奥村座長
 ありがとうございました。
 それでは、社会的要請への対応状況に移らせていただきますが、最初に4つの組合を代表して、日本蒸留酒酒造組合の草部専務理事から全体的なことをお話しいただいて、その後各組合の方から追加的に御説明いただくという順で進めたいと思います。
 では、草部さんよろしくお願いします。

草部専務理事
 酒類業界には、流通を含めまして幾つかの団体があるわけですが、毎年世話役的な幹事組合というのを決めております。今年は蒸留酒組合が幹事組合ですので、蒸留酒組合から御説明させていただきます。
 お手元の資料の中に、「酒類製造業界における社会的要請への対応の概要」というタイトルで4つの組合連名の資料がございます。1ページ、2ページに6つの項目でまとめた表がございます。この項目につきましては、本日この懇談会に出席しております酒類製造業の4つの団体が共通して取り組んでいる事柄でございます。1番目としまして、酒類の広告・宣伝に関する自主基準の策定でございます。この件につきましては、4ページに、この自主基準そのものを載せておりますので参考に見ていただきたいと思います。
 この自主基準の策定には若干の経緯がございます。昭和61年、当時中央酒類審議会から、未成年者飲酒禁止の趣旨を広告面に挿入するなど、業界の自主ルールを設けることといった提言がございました。これを受けて酒類業界の中に飲酒に関する連絡協議会というものを設けて検討を始めました。そして昭和63年に未成年者飲酒禁止の注意表示の自主基準を作成いたしました。その後、社会的な情勢の変化にあわせて何回かの改定を経て現在の自主基準に至っているということでございます。
 改定に当たりましては、自主基準の適用媒体としてテレビやインターネットといったものを加えた、あるいは「空き缶はリサイクル」といったマナー広告を加えた、あるいはテレビ広告の長さ、放映する時間帯といったものについても制限を加えております。ここの資料の中には主な項目をまとめてありますが、未成年者飲酒禁止の注意表示、リサイクルの啓発及びアルコール問題への配慮を基本といたしまして、適用媒体の範囲は新聞、雑誌、ポスター、テレビ、インターネット、さらに注意表示の文言と文字の大きさについても制限しております。また、特にテレビ広告につきましては、広告時間の長さ、番組内容、時間帯について細かく基準を設けております。
 2番目は、未成年者飲酒対策への取り組みでございます。この項目の内容は、ほかとも少し重なるかもしれませんが、非常に大きな社会問題でもありますので、独立した項目としております。まず、酒類容器に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示(国税庁告示)というのがございます。これも当初は中央酒類審議会の答申を受けまして、平成元年に国税庁告示として表示規準が制定されたわけでございますが、この段階では、酒類の自動販売機に対する表示に限られておりました。その後平成9年の改正で酒類容器への注意表示が加わって、現在に至っております。これは酒類業組合法に基づく義務的表示になるわけでございます。
 それから、上記の自主基準の中で、「未成年者を対象とした雑誌・テレビ番組への広告を自粛するとともに、未成年者を広告のメインモデルにしないこと」等を規定しております。これは、先ほどの自主基準の中に、平成5年の改正で加えられております。
 それから、イッキ飲み防止連絡協議会への資金提供というのがございます。このイッキ飲み防止連絡協議会とは、「イッキ飲ませ」によって、子供を失った親が中心となりまして、平成4年に設立された市民団体でございます。この協議会が毎年春に行っておりますイッキ飲み防止キャンペーンに酒類業界も賛同して、資金提供をしております。
 それから、未成年者飲酒防止強調月間への協賛というのがございます。これは関係省庁連絡協議会におきまして、毎年4月が未成年者飲酒防止強調月間とされましたことを受けて、国税庁などが行っておられます広報活動に酒類業界が協賛をするという形のものでございます。
 それから、低アルコール度のリキュール類等への酒マークの表示というのがございます。これにつきましては、資料の5ページに、この表示の自主基準を載せております。これを参照しながら御覧いただきたいと思いますが、これはもともとは、国民生活センターからの要請を受けて、日本洋酒酒造組合が検討されたものでございます。低アルコール度のリキュール類などの酒マークの表示に関する実施基準ということで、平成12年の6月から実施されております。もともとは日本洋酒酒造組合が検討して開始されましたが、現在は酒類業界全体で、6ページに示しておりますようなお酒マークを使っていいということになっております。
