7千店、それから酒類メーカー直営というのが800店。800というのは結構多い数字でありまして、そういったところにもこのAGCOが新たに免許を付与しているということであります。
 次に、広告規制と未成年者の飲酒に関する規制。これは基本的にAGCOが責任を持って行っていまして、これについては先ほど言いましたけれども、21ページの方でまた御説明します。
 21ページにいきまして、AGCOの続きですが、未成年者に関する規制等ですが、酒類免許法に基づき19歳未満と思われる者からIDの提示を受ける義務があるということです。先ほどのアメリカの場合は、義務ではなくて自主的なルールだったのですが、このオンタリオ州では、必ず若そうに見える人にはIDの提示を求める義務があります。ですから、それを求めなかった場合には、その時点で違反ということになりまして、起訴されたり、処分を受けたりということが考えられます。
 広告規制についてですが、酒類免許法によって広告宣伝を規制し、またその規制がどういったものであるかという具体的なものを示すガイドラインというものを定めて冊子にして、それを発行しているというようなことをしております。
 具体的にどういうことが禁止されているかというと、広告で未成年者を使わない、登場させないということですね。未成年者にアピールするような広告は禁止されているということです。ラベルも広告の一つとみなされていて、そういったラベルをつくるときにもガイドラインに沿った形でなくてはいけないということであります。
 次に、22ページの方に行きまして、先ほどのオンタリオ州では、二つの部局でまだ小売が規制されているということでした。もう一つの部局ですね、「オンタリオ州酒類管理局」、LCBOです。下に「リカー・コントロール・ボード・オブ・オンタリオ」という言葉が出ておりますが、その略語です。ここでは主に「オフ・プレミス」、その場で飲むのではなくて家へ持って帰って飲むような小売に関することと、輸入・保管・卸に関することを行い、この政府機関が直接行っていることから、ここでは専売制と書かれています。ただし、このLCBOで扱わないものとしては、既に先ほど触れましたように酒類メーカーが直接売るための免許については、先ほどのAGCOというところから免許を受けるということです。輸入に関しては、このLCBOという組織でしかできないということです。そして局に入ってくる利益については、連邦政府、州政府に配られます。
 オンタリオ州内に小売店は1,600店あって、そのうちの800店というのが、今言いました直営店若しくは代理店です。直営店は597店というふうに説明をされていました。それから代理店が191店、「エージェント・ストア」というふうに言われており、合わせると800店弱になります。
 小売価格ですけれども、統一価格がとられております。この州内ではどこへ行っても同じ値段でお酒が売られており、最低価格も設定されています。なぜ設定するかというと、安く売り過ぎると、消費者の需要が当然のことに増えて、社会問題を引き起こす可能性があるので、あまりに安くしすぎないようにという、そういう配慮からだという説明がありました。
 次に、LCBOの社会的責任ですが、直営店・代理店の従業員等のトレーニングとして、未成年者とおぼしき者に対する接客の仕方とか、それについてはほかのところと同じようなことをやっていましたけれども、そういうことをやるということで、未成年者等の飲酒を未然に防止をするという責任が負わされております。
 それから、一般市民の責任ある飲酒を奨励する。例えば、運転するであろう人、若しくはする人にお酒を勧めないというふうな責任があるのですよというようなことです。つまり飲酒とはどういう問題を引き起こす可能性があるかというようなことを自覚させるという啓発活動を行っているということであります。
 それから消費者教育。特に子供とアルコールについて保護者に対して教育するとか、そもそもお酒とはどういう商品なのかという、そういう説明ですね。お酒に関する基礎的な知識を教えるということです。やはりこれも啓発活動と言えるものだと思います。そういうことをやっています。
 それから、輸入・販売する製品の品質保証ということです。LCBOには、品質管理部門というのがありまして、人体に有害な物質が混入されていないかどうかとか、そういったものをチェックしているという説明がありました。
 24枚目、最後のペーパーになりますが、ARAPOという組織を訪問しました。オンタリオ州には「オンタリオ州保険協会」(OPHA)というNPOがあるのですが、ARAPOはその一プロジェクトという位置付けでございます。ARAPOの正式名称は「アソシエイション・トゥ・リデュース・アルコール・プロモーション・イン・オンタリオ」でして、「アルコール・プロモーション」は広告と訳して構わないと思いますが、その広告の影響力を「リデュース」する、つまり弱める、規制するための組織、「アソシエイション」ということです。
 ARAPOがどういった活動を行っているかと申しますと、教育を通じて公共の健康と安全、酒類広告規制ガイドラインの啓蒙に寄与ということですが、行き過ぎた広告が出てきますと、それに警鐘を鳴らす。つまりそういった広告をやめるように圧力をかけるということです。具体的には、広告代理店などへ苦情の手紙を書くとか、そういったことをやっているという説明がありました。
 それから、未成年者飲酒等への取組。これもガイドラインでは、例えば、25歳以下に見えるような人を広告は登場させないことによって、若者が飲むものであるというイメージを払拭するような取組。幾つかのガイドラインがありまして、そういうものを守らせるという団体であります。
 教育キャンペーンというと、先ほどのところにもありましたけれども、親にも子供の飲酒などに関心を持ってもらうよう働きかけるということになります。
 それから、酒類の広告規制の推進等ということです。これもやはり未成年者に与える影響、特に広告というものが非常に影響を与えるのだという認識から、その広告に対して非常に目を光らせているということが説明されていました。
 今何をやっているかという説明の中に出てきたのが、広告の事前承認ということですね。以前は広告の事前承認制度があったのだけれども、いつのころからかなくなってしまったのでそれをまた復活させるということを現在求めているのだという説明がありました。
 全体、非常に早口で、なおかつ自分では分かっているつもりですけれども、うまく伝えられなかったところもあったかと思います。時間の制限もありまして、この辺で終わりたいのですが、一つだけ、以前にこの懇談会で須磨先生からお話のあった、カナダのトロントでは外でお酒を飲んではいけないのだということで、なぜそうなっていったのかという背景を調べてきてくださいというふうな御依頼があったと記憶しているのですけれども、申し訳ありませんが調べられませんでした。それで帰国後、比田勝企画係長が問い合わせのメールを送ったりして調べているのですが、まだ返事をいただけておりませんことを申し上げておきます。どうも失礼しました。

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