当懇談会は、国税庁審議官の主催する懇談会として昨年12月に発足した。酒類及び酒類業を取り巻く環境の著しい変化は、日常生活においても身近に感じられるところであろう。
酒類は、いうまでもなく、我が国の社会・文化と様々な側面で関わっており、社会経済の変化に応じた取扱いを不断に検討することが必要な物資である。地域社会についての意識や家族の絆の希薄化といった社会変化の影響に加え、近年における酒類の一般商品化や購入アクセスの容易化、商流の変化による激しい販売競争など取引環境の変化が、消費生活にどのように影響を及ぼし、どのような社会的コストを発生させているか、改めて酒類のメリットを活かし、国民生活の潤滑油として活用できるよう社会全体に目を配った検討が求められている。
当懇談会では、こうした問題認識の下、酒類業の将来像を考え、なかんずく近年社会的に大きく取り上げられている未成年者の飲酒防止対策を含めた酒類の販売管理などの社会的要請への取組み手法や酒類小売業免許のあり方について検討した。さらに、酒類業の健全な発達のための取組みについて言及した。
環境の変化を踏まえ、改めて酒類の特性について認識する必要があるが、その論点は裾野が大きく広がっており、文化、地域社会の有り様までにも関係している。
酒類を巡る環境は、以下で見られるとおり大きく変化しており、このような変化が新しい問題を惹起している。
このように酒類の供給過剰は、製造業の供給力過剰に加えて、国際化(輸入量の増加)も要因の一つである。
卸売段階においては取引先の維持及び新たな取引先獲得のため、激しい競争を進めており、地方卸売業者の転廃業、大手卸売業者との業務提携などが多数に上っている。
酒類業については、これまでは伝統性、地域性、中小企業性などが強調されてきた。今後これらの特性をどのように活かしていくかが課題となっている。