本間氏
一つ質問でございますけれども、25年四半世紀以上前に読んだアメリカの新聞で、運転歴というのは完全に父親の遺伝だということを読んだことがありますが、何か立証できる根拠があるのでしょうか。酒気帯び運転にせよ、レックレスドライバーにせよ、いわゆる問題運転をするものはみんな遺伝だというふうに出ていたのですが、そういうことは日本では言われていないのでしょうか。
堀金交通事故事件捜査指導官
あまり聞いたことがございません。
本間氏
父親の遺伝というのもなかなかトレースできませんので。
堀金交通事故事件捜査指導官
飲酒運転に限らず、犯罪学、犯罪医療の中では確かに遺伝が要因ではないかという説もございます。詳しいことは覚えていませんが、100%遺伝だという説もございますよね。
そういうものを踏まえて考えると、お父さんとかお母さんに犯罪者がいれば、その子供も犯罪者になる確率が高くなる、もしくは必ずなるということなのかもしれませんけれども、飲酒運転に限っていいますと、そういう理論というものはないように思います。聞いたことはございません。
奥村座長
どうぞ。
須磨氏
酒気帯び運転の0.15mg以上ということについて質問させていただくんですけれども、飲んでいる方を止めるとこれぐらいは大丈夫とよく言い訳をされるんですね。その場合、ビール大瓶1本ぐらいだったら、この罰則からは外れているということですか。
堀金交通事故事件捜査指導官
そのとおりです。法律上はおよそ飲んではいけないということになっておりますが、処罰をする対象は0.15mg以上ですから、もちろん1滴でも飲まないでいただきたいというふうに我々はお願いしているわけでございますけれども、計ってみて0.15mgにいかなければ検挙できません。犯罪として扱えませんので、確かに「これぐらいなら大丈夫」というものが存在していることは、刑罰上は間違いございません。
田嶼氏
「コップ1杯ぐらいなら大丈夫」とおっしゃるのは、ある種正しいということになってしまいますよね。
堀金交通事故事件捜査指導官
そうですね。恐らくどんな方でもコップ1杯ぐらいで0.15mg以上出るということはないと思います。先ほどお話ししたように、体重60キロぐらいの方でビール大瓶1本ぐらいというのがおおよその目安です。ただ、極端にお酒の弱い方だと、先ほどお話ししたように酒酔い運転になる可能性はあるかもしれません。
須磨氏
なるほど。海外でも1滴も飲んではいけないという例はないわけですか。この表を見ますと、日本よりも甘いところが多いようですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
堀金交通事故事件捜査指導官
例えば、栄養ドリンクにも薬剤を溶かすためにアルコールが若干入っていますし、口をゆすぐものにもアルコールが入っていたりしますので、体のどこに入っていると体内にアルコールがあると考えるのかという問題があるのかも知れません。また、アルコールの入っている食品とか医薬品とかは、結構世の中に存在しているのではないかと思います。ですから、およそ少しでもアルコール分があってはいけないというような規制をするのは、理屈の上でも難しいということがあろうかと思います。また、実際の実務面でも、測定しないといけないことになりますから、余り微細な数字を計って取り締まりをするというのは、将来的にも難しいのではないかなと思います。
奥村座長
申しわけございませんが、これで堀金さんのセッションを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
堀金交通事故事件捜査指導官
どうもありがとうございました。
奥村座長
それでは、引き続きまして、日本自動販売機工業会の事務局長をなさっています黒崎様から「自販機による物品販売の現状と課題」ということで10分程度お話いただきまして、あと10分程度御質疑いただくということで進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
黒崎事務局長
ただいま御紹介に預かりました日本自動販売機工業会事務局長の黒崎でございます。私どもは自動販売機を製造している事業者の団体でございます。
本日は、自動販売機による物品販売の現状と課題というテーマで、1番目といたしまして自販機による物品販売の現状を、2番目といたしまして、我々の業界が直面する課題と対策、3番目といたしまして未成年者の飲酒防止のための成人識別機能つき自販機、この技術的また経済的な可能性、この3つにつきまして簡単に述べさせていただきます。
まず、自販機による物品販売の現状ということでお話いたします。まず自販機という定義から簡単に御説明いたしますと、通貨もしくは通貨に代わるカード、昨今は電子マネーというようなものもございますけれども、こういったもので物品の販売もしくはサービスの提供をする機械、これを私どもは自動販売機と定義しております。ただし、公衆電話機とゲーム機は含めておりません。
それでは、現状で自動販売機がどれくらい普及しているのかということでございますけれども、昨年末現在で普及台数が552万600台、これは飲料自販機から各種自動サービス機まで含めてでございます。それでは、機械を通して平成15年1年間でどれだけの商品やサービスが販売されたかということになりますと6兆9,427万9,300円ということでコンビニエンスストアの売り上げとほぼ拮抗するような状況でございます。
