若尾酒税企画官
それでは、本日のご議論に入る前に、本日配付しております資料についてご説明をしたいと思います。
 皆様既にご承知のことと思いますけれども、国税庁の醸造試験場が平成13年4月1日に独立行政法人酒類総合研究所として再スタートしています。再スタートして1年余りが経過しているところですが、本日配付しましたのは、この酒類総合研究所の研究の成果などを掲載した広報誌でございます。年に2回発行されるようになっておりまして、「NRIB(エヌリブ)」と呼んでいますが、これの1から3号、それから同研究所の情報紙第1号「お酒のはなし」というもの合わせて4部、これをお配りいたしました。本懇談会におきましても、酒類業者に対して行う酒類に関する研修や酒類小売業の健全な発達のための取り組みにつきまして、当研究所の役割の発揮が期待されています。お読みになっていただければと思います。
 なお、当懇談会の奥村座長は、この酒類総合研究所を含みます財務省の独立行政法人評価委員会の委員長もお務めになっていただいております。
 それでは、今日の本題であります酒類販売業等に関する懇談会の取りまとめ(案)につきまして説明をしたいと思います。
 懇談会におけるこれまでのご議論やメンバーの方々のご意見を踏まえて、本日配付の資料を作成しています。今回の資料を作成するに当たりまして見直した点について、主な点を申し上げます。
「1.環境変化を踏まえた将来の酒類業の姿は」ということで、1から7ページにわたっておりますけれども、これは語句を少し直したぐらいですが、4ページの中段に「(注)」として新業態店の説明がありますけれども、最近、酒類を販売するようになってきました新業態店につきまして、ドラッグとか家電というような書き方をしてあったのですけれども、これを薬品あるいは家庭電化製品という平易な書き方に直しております。
 5ページですけれども、上の方の(ニ)でございます。この懇談会の取りまとめにおきましては、酒類の「一般商品化」という言葉が何カ所かに出てきています。最初は、1ページの「はじめに」の6行目に「一般商品化」ということが出ているのですけれども、読んだ方にお分かりいただけるものと思っておりましたところ、やはり明記しておいた方がいいのではないかというふうなご意見もありまして、この(ニ)のところにその説明がありましたので、そこに一般商品化ということで括弧書きで入れさせていただきました。「酒類は単に数ある商品の中の一つに過ぎず、必ずしも特性のある商品ではないとの認識」、こういったところが一般商品化だろうということで使わせてもらっております。この一般商品化の認識といいますのは、販売業者だけではなくて、一般の消費者の方々の中にも広がってきているのではないかというふうなとらえ方でこのペーパーは書かれています。
 次に、7ページの(5)のところでございます。タイトルですが、「国税庁等における酒類行政の運営体制の整備」としておりますが、これまでは「酒類産業行政の運営体制の整備」ということで、「産業」という言葉が入っておりました。ここにもありますように、行政の対象は大変広いということで、消費者の利益の確保という面もあります。このため「産業」を取りまして、酒類行政という言い方に変えてございます。
 なお、メンバーの方から、酒類業を所管する国税庁がもっとイニシアチブをとって取り組むべきとの強いご意見がありました。これまでご説明してきましたように、現在も関係省庁が一緒になりまして各種の取り組みを行ってきております。こうした体制をさらに充実させるべきということで、この部分は整理させていただいております。
 次に、8ページからは、これまでの規制緩和の評価でございます。規制緩和によりまして酒販店数がふえ、消費者の利便性は確実に増加しています。しかし、未だ免許のないスーパーマーケットやコンビニエンスストアからは、他の店と同様に酒を取り扱えるようにして欲しいというふうな要望があります。また、規制緩和等により、市場におきましては激しい販売競争が繰り広げられ、確かに活性化してきています。しかし、8ページのこの一番下の方にありますような問題も生じてきています。(ロ)のところでございます。次のような問題が生じてきているとの指摘がありますということで、指摘を3つ羅列させていただきました。
 9ページの公正取引問題、未成年者飲酒問題の現状を踏まえました取り組みにつきましても、これまで説明してきましたようにいろいろ取り組んできております。しかし、今後、酒類小売業免許の規制緩和を考えますと、実効性の点では不十分というふうな指摘もあるところでございます。
 10ページの(3)に評価と今後の課題として、この(ニ)のところを受けておりますが、イでは規制緩和は着実に実施されるべきであるとしています。また、ロでは人的要件を満たすことにより酒類を販売できる店は今後も大きく増加することが予想されますので、現状における混乱等を踏まえ、例えば昨年12月に与党の方から、15年9月以降の人口基準廃止後の酒類小売業免許の運用のあり方についての検討を求められているところであるということを書いてございます。
 12ページからは、これらの現状、問題点、課題を踏まえまして、酒類小売業に関わる今後必要な手当て等を整理してあります。
 (1)の消費者の利便性の確保等の観点では、前回のご議論を踏まえまして、地域の視点から一定の配慮が必要というふうな整理にさせていただきました。
 (2)は消費者ニーズ、情報の提供に加えまして、飲酒教育等の観点をつけ加えさせていただきました。酒類の一般商品化、特別な飲料という認識が希薄化していく中で、飲酒教育の充実はこの懇談会の中でもいろいろと議論されました。ハのところですけれども、例えば成人になれば食生活に酒類を加えることができ、食生活を豊かにすることもできるというふうな、プラス面からの啓蒙を行うべきというような意見もあったところでございますけれども、いろいろ検討をしまして、このような書き方で、未成年者に対しては、未成年者の飲酒が法律で禁止されていることだけにとらわれない、幅広い観点からの啓蒙を行うべきであるというふうな整理にさせていただきました。
 (3)の公正取引の観点では、ロにありますように、公正取引が消費者利益にも資すること、消費者の商品選択の自由を保障するものであるということを書き込みまして、実効性の確保の観点から、独占禁止法に関わる違反行為に対しまして、ペナルティーのあり方等必要な手当てを検討すべきであるというふうに整理をいたしました。
 酒税確保の観点からでございますが、いろいろとご意見があるところでございましたが、消費者利便のさらなる向上等の見地からの対応が必要ということがありまして、イのところでは前と同じような書き方をしております。なお、ロのところですけれども、酒類には多額の酒税がかけられているため、またその担税者は消費者ですから、やはり酒税の確保に十分な配慮が必要と考えられます。事後的な措置として、過当な競争が行われている地域の是正のための臨時の需給調整措置の検討なども必要かということで考えておりますが、ちょっと2行にまとめたためにこんな形になっております。
 けさのマスコミの報道でご承知のことだと思いますが、国会では今、議員立法の検討が進められています。この法律につきましては、新聞を読んでいただいたかと思いますけれども、「酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法案」ということで、酒類小売業免許にかかわる規制緩和の進展に伴い、多数の酒類小売業者の経営の維持が困難となる等の急激な社会状況の変化が生じている現状に鑑みまして、緊急の措置として、その程度の高い地域について緊急調整地域ということで酒類小売業の免許の付与を制限する。あるいは酒類小売業者の経営の改善及び転廃業の円滑化のための措置をとるというふうなことで、規制緩和の円滑な推進に資することを目的とした法律だということになっております。我々としましては、こうした国会の方の動き、立法府の判断、それらを踏まえていろいろ考えていかなくてはいけないところもありますので、その帰趨も考慮が必要ではないかというふうに思っております。そういった動きを踏まえて、またご相談をさせていただくところがあるのかなと思っております。
 それからマスコミの話が出ましたので、もう一つ、今日の日経新聞には、懇談会がきょう最終的な取りまとめを行うような報道がありましたけれども、これにつきましても、私どもの方から特にそういった記者発表したことではありませんので、その辺のところはご承知おきいただきたいと思います。
 それから、同じ13ページの(5)の販売管理等の観点のところでございます。イに、未成年者飲酒防止に加えまして、飲酒運転防止を例示として加えさせていただきました。1の販売管理上の要件整備では、地域の視点から自治体による出店制限禁止区域指定に加えまして、自動販売機の設置禁止を、これも例示として入れさせていただきました。それから4のリサイクル関係の施策の充実では、空容器の出るもとを明記してみました。それから5の免許の人的要件の整備につきましては、具体的なところは書いてございませんが、暴力団の排除規定だとか飲酒に起因した道交法違反だとか、こういったものが考えられるのではないかと思っております。7のモニタリングの実施のためには、当分の間の措置として、販売量の最低基準等の要件を加えて実効性を確保するということが考えられるのではないかというふうに思っております。
 15ページになりますが、15年9月以降の酒類小売業に関するスキームということであります。ここにありますように、平成15年9月以降、人口基準が廃止された後のスキームとしましては、一定の要件を満たすことにより新規参入が認められ、その小売業者は適切な販売体制の整備などの要請を法的な枠組みの中で果たしており、行政はこれをモニタリングし、必要な場合には事後的に是正措置を講ずることとなるということを考えております。
 11ページでも触れましたように、与党からは、規制緩和が完了する15年9月以降の人口基準廃止後の酒類小売業免許の運用のあり方についてということで、その検討を求められております。そうした要請に応えるための議論をここで進めてきたわけですけれども、懇談会の取りまとめができれば、当庁を中心にしまして、15年9月以降に向けた必要な手当てを急ぎ整備し、各措置を段階的に進めていくことが必要になってくるというふうに考えています。
 16ページの4におきましては、ハのところの3の活性化事業のところに、今の小売業、酒の小売業ですが、商品力だけではやっていけないというふうなご指摘もありまして、酒類の販売技術・ノウハウの構築といった活性化事業の推進について記載しました。
 以上で説明を終わりますけれども、必要な手当て等につきましては、なかなか具体的に書き込めない漠としたところもあります。今後、我々におきましては、いろいろな具体的な検討を進めさせていただくということになりますが、この懇談会におきましていろいろと考えられる点を、皆様のご意見をご披露していただけるとありがたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

