田中氏
 今、皆さんおっしゃるとおり、昔からやっていたと思いますけれども自由ではなかったということもあると思いますし、ただ、やはりこれからの規制緩和というような状況の中で、今まで酒税を保全するという意味での産業行政的な面があったと思いますが、規制緩和の中でやはり市場の健全な発展というのはどうしても必要になりますから、そういう意味での産業行政というものはちょっと従来のものとは意味合いが違ってくるかな、という感じがするのですけれども。
 そのときに、どこの省でも、食品衛生法というものが、今朝の新聞に出ておりましたけれども、やはり産業行政が競争強化をしていきますと、やはり問題になる点は基本的には2つだと思うのですね。やはり消費者保護という視点をもっと強く事後的なチェックとして消費者の視点からやる必要が出てくるだろうと思うのですね。そういう意味で、消費者保護という視点からすれば、未成年者の飲酒とか、あるいは自動車とか、あるいはいろいろなところで飲酒による社会的な危害とか、あるいは健康の問題とか、そういうことについて、薬ほどではないにしても、ある程度の緩やかな管理が必要な物資ではないかなと思うのですね。
 それともう1つは、やはり販売業なんかは特に、先ほど座長がおっしゃったような形で、やはり地方の商店街の中心的な存在の1つになっておりますし、地域のそういう振興という、あるいは街づくりという視点からも欠かせないものですし、そういう点では、大規模小売店舗法が廃止されても、大店立地法においては、やはり街づくりという視点から大型店の問題、規制を現在でも調整するような形になっておりますし、そういう意味で、やはり消費者利益とはまたもう1つ違った、地域での健全な産業の発展という点から見ても大事だと思いますし、それから、販売業ではなくて、清酒製造業なんかの場合は特にそうですが、器とかあるいは漆器とか、そういう清酒に関係するようないろいろな地場産業とのかかわり合いも大きいし、地域的な産業の振興という視点もやはりあっていいのではないかなというようなことが1つあると思います。
 それからもう1点は、やはりこれは独禁法で一番昔から課題になっている公正な取引をやはり実現すると。規制緩和をすることによって競争が促進すると同時に、一方では、やはり優越的な地位の乱用とか、いろいろな不当廉売とか、こういう問題がありますから、それについてはもっとやはり規制を強化していくという側面があっていいのではないかなと思うのですけれども。その辺のところが社会的な規制の範囲内に入るのではないかなというような気がするのですけれども。
 それと、あとその他と言うのでしょうか、これはその他という形になっていますけれども、酒類販売業者に消費者に対する情報提供、その他でいいのかどうかわかりませんけれど、やはり免許を付与されている人の責任というのがあるのではないかなと。やはり免許を付与されているわけですから、その人たちがそれに相当する社会的責任があるのではないかと。例えば、免許なりが正しく行使されているか、それから公正な取引が行われているかとか、そういうことに対してきちっと責任を持って対応するということもあってしかるべきではないかなと思うのですね。競争は、規制緩和をしてどんどん自己責任でしていくのは基本だと思うのですが、その中で今度は企業もそういう意味で免許を付与されているわけですから、ある意味では特権的な地位が与えられていると言えると思いますし、その人たちの今度は責任というのがその他としてまた端っこに来るのも何か、まずは免許を付与されている人の社会的責任というのか、そういうことはきちんとあっていいのではないかという気がいたしますが。

奥村座長
 あとは健全な発展の取り組みというふうなところでは、公正な取引環境の整備の点では、まだ具体的に書かれていないのでどういう形でいくのかはありますけれど、やはり実効性をどれだけ保っていくのかについてもう少し検討した方がいいのではないかという気がいたします。

奥村座長
 今のところで何かおっしゃられることはありますか。

若尾酒税企画官
 先ほどちょっと説明しましたけれども、免許付与者としての社会的責任については、この中でちょっと位置が悪くてこの5ページのところで、酒類を扱う業者としての社会的責任について、その役割を発揮できるようなその再構築が必要ではないかというふうに整理し、そういうことを念頭に置きながら、具体的にここには書いてないのですけれども、この行政のフレームワークの中で考えていただければと思っております。