 項目の3番目でございますが、社団法人アルコール健康医学協会を通じた健康問題への取組でございます。資料にございますように、このアルコール健康医学協会は、昭和55年に厚生省所管の社団法人として設立されております。平成6年に、現在の財務省との共管となった時点で、酒類業界からの賛助会費を増額しまして、これが公益事業関係収入の9割を占めております。現在、アルコール健康医学協会への厚生労働省からの補助金はゼロでございます。国民の健康の保持と、アルコール飲料による疾病の予防、さらに、それらと調和した酒類産業の健全な発展に寄与することを目的として、酒類業界から企画委員を派遣して、各種事業の企画・立案に協力しているということでございます。
 以上でお分かりのように、酒類をみずからが製造販売している酒類業界から独立した形で、この社団法人アルコール健康医学協会を設立して、幅広く健康問題に取り組んでいただいているという形になっております。
 それから、ここで作成されました代表的なものとして、適正飲酒のポスター、パンフレット、ビデオの作成・配布、また機関紙として「お酒と健康」というものがございます。情報誌「NEWS&REPORTS」の発行・配布、それから小中高向け未成年者飲酒防止教材の作成・配布、それから講演会を通じた啓発活動と、医学関係学会への助成といった様々な角度から取組をなさっております。
 項目の4番でございますが、妊産婦飲酒に関する注意表示の実施でございます。今年の5月から6月にかけまして、酒類製造業者を中心に、この妊産婦飲酒に関する注意表示を実施しております。社会的関心の高まりに配慮し、今年の春から各組合がそれぞれに検討を始めております。各社の自主的な判断により、準備が整い次第表示するということでございます。表示内容は必ずしも統一されてはおりませんが、その共通する趣旨は同じものでございまして、具体的な文言は2つございます。「妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります」、「妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響する恐れがありますので気をつけましょう」という2つでございます。
 5番目としまして、リサイクルへの取組でございます。酒類容器のリサイクル問題は酒類業界共通の課題としてとらえておりまして、平成10年の9月に「酒類容器等に関する協議会」を立ち上げて地道な活動を続けております。平成11年4月にはリターナブル瓶とワンウェイ瓶の取り扱い、平成13年1月にはその他紙製容器包装、その他プラスチック製容器包装識別表示の運用マニュアルの策定、平成13年8月には段ボールの識別表示マークの実施、平成15年2月にはガラス製容器のプラスチック製キャップ識別表示に関するマニュアル改正、平成16年1月には容器包装リサイクル法改正に向けての意見交換会といった活動を通してリサイクル問題へ取り組んでいるということでございます。
 最後の6番目でございますが、公正取引の確保という項目がございます。この公正な取引環境の整備ということで、資料にございます指針、酒類ガイドライン、自社基準とを取り上げております。自社基準の取引先への提示及びその遵守体制の構築、公正取引遵守宣言及びその自己点検評価への取組、酒類の公正な取引環境の整備と実現を目指しているということで、不当廉売を助長するような取引環境の乱れというものが、ひいては未成年者飲酒、あるいは不適正な飲酒につながるといった認識に基づいております。このことは社会的要請への対応という意味では、酒類業界に共通の喫緊の課題であると認識しているところでございます。
 以上、6つの項目に分けまして、酒類製造業における社会的要請への対応の概要ということで、業界共通の取組について御説明させていただきました。この社会的要請への対応という意味では、資料にあります以外にも、それぞれの業界、あるいは酒類メーカーで独自の取組をしておられるところがあると聞いております。引き続きまして、各業界、あるいは酒類メーカーから、それぞれ御説明いただきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。

奥村座長
 では、引き続いてよろしくお願いします。
 最初に、日本酒造組合の方からお願いいたします。

辰馬会長