奥村座長
ありがとうございました。
 ただいま若尾企画官から的確なご説明をいただきました。目次を1枚紙でご用意いただいておりますので、まず目次を手にしていただきまして、私たちがこれまでやってまいりましたことで、1つは規制緩和をどういうふうに評価するかという点、大きな柱の2番です。3番で、その評価を受けて今後どういった政策対応が望ましいかということを検討しています。この2番と3番、非常に重要な事柄でありまして、これを検討するために、1番の酒類業というのは現在から将来に向けてどういうふうに展望できるだろうかということを検討しているということで、報告書の必要な内容はかなり織り込まれているのではないかと思います。
 それで、これまでずっと検討してまいりまして、1番についてもかなりの時間を割いてやってまいりましたので、きょう、あと1時間ちょっとというところは3番を中心にして詰めたらどうかと思いますけれども、ただ日程を先生方のすべてをお合わせすることが難しかったために、前回と前々回、この報告案の検討をしてまいりましたときに、ご都合が悪くておいでいただけなかった先生から最初にお話いただくのがよろしいかと思いますので、岡本先生と神崎先生と寺沢先生に最初、場合によっては1のところも含めてコメント等ご指摘いただけたらと思います。その後、また皆様方全員でご議論いただくという段取りを考えてまいりたいと思います。
 それから新聞を今、コピーを手にしていただけたかと思いますが、読売新聞、朝日新聞、産経新聞につきましては、政治の動きをご紹介しておられるとのことですので、ちょっとこの懇談会のことは触れてないと思います。日経新聞の朝刊はかなり目立つ形でこの懇談会のことにも触れておられます。私たちが記者発表したというようなことは全くございませんが、1カ月ほど前、記者の方がこれまでの懇談会の模様を教えてください、ということで訪ねていらっしゃいましたので、1カ月前ぐらいの時点で、先生方にご議論いただいている内容について説明をしておきました。それから1カ月たっておりますので、その説明を踏まえているかどうかは全くわかりませんけれども、恐らく、各誌が一斉に取り上げているので、政治の動きもあって、このタイミングでこの懇談会の模様を日経新聞の方がおまとめになられたのではないかなと思っております。こちらで何か記者会見したということではございませんので、ご了解いただけたらと思います。
 それでは、岡本先生から口火を切っていただけますか。