田中氏
 ちょっと読み込みが不足していたようです。

奥村座長
 どうぞ。

井岸氏
 今後の酒類販売業の行政フレームワークということで考えますと、まだ中身について議論はしていませんが、経済的規制なり、社会的規制ということになると、やはりここで、はっきり国税庁そのものがこの酒類販売業の業界産業育成のイニシアテチブをとっていくのだということをもっとはっきり出すべきだと思います。
 ただ、社会的規制なり経済的規制というものを考えた場合には、関係省庁である公正取引委員会であるとか、あるいは社会的支援に関連する警察、その他の地方自治体も含めたそういったような存在であるとか、あるいは文部科学省だとか、いろいろな関係省庁が多々出てくるわけで、そういったようなところとの連携をとって、その上で、産業の健全な育成、国民のウエルフェアに導くのだという、そういうスタンスがあるということをもっとここで強く出していいのではないかなという気がします。
 先ほどのお話のように、国税庁は今までどこまで面倒を見ていたのですか、みたいな話が出てくるのは、やはり免許だけを管理しているのだというように考える人がもしいるとすれば、それは過ちですよ、ということをはっきり出した方がいいと思うのです。またそうすべきではないかというように私は考えます。今後のフレームワークです。行政全体です。

奥村座長
 今のことはいろいろ難しい問題があると思います。産業行政に国税をお取り入れになるところが深くかかわって、酒税課だけを考えると非常にわかりやすくてと思うのですが、国税庁の中に産業行政的なものを入れてくるということになってくると、また庁と課の整合性ある見解に来るかなと思ったりする例もあるのですけれども。

大西審議官
 前からその問題はご指摘いただいていると思っております。それで、こうやって産業行政なりを整理するというのであれば、その運営体制はどうするのか、あるいは国税庁がどこまでやるのかというところも補完してあると思っているのです。それで、ただ、持っております手段とか定員とか機構もございますから、何でもできるというわけでもございませんし、また各方面と協力をすべきでしょうし、また行政がやるべきでないこともたくさんあるということであります。
 実はその辺がまだクリアにできておりませんが、6ページのところに、小売業だけの話でもありませんけれども、全体として産業行政についての運営体制を今ご指摘いただいているように、ばらばらであるとかというご指摘もあるでしょうから、整理をすべきだということもつけて、まだ書いておりませんが、ここは何がしか整理をしたいと思います。
 それから、少しお願いできれば思いますのは、今日は3と4についてお願いをしているのですが、やや概念整理が不十分だということもあるのでございますけれども、例えば、11ページの(4)の公正取引についてもあると思いますが、(4)で、ここでまだこういう表現になっておりますが、このあたりについての具体的なアイデアとか、あるいは12ページで社会的規制なるものを(イ)から(ホ)まで書いてみましたけれども、下の(ハ)、(ニ)、(ホ)あたりは頭出し的な表現になっておりまして、このあたりについて具体的なご意見がありましたら、是非お願いをしたいのでございますが。

田中氏
 よろしいですか。先ほどの優越的地位乱用とか不当廉売とか、いろいろな問題がありますけれども、2000年の確か独禁法改正のときに、公正取引委員会に対して差し止めの申告をして調査してもらっている形から直接請求できるような形に変わったと思うのですけれども、その辺のところが、この酒類行政において具体的に案件があったりあるいは上がって、それが実施されたりしていく過程が今あるわけですか。

前田企画専門官
 従来は、事業者等が公正取引委員会に申告をし、公正取引委員会が違反行為の排除を行う方式でしたが、事業者等が裁判所の方に訴えて差し止め請求ができるというような法改正がございました。けれども、酒類業界の中でそれを使ったというのは今のところないと聞いております。

田中氏
 具体的に、もしどこかの小売業者なりあるいは製造業者なりが、そういう不当廉売だとかと上がってきた場合には、どういう形で指導するわけですか。

前田企画専門官
 まず、独禁法上の話ということであれば、独占禁止法第45条の方に何人も公正取引委員会の方に調査を求めることができるというような制度がございます。
 それから、国税庁といたしましては、取引実態調査ということで、独禁法の運用というわけではございませんけれども、酒類業者の健全な経営と。要するに経営が不安になるような売り方をしていたとか、不当廉売と若干似たようなところがございますけれども、そういうふうなものについては指導というところで情報をいただきまして、それで個別に指導していくというのがございます。あくまでも、それは独占禁止法上の調査ではないということでございます。

田中氏
 指導すると大体従うものですか。全然わからないけれども。

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