 先ほど淺見副会長からこの分野まで踏み込んだ発言をいただきましたけれども、私どもは、文化力という項目でくくって社会的使命を果たしていこうというスタンスでございます。消費者の視点に立った需要開発ということを先ほど申し上げましたが、零細企業の、しかもファミリーカンパニーの集まりというのが、清酒業界の特徴でございまして、お客様は我々に何を期待しているかといいますと、各社が同じ酒を造ることではなくて、それぞれが規模に応じ、その文化に根ざしたいろいろな特徴のある酒を造って、またそれを地方地方の自然気候、文化とともに楽しんでいただくということを望んでおられるのではないかというふうに思います。私は、兵庫県灘の蔵元でございますが、資本の論理から言いますと、すべて統合して、灘の五社でいいと思うんです。それで十分コストも下がりますし、企業的にはその方が成り立つと思います。だけどそれでは、お客様の期待に応えることにはならないのではないかというふうに考えております。お酒を売るというよりも、感動を売るという視点から考えますと、やはりそれぞれの企業企業が、長い歴史と文化に基づいたポリシーで、自慢の酒を造り、お客さんとのハッピーな出会いを作っていくということではなかろうかというふうに考えております。なかなか経営論と文化論とが相折り合わないところもありまして、酒造組合中央会としては、強いものが生き残っていくという競争原理も業界を強くする1つの大きな柱ではありますけれども、そういう競争と一緒に、日本をやさしい文化国家にしようという視点からの共生というものとバランスをとるということが、業界運営の大きな柱になるのではないかと考えております。
 資料の7ページでは、そういうスタンスについて書いてあります。それから8ページについては、先ほど淺見副会長からほぼ説明があったとおりでございます。こういうマトリックスを認識しながら使命を果たしていくということでございます。
 今苦戦しておりますのが、リユースびんの開発、500ミリリットルと300ミリリットルの小瓶の共同化でございます。私どものメインの1.8リットル瓶が、「冷蔵庫にも入らない」、「置き場所がない」、「御用聞き配達ではなくて全部店頭買いだ」といった理由から、どんどんとライフスタイルに合わなくなってきています。一番優秀なリサイクルの優等生に対する需要が減ってきて、ワンウェイ容器、あるいは紙パック容器の商品に対する需要がどんどん増えてきていることから、やはり何か共通のものを作らなければいけません。中身はそれぞれの文化毎の個性あるものでありながらも、資材は共通でいいと思うのです。しかし、今それが逆になってきているのです。中身が画一化してきて、資材はばらばらという状況です。これをどうしても逆転させなければいけないというふうに思っております。まだ実績は上がっておりませんけれども、これからは、社会環境委員会で推進してまいりたいと思っております。この社会環境委員会では、公正取引の問題も取り扱っております。
 それから健康問題についてですが、先ほど本間先生に御指摘いただきましたように、日本人の食生活の問題でございます。先ほど、健康の一人歩きは危険だというふうに申し上げました。これについては、マスコミやテレビがどんどんとあおる傾向がありまして、本当に正しい情報を伝えるのはなかなか難しいのですが、やはり我々としては、「これが入っているから健康にいい」というスタンスではなくて、バランスのとれた和食、ライスパワーといったもの、食生活を楽しく愉快に日本酒を楽しみながらやっていただくことがそもそもの健康であるというスタンスで臨みたいと思います。
 それから需要開発の方策としては、今お酒テラピーといった癒しの問題と、それから宣言にもございましたように「日本酒で乾杯!」ということで、もっともっと日本人に日本を取り戻していただこうということでございます。洋酒の業界の方もいらっしゃいますが、洋物ばかりで盛り上がるのではなくて、もっと日本本来のDNAが活性化する日本文化を取り戻すため、これから乾杯運動を推進いたします。今までにも乾杯運動をやったことがありまして、そのときは我々からのメッセージでして、業界サイドに立った「お願いしますよ」という運動だったのです。ですが、今回は第三者の方を中心に発起人をつくりまして、有識者、あるいは芸能関係、スポーツ関係、医学関係といった各界の皆さんに入っていただいて、乾杯コールを盛り上げていこうという運動をやっております。その中で、お酒の正しい飲み方、あるいは正しい情報といったものを織り込んでいくことができるのではないかと考えております。零細企業ですけれども、幸いにして、全国に蔵元がございます。中央会が商売しているわけではありませんので、中央会はそういう仕掛けを作って地方に連動させ、できるだけ蔵元と消費者の直接的な接点を作っていこうということでございます。そこで、社会的使命といいますか、健康問題にしても、文化にしても、それを啓蒙していく、正しい飲み方を啓蒙していく、そういう機会がつくれるのではないかと考えておりました。そういう運動をこれから進めていくということでございます。