それでは、ここ10年でどのような推移をしてきたかということを見ますと、まず普及台数の方は設置場所が飽和しているというようなこともございまして、大体横ばいです。コンマ何%か増えたり減ったりというようなことでございまして、10年間トータルで見ますと2%の伸びということになります。年間自販金額、つまり、自販機を通じて販売された年間の売上金額ですが、これは10年間で堅調に推移しておりまして、平成5年と平成15年比で11%伸びを示しております。
日本の場合、自販機が多いというような御批判もあろうかと思うのですが、諸外国と比較した場合どのような状態になっているかということを簡単に御説明しますが、アメリカの場合、これはちょっと調査の関係で15年末のものがまだ出ておりません。米国の業界誌が調べたところでは772万台、ただしこれには両替機ですとか乗車券の券売機、それからアメリカでよく路上にございます新聞の自販機、こういったものは含まれておりません。推測しますと、アメリカでは1,000万台を超える自販機があるのではないかなと見られております。この772万台は食品、飲料、たばこそれからカプセル玩具といいまして、日本でいうとガチャガチャというような小さなお子さま向けの自販機でございます。それの売り上げが約410億ドルということですから5兆円強ぐらいかと思います。
その他はどうなっているのかということですが、実際にはデータがございません。私どもヨーロッパの業界の人間とおつき合いがございましてヒアリングで推定というような形で数字を得ておりますけれども、大体EU圏内で飲料と食品の自販機、これが大体400万台ぐらいではないかということです。それからドイツではたばこの自販機が85万台、それから飲料・食品の自販機が30万台、イギリスでは飲料・食品の自販機は40万台ぐらい、その下になりますとフランスですとかイタリアで大体20万台とか15万台というような状況になっております。アジアではまだ韓国で100万台弱ぐらい、台湾で20万台弱ぐらいではないかと思います。中国では、今、南部を中心に増えつつあります。ただし、その台数としてはまだまだ小さい数字です。一説では上海で今大体1万台ぐらいというようなことを言われております。
それでは私ども自販機業界の直面する課題と対策ということで課題が幾つかございますが、今日は特に大きなものを2つだけ挙げさせていただいております。1つは、省エネルギー問題です。特に飲料の自販機が全体の4割以上、5割近くを占めます。この飲料の自販機が冷却器、加温器を備えておりますので、ここで省エネというのは非常に重要なことになってきております。よく自販機はエネルギーを消費すると言われていますけれども、その評価は別にしまして、私どもは他の業界に先駆けて省エネに取り組んでおります。第1次消費電力低減計画ということで平成3年から8年の5年間で、缶飲料の自販機1台当たりの消費電力量を20%低減という計画を立て達成しております。それから東京電力さんと一緒にエコベンダーというものを開発いたしまして、夏場の7月から9月の午後1時から4時という、ちょうど電力の需要がピークになるときは冷却器を止めて、午前中に冷やし込んでおります。基本的には電力の需要を平準化するということで、これ自体は省エネということではないですけれども、これによって火力発電所の建設がなされないようにするというような趣旨でやっております。これは平成7年から設置を開始いたしまして、現在では北海道電力管内を除くすべての地域でエコベンダーで出荷しております。北海道の方は、これは電力さんの事情がございまして、その必要がないということでエコベンダー機能は使われておりません。
それから、第2次消費電力低減計画としまして、平成9年から13年の5年間で飲料自販機全機種1台当たり15%低減を達成しております。
一昨年、缶飲料の自販機が省エネ法の特定機器に追加指定されております。平成13年を基準年として16年度までの5年間で1台当たりの消費電力量の平均30%低減を達成することが義務づけられております。来年度の出荷機でこの目標が達成できないと、自販機メーカーは自販機を出荷できないことになります。
もう一つの大きな課題として挙げられているのが、酒の自販機とたばこの自販機に関して未成年者問題が取り上げられております。酒の自販機につきましては、御承知のとおり、平成12年に全国小売酒販組合中央会が屋外設置の酒自販機を成人識別機能がついた改良型のみ存続を容認ということで、順次、改良型への置き替えが進んでおります。国税庁さんの調べによれば平成15年4月1日で1万4,400台が改良型として出ております。これは酒自販機の全体の約3割に当たっております。ちなみに私ども機械メーカーといたしましては、屋内に設置してある免許が要らない場所に対しては、従来型のものを出荷しておりますけれども、その他の酒販店に対しては一切従来型のもの等は出荷しておりません。一昨年の14年から15年まででは年間でほぼ3,500台の酒の自販機が出荷されております。そのうち国税庁さんのお調べですと2,100台が1年間で改良型に替わっておりますので、約1,400型は屋内型のもので出ているということになっております。
