奥村座長
私の方から先にちょっと水谷先生の方にお尋ねしたいのですが、例えばいろいろな期待される社会的規制、家庭教育、地域教育というのがあるのですが、現状は神崎先生がおっしゃったように規範が崩れていることは皆様も共通の認識でいらっしゃると思うので、まず社会的規範が確立されるまでの移行過程において、例えば酒を飲んで自動車の運転をして厳罰に処すといっても、死んでしまってからではもう遅いだろうというので、ガソリンスタンドでお酒を売るのはちょっと規制しようとか、あるいは今、私たちの大学の中にはコンビニが実は大学のキャンパスの中にありまして、大学の中のコンビニもお酒をいっぱい売って、18歳はだめだと言われても困るから、せめて学校の中のコンビニぐらいはお酒をやめようとか、その程度の規制は水谷先生も賛成でいらっしゃいますか。
水谷氏
余り賛成しませんけれども、その程度は、やむを得ないかもしれませんね。要するにというふうにみんなに手足を縛られて自分が行動するというのはおかしいと。大体、酒を買いに行くなんてみっともない話なんだと。それを「おまえはやっているんだぞ」、という教育をするのは親ですよね。だから、もしPRするなら、「おやじさん、おふくろさん、あんたの息子や娘はどうするつもりだ」と。「将来は犯罪者だぞ」と。「社会から指弾されるんだ」と。「生きていけないよ」と。「そういう息子や娘にするんですか」と。「それとも今教育するんですか」と。こういうPRをすると。悪いのは親だと僕は思っているんですよ。
田中氏
ちょっと、でも先生、行き過ぎではないですか。やはり飲み過ぎますと社会的に問題だけれど、適量に飲む分については、イエスのキリスト教の聖書でもちゃんと適当に飲めばいいと言っておりますし、やはりコンセプトとしては日本的な、世界でもそうですが、コミュニケーションの社会を円滑にしてきた部分もかなり歴史的にあると思いますので、やはり適当なところが大事なのであって、買いに行くこと自体が恥ずかしいことだというのはちょっと、そういうのにまた税金かけることはもっと恥ずかしいことになるんじゃないかなという。
水谷氏
よろしいですか。
それで、ちょっとこれは質問なのですけれとも、社会的にそれほどマイナスはあると思うんですね。社会的にマイナスがあるということで酒税というものがある、酒税の一つの理由になっているのですか。たばこにつきましても、その辺はどうなのでしょうか。もしそうであれば、さっきお話が出ていました、たばこの税金を上げるというお話がございますけれども、酒税も本当は上げればいいじゃないですか。そして、みんなに飲んでいただいて税金を払っていただくと、少しは贖罪になって……。
確かにお酒の値段が高くなれば飲むのは少なくなるような気がしますね。最近、随分酒税も安くなって手に入るようになったと。一方で所得も大分上がってきましたから、アルバイトでかなり飲めるということもマイナス面ではなかろうかというように私は思うのですが、そのあたりをちょっと教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
大柳課長補佐
第2回の参考資料に課税の趣旨というのがあるのですけれども、一応、ここでは特殊な嗜好品としての性格に着目してということしか書いて……。
水谷氏
何ページですか。
大柳課長補佐
参考資料の1ページです。1−1というものです。
課税の趣旨ということで、種類の特殊な嗜好品としての性格に着目して、諸外国と同様に従来から他の物資に比べ高い税金を求めていると。酒類の消費の背後にある担税力に着目して、酒類の消費に負担を求めようとするものであり、古くから財政物資として云々と……。あまり説得的な説明にはなっていないですが、基本的にはやはり過度な飲酒の抑制というような思想も根底にはあるのではないかといわれております。
若尾酒税企画官
きょうの日経新聞、3月27日の日経新聞に、「活力を生む税制」というところで間接税のちょっとコラムがあるのですけれども、そこには「国民の健康に有害な飲酒、喫煙を抑制するとの理由もある」というふうなことを書いてあります。
奥村座長
でも、それは国税庁の方とは大分違う……。
若尾酒税企画官
私どもの方としては、先ほどのこの公式なものではそうなのですけれども、やはりその背後にはそういうものもあるというふうにあるというふうに……。
大柳課長補佐
正面から認められているわけではないようです。
田中氏
私もちょっと昔委員をしていたときにちょっと調べてみたことがあったのですけれども、最初は明治の日露戦争の戦費調達のために酒税を回したんです。ですから、取ることがまず目的で、たくさん取って戦費で勝とうということで、最初にできたと聞いています。それで、だから多分、明治時代に貴重なそういう戦費になるようなものを若者が飲んではけしからんということで、未成年者飲酒のあれができてきていると思うんですね。
それで、その後、今度は食管法で戦後の経済が復活するまでは、どちらかというと奢侈税的な性格があって、貴重なお米を酒にして飲んでしまうのはけしからんと。だから、米をいっぱい使うものについては課税をしようと、高いと。だから、特級酒の方はたくさん米を使いますので、それで奢侈税的な雰囲気でやってきたんですね。その後、酒税の割合がだんだん減っていくにつれて、それからだんだんさっき言った致酔性の物質であるし、やはり健康のことを考えて処理していかなければいけないだろうと。
その後は、多分、あとはそれぞれの種類間の需要の調節として税金が動いてきた感じだと思うのですけれども、今はやはり、申し上げたい点は、やはり基本的には、課税の原理というのは憲法に保障された人権というものをやはり促進する意味で酒税は課税するべきだと思うし、徴税の量を取るための課税の整備でなくて、国民の健康を高めるための課税原理を持つべきだと思うし、それから、やはり日本の文化というものを守るべきだし、それから産業というものの健全な発展というのを守るというふうな意味で、その後に量を取るということは考えてもいいんじゃないかなと。理屈から言えば、私はそういう考え方を持っております。
若尾酒税企画官
もう一つ、つけ加えさせていただきますと、先ほどちょっと紹介したWHOの方でも、アルコール関連問題を減少させる上で有効である手段の1つとして、酒類の価格及び酒税の引き上げというふうなことを提案しています。それもそういう背後に何かあるような気はいたします。
奥村座長
ありがとうございました。
大きな柱の4は、もう2と3を踏まえて導いておられますので、今、ご議論いただいた中で幾つか入ってまいりましたので、一応、本日はこの4のところまでを踏まえて、ご意見をいただいたということにさせていただきたいと思います。
2回にわたって論点についてご議論いただいておりますので、一度、これを事務局の方にまた再整理していただいて、とにかく人間は合理的には行動できない、しかし限定合理的には行動しようとして毎日過ごしているので、限定合理性の中でどういう生活手段が考えられるかということで一度整理していただいて、それをまたご検討いただくという会を次回に催したらいかがかと思います。
時期的には、4月の第3週または第4週あたりで調整させていただきたいということで、本日、開催日程についてという○×を打っていただく紙をお配りいただいておりますので、できましたらこれに○×をご記入いただいてお残しいただきたいと思います。議事の公開等は従来どおり進めてまいりたいと思います。
これで本日は散会させていただきますので、どうもありがとうございました。
―― 了 ――