奥村座長
宇賀先生、何かコメントいただけますか。
宇賀氏
幾つか用語の点についてわかりやすい言葉を使えないかというお話だったんですけども、今度の中でそれをわかりやすい言葉に変えるという方法もありますけれども、最近よくこういう審議会の答申等で後ろに用語集をつけて、特に重要な用語とかわかりにくい用語については後ろで解説するという方法がありますので、あるいはそういう方法も考えられるかなというふうに思いました。
あと、今どこのあたりまでお話してよろしいんでしょうか。
奥村座長
酒類業の特性とはという(3)がございますが、そこのところはイ.ロ.ハ.全部対象にしてくださって結構なんですが。
宇賀氏
そうですか。その後の規制の話は、じゃあ次回という……。
奥村座長
いや、でももしございましたらおっしゃってください。
宇賀氏
基本的に私の考えは、経済的な規制についてはこれは原則廃止という方向で行くべきであって、酒についてもそういう面はあると思うんですね。ただ、やはり先ほど出ていますように、一般の商品とまた違う致酔性、習慣性という側面があり、そういう外部不経済の観点からの社会的な規制はこれは必要であるというふうに思います。現在、社会的規制の面で十分であるのかどうかというと、この点はいろいろなお検討する必要があって、未成年者飲酒禁止法だけで十分な対策がとれているとは思いませんので、この面からの規制は検討していく必要があるだろうと。ただ、もちろん社会的規制が同時に経済的規制と同じ効果を持つ面がありますので、そこは十分に注意しながら検討していく必要があるだろうというふうに考えています。
奥村座長
ありがとうございました。社会的規制をどのように実際に実施するかというところでの議論はまたいろいろ知恵を出していただくことにして、今大きな整理をしていただいたところで、岡本先生。
岡本氏
今、さっきも言われてしまわれたんですが、やっぱり致酔性とかそういう言葉ですね、わかりにくいんでもう少し説明的な言葉で、タイトルして使うのはこれでもいいと思うんですけれども、どこかで、別に用語集みたいなのをつくるのも1つのやり方だと思いますけれども、致酔性というのは多分英語で言えばイントキシケーティングドリンクスとかそういうふうな言葉だと思うんですけれども、酔いを引き起こす可能性のあるものというふうだと思うんですけども、そういったことをもう少しわかりやすく使われたらいいかなと思います。
それから、あといろんな問題が出てきて、すべて考えてやろうと思うと、とりとめなくなるんで1点伝統地域性、要するに日本酒の問題ですけれども、これをどうするのかということで、個人的にはやっぱり僕日本酒好きなもんですから、やっぱり安くておいしいお酒は残ってもらいたいと。個人的な話をすると、今僕はあるところのお酒をずっともう何十年も飲み続けていまして、非常においしいなと思って、それがなくなったら嫌だなという気持ちはあります。ちょっと関係ない話になりますけれども。そういうことでやはり特徴のあるところはやっぱり生き残ってもらいたいし、そういう努力をするところを何となくやっぱり助けてあげたいなという気持ちがあります。だから無条件に、さっき補助金の話が出ていましたけれども、