それからもう一つの方でたばこの自販機というのがございますけれども、こちらにつきましては昨年5月にWHOが「たばこ規制枠組み条約」を採択いたしまして、日本も来月批准するというような記事が出ておりますけれども、原則としてはたばこ自販機は撤廃。撤廃ができない場合には未成年者が利用できないような措置を講じた自販機のみを容認するというふうにされております。たばこ自販機にかかわる業界といたしまして、私どものほかに日本たばこ協会、これはたばこのメーカーさんの業界団体です。それから、全国たばこ販売協同組合連合会、小売店さんの組合です。この3団体で非接触ICカードを利用した成人識別機能付きたばこ自販機というのを開発しております。平成15年度に千葉県八日市場市で導入検証を実施しております。さらに、今度16年の5月から鹿児島県種子島で非接触ICカードに電子マネーを付与した形で第2次検証を5月10日から始めております。
そういうわけで、たばこ、酒自販機につきましては、成人識別機能をつけた自販機というのを開発いたしまして、現在、出荷を推進しております。
この成人識別機能の種類というのが今どれくらいあるのかということで簡単にまとめております。まず、1番目といたしまして、これはかなり古い方式ですけれども、運転免許証方式ということで、運転免許証に記載されております生年月日、これを光学的に読み取りまして、自販機に内蔵されたカレンダーと照合いたしまして、その時点で成人か否かを判定する。その時点で成人でない未成年と判定された場合には機械は作動しません。お金を入れてもお金は戻ってくるということです。これはオフライン方式といって電話回線でつながれているわけではございません。これは今、酒で実用化されております。
それから、IDカード方式がございます。これは酒販店が発行する磁気カード、この磁気カードは公的な証明書、運転免許証などを提示することによって酒販店が交付します。それをカードリーダーに挿入することによって自販機が作動します。やはりこれを入れないと自販機の方は一切販売しないということです。これもオフライン方式で、酒で実用化されております。
それから、3番目といたしましてはインターホンカメラ方式と申しまして、自販機にインターホンカメラを装着します。お客さんが購入を希望される場合にはインターホンカメラを通して小売店の管理者が会話を行ったり画像を認識したりして何らかの、例えば運転免許証を提示させるというような措置をとった上で自販機を作動するような形にする。これはオフライン方式です。ただ、この中でオンラインに変えてインターホンカメラを酒販店が管理するのではなくてセンターが管理していくというようなやり方もできつつあります。その場合に、顔認証技術を使って、一度認証された顔につきましては、その免許証等を入れなくても顔で判断できるというような形式もとっているところもございます。これは現在、たばこと酒でできております。センター集中管理方式といって、インターホンカメラ等と一緒になってやっているケースもございますが、これも内蔵されたカメラで撮られた画像を管理センターに電話回線で送信し、成人であることを確認した場合のみ機械が作動するということです。これは顔認証機能が具備されております。
それから、非接触ICカード方式、これは先ほどたばこ自販機で採用されていると申しましたが、成人情報が記録された非接触ICカードを自販機の読み取り装置にかざした場合に作動します。これは「スイカ」なんかと同じような形で、タッチすると成人であるかどうかを判断します。この成人カードについては、現行では日本たばこ協会に設置された成人識別センターというところがございまして、そこに免許証、健康保険証といったものの写しを添えた上で申し込みをしますと、センターの方から発行されるという形式になっております。こちらにつきましては2008年から全国一斉展開をするという計画になっております。これはオンライン方式で、酒の方では採用はされておりません。
技術的・経済的な可能性ですけれども、技術的にはから
につきましてはすべて有効であるということが確認されております。カードを貸したりした場合にはどうなるのかというような議論が必ず出てくるのですが、これはモラルの問題かというふうにとらえております。
それから、幾つかオンラインタイプの方式を御説明いたしましたけれども、このオンラインタイプの方式では成人識別機能のほかに、例えば販売情報の管理ですとか、犯罪の通報といった情報の発信など、様々な機能付加が可能となりますので、最初のインシュアコストというのはかなりかかることになりますけれども、いろんなところでオペレートするとランニングコストが吸収できるのではないかと考えております。
手元の資料には平成15年の「自販機普及台数及び年間自販金額」を添えておりますけれども、8ページを御覧ください。機種別普及状況を円グラフで示しておりますけれども、酒・ビールにつきましては全体の1.5%というような数字になっております。
以上、簡単ですけれども、私の説明を終わらせていただきたいと思います。
奥村座長
どうもありがとうございました。皆様方から何か御質疑ございましたらよろしくお願いします。