 スタンスに関しては、先ほど淺見副会長から申し上げたとおりでございます。
 そこで、若い人にもっと関心を持っていただくということが、我々の課題でございます。私は5年ほど、明治大学の経営学の特別講師として若い学生にお酒の話をさせていただいておりますが、学生の方々は非常に強い関心を持っています。ですが、彼らは日本酒に触れたことがほとんどありません。学生のレポートを見ると、全部「飲んでみたい」というふうになっておりますので、今日は大学の先生方がたくさんおられますし、ぜひそういった食生活学、あるいは心の平和学、地域学、文化に結びつくような、何か日本的な美意識を持った学生がどんどん増えてくるように、授業の中でやっていただきましたら非常にありがたいと思っております。やはり、若い頃から、味覚及び食生活がしっかりしていないと、なかなかうまくいきません。幸いスローフード、スローライフといったことが少しずつ聞こえてまいりました。これは日本酒にフィットする流れですし、このトレンドをぜひ日本酒業界に引っ張り込まなければいけないというふうに思っております。キャンパスの中でも、何かそういう美意識を持った学生がどんどん育っていくように、ぜひ育てていただきたいと願っております。
 それから、大分改善の方向には来ていると思いますけれども、今の税制は相続税等の点で零細企業の事業継承が非常に厳しい状況でございますので、事業用資産の継承にできるだけ税をかけないでいただきたいと思います。文化とは関係ございませんが、文化のもとはそこだと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

奥村座長
 ありがとうございました。
 では、次の組合の方お願いします。

後藤氏
 日本蒸留酒酒造組合は、現在79社でございます。先ほど草部さんから説明いただいたとおりでありますけれども、今の辰馬さんと違った観点からお話を申し上げたいと思います。
 79社を代表して、私ども宝酒造が取り組んでいる具体的な形のものを御説明させていただきたいと思います。
 まず、私ども宝酒造の企業理念をお聞き願いたいのですが、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて、人間の健康的な暮らしと、生き生きとした社会づくりに貢献します」というのが私どもの企業理念でございます。そして、もう一つ行動規範がございまして、「消費者の生き生きは私の生き生き」という形になっておりまして、まさに社会的要請にフィットした企業理念であるというふうに自負をしております。すなわち、お客様の満足と社会の満足が両立する、新しい価値の創造に努めているということでございます。
 少し具体的に3つの観点から申し上げたいと思います。1つ目は、環境への取組についてということ。2つ目に、未成年者の飲酒防止、適正飲酒の啓発についてということ。3つ目は社会貢献活動ということ。この3つの観点から簡潔に述べさせていただきたいと思います。
 まず1つ目の環境への取組についてということでありますが、私どもでは、緑字決算報告書を作成しております。これは新聞等でもいろいろ記事にしていただいていますので、御存知かもしれませんが、資料には宝緑字決算報告書の最新のものを載せておりますので、後ほど御覧いただきたいと思います。若干説明をいたします。
 当然、企業という意味ではいろいろな事業活動がございますけども、この緑字決算報告書は、平成10年より事業活動に関して環境面でも収支を報告するという趣旨で始められました。もう少し具体的に申し上げますと、緑字決算とは、原料調達から消費に至るまでのプロセスで発生する環境負荷の中から重要と思われる14項目、例えば炭酸ガスの排出量とか、電力の使用量とか、あるいは水の使用量といったものの改善度をエコという総合指標で表したものでございます。その指数は、環境にやさしい施策を行えばプラスエコになります。また環境に負荷をかければマイナスエコとなります。平成9年を基点にいたしまして、平成10年以降に幾ら改善できたかを指標で表しております。詳細については後ほど御覧いただきたいと思います。これが環境への取組の1つです。