岡本氏
 はい、分かりました。10日ほど前にコピーをファクスで送っていただきまして、読ませていただきました。それで、今日新たに修正されたものが加えられましたので、全部を比べながらもっと見直さなければいけないのでしょうけれども、質問事項が幾つかあったのですけれど、そのうちのかなりの部分が修正されていましたというか、削られていました。
 ということで、例えば13ページの(4)のロですかね。2行に非常に簡単に縮められて、そこが前に送られたときもかなりいろいろと書いてあって、ちょっと質問事項としてあったのですが、それは質問しないことにします。
 それから、全体はこんなものだろうなという印象を持っています。ただ幾つかちょっと言葉がわからないのがありまして、例えば9ページの(2)の(ニ)ですか、下から数行ですけれど、4行目ぐらいですかね、競争政策当局に求められるものであるという最後のところですけれど、この競争政策当局とはどういうことを意味するのかということが分からなかったので、まずちょっとそれを教えていただきたいと思います。

奥村座長
この競争政策当局についてはご説明いただけますか。

若尾酒税企画官
ここは公正取引問題、未成年者飲酒問題への取り組みの推進ということで、まず最初に公正取引問題への取り組みということで整理しておりますけれども、小売業者等からは独禁法の関係の問題を大分指摘されております。そういった問題の指摘が多いということで、公正取引委員会のことを念頭においています。

岡本氏
例えば先ほどの13ページの(4)のロが2行になってしまったというのは、例えば今日あたりに、先ほど配っていただいたああいう新しい動きというのでしょうか、ああいうものを踏まえて修正されたということなのでしょうか。

若尾酒税企画官
この部分は前回の懇談会の資料のまま書かせていただきました。
 懇談会の場などではいろいろ説明をさせていただきましたけれども、ご指摘のようなこともありまして、前回と同じ形で書かせていただいたということでございます。

岡本氏
すみません、前回休んでいましたのでよくわからないのですが、私のところに10日ほど前に送られたものにはもう少し、5行、6行書かれていたものがあったのですが。

若尾酒税企画官
前回、それまでの議論で行政当局からもいろいろ意見を言ってくれ、行政当局の考え方も示してくれというような指摘がありまして、我々の方にも大変いろんな意見があって、こうだということではなかったのですけれども、そういうご要望に応えまして、いろいろある我々の方の意見の一つとしてお示しをさせていただいたわけです。それでご議論いただいたのですけれども、今回は、その部分については我々の方の一方的な考え方ということがあったものですから、今回はこの2行の簡単な形にしまして、またご議論をここでいただければと思っています。

岡本氏
1人で時間をとって申しわけないので、あと幾つか。
 大学の教員をやっていますと、学生がレポートとか論文を書くとついつい字句を修正したくなる習性で、これはもう職業病なのですけれど、幾つかありまして、これは細かいことですので、また後で帰りがけに渡します。

奥村座長
よろしくお願いいたします。
神崎先生、いかがでしょうか。

←前にページへ

次ページへつづく→