 2つ目に、リサイクル社会への対応についてということで、当社では、まず4Rの活動の実践を行っております。容器等のリサイクルにつきまして、頭文字をとって4Rと呼ばれることをやっております。1つはリヒューズ、これは廃棄物の発生回避、廃棄物を発生させないということです。後で具体的に申し上げます。それからリデュース、これは容器包装の減量化です。それからリユース、これは再使用です。そしてリサイクル、これは再資源化ということであります。この4R活動を実践しているということでありまして、ここでは2つ申し上げたいと思います。まず1つ目は、リヒューズであります。廃棄物の発生を回避しているということにつきましては、酒屋さんでしょうちゅうの量り売りをやっているシーンを思い浮かべていただきたいんですけれども、これは、工場から酒販店にタンクを直送いたしまして、タンクは1キロリットルのものと200リットルのものがございますが、お客様が空のペットボトルを持参し、必要なだけ詰めて購入しているのであります。この取組につきましては、平成10年より実施しております。量り売りにつきましては、資源の節約と廃棄物の削減にとって究極の販売方法であると自負しておりまして、発売開始以来、平成16年3月までに2.7リットルペットボトルで約220万本、段ボールで約36万枚が節約されるという計算になります。今酒販店でと申し上げましたが、全国の197店で展開しております。ぜひ一度お試しをいただきたいと思います。
 それからもう一つのリユース、再使用でありますが、これは販売店を通じまして、お客様から返却された空びん、これは1升びんとか700ミリリットルのものとかございますけれども、これを再度洗浄して使用するシステムでございまして、主に1升瓶で行われております。これは清酒もしょうちゅうも一緒でありますけれども、当社ではさらに独自に中容量の720ミリリットルのものでも行っております。これも平成6年よりリターナブル化しているということであります。
 それから環境にやさしいということでは3つ目になりますが、ステイ・オン・タブ形式の導入ということであります。平成元年に私どもは、国産製品では日本で初めてプルタブにステイ・オン・タブ方式を導入いたしました。従来は缶からプルタブが分離されていましたのが、ステイ・オン・タブ方式といいますのは、缶を開栓してもプルタブが缶に残るという方式でして、ごみの軽減には極めて有効な方式であります。今はほとんどこのステイ・オン・タブになっておりますが、私どもが初めて導入したということであります。平成2年には、酒類製品でも初めてステイ・オン・タブ方式を採用いたしました。これが環境にやさしい取組でございます。
 2番目に、未成年者の飲酒防止、適正飲酒の啓発についてということで、資料の方に、「いい飲み方あなたと考えたい」という小冊子がございますので、これも後ほどお読みいただきたい。
 当社では、昭和61年から、節度ある飲酒習慣の定着をねらいまして、飲めないとき、また飲みたくないときには、お酒を勧められてもノーと言いましょうということで、「セイ・ノー運動」を展開してまいりました。そして適正飲酒啓発パンフレット「セイ・ノー読本」を発刊いたしました。現在は、「セイ・ノー読本」は、「セイ・ノー!プレス」という形になりまして、新たに展開しております。これが適正飲酒の啓発についてということであります。
 それから、3つ目に、社会貢献活動であります。これは他社でもたくさんやっておられると思いますが、私どものやっていることにつきまして、3つほどお話を申し上げたいと思います。
 まず1つは、「クリーン缶ウオーキング」の実施ということで、当社では平成3年から、「クリーン缶ウオーキング」という市民参加型環境ボランティア活動を実施しております。これは湘南海岸で行う清掃活動でありまして、いわゆる缶拾い、ごみ拾いでありますけれども、毎年新聞で公募いたしました中から数百人の方に参加していただいております。
 2つ目に、「宝お米とお酒の学校」というものを今年から開設いたしました。これは、家族参加型の催しで、親子が参加していくということでありますが、遊びながらお米づくり、お酒づくりを学ぶプログラムとなっております。今年初めて千葉県で開催いたしました。親が子供に穀物をつくることの大変さを教えるということで、次世代に自然の尊さを伝えていくことを目的としております。
 3つ目に、ユニバーサルデザインという言葉を御存知かと思いますが、私どもでは平成7年から、目の不自由な方の誤認飲酒防止のためにチューハイの缶ぶたに点字で「お酒」と表示いたしました。さらに平成14年に酒類の紙パック製品のキャップ部分にも同様な表示を行っています。私どもの取組について御説明申し上げました。以上でございます。

奥村座長  ありがとうございました。
 次の組合の方お願いできますか。

中村専務理事
 ビール酒造組合では、お客様に近いところでどんなことをやらせていただいているかについて、2点ほど御紹介させていただきたいと思います。
 資料の3ページ目を御覧いただきたいと思いますが、まず1つは共同広告というものでございます。これは加盟5社の連名で、新聞、雑誌、女性誌、週刊誌等に、長年、広告を出させていただいているのですが、お手元の資料の中にもその現物がございます。昭和43年から始めまして、最初は需要喚起とか減税要望とかいったことでやっておりましたが、平成元年からは、「適正飲酒」、「未成年者飲酒防止」に変えまして、さらに平成8年には「イッキ飲み防止」、平成9年には「妊産婦飲酒防止」というふうに、時代の移り変わりとともに訴えるものを少しずつ変え、またデザインも変えているということで、この資料1から資料8に、平成8年から直近のものまでをつけさせていただいております。
 資料9の赤ちゃんのイラストでございますが、これが妊産婦飲酒防止の雑誌広告でして、日本雑誌広告大賞金賞をいただいたものでございます。金賞をいただいたということは、長年継続してやってきたことが評価された、あるいは認知されたということなのかと思います。この妊産婦飲酒注意広告が高じまして、先ほど御説明がありましたように、今年の6月からの商品のラベルへの妊産婦、あるいは授乳期の女性の飲酒注意表示に発展いたしまして、今日は机の上に、実際に表示された商品が4種類ほど飾っていただいているようでございますので、ぜひ御覧いただければと思います。
 もう1つは、未成年者飲酒防止ポスター・スローガン募集キャンペーンということを平成14年度から始めております。これは全国の中学生と高校生に、未成年者飲酒の問題を考えていただきたいということで、スローガンの募集を始めたものでございます。昨年度の最優秀賞がこちらに飾ってあります2枚のポスターでございまして、最優秀商品をポスターにして、国税庁さんを初め、いろいろなところで御活用いただいているということでございます。中学生の女の子のデザインと高校生の男子のデザインがございます。未成年者飲酒防止ポスター・スローガン募集キャンペーン2年目の昨年、新しく学校賞、つまり、学校全体として取り組んでおられるその取組を評価させていただくという3つめの部門を設けまして、昨年は、見城美枝子先生に審査委員長になっていただき実施いたしました。本年も第3回目をやらせていただくつもりでおります。
 各社が、従前からお酒に関するいろいろなものを出しておりまして、それらについても用意させていただいておりますので、御覧いただければと思います。
 以上でございます。

奥村座長
 ありがとうございました。
 それでは、洋酒酒造組合の方お願いします。

高梨氏
 各酒造組合さんから御説明がありましたが、洋酒についてもほとんど同じ活動をしております。社会的要請ということで言いますと、先ほど業界全体でまとめた6項目の内容がございます。私は、総合酒類企業と言われておりますサントリーから来ております。各組合にも所属しております。ビールメーカーもおおむねそうですが、しょうちゅうも販売しておりますし、ワインも販売しておりますし、洋酒も当然販売しているということで、各業界での活動に参画し、あるいはこれを支援しております。その一方で、個別メーカーとしての活動ということで、各社さんもそうでしょうが、私どもの会社にはお客様から何百件という電話が毎日入ってまいりまして、それも1つのアンテナとして社会的要請に対応しております。あるいは主婦連さんですとか、いわゆるアルコール問題に関心を持っておられる民間の市民団体等がございますけれども、こういうところとのパイプも持つようにしております。それを今後の事業活動にどう生かしていくかということを日々行っているわけでございます。サントリーとしての例を申し上げますと、お手元に準備いたしました環境活動レポートに載せておりますような内容というのは、先ほど宝酒造さんの方からお話がございました内容と、ほぼ同じというふうに御理解いただけたらよろしいかと思います。
 それから、今同じように小さなパンフレットをお手元に置きましたけれども、タイトルが、「酒は何よりも適量です」というふうになっております。酒造メーカーとしては、間違った飲まれ方をしては困ると、不本意であるということもございますので、未成年者の飲酒はいけないとか、あるいは飲酒運転はもちろん論外であるとか、法律で決められている以外のことについても、消費者の皆様に啓発していくようなことを必要と思い、こういうパンフレットを作成し、配布しております。
 それからもう1つ、ちょっと大きくて恐縮なのですが、今ビール組合さんからありましたように、私どもも、企業単独で年に6回ぐらい、新聞広告を出しておりまして、これは適正飲酒を啓発するという目的でやっております。もうかれこれ100回目近くになりますが、こういうものを通じて消費者の皆さんに、適切な飲酒をしていただきたいというふうな活動をしております。これが、私が思いますには、酒造メーカーへの社会的要請の中での1つの大きな柱になるのかなというふうに考えております。
 以上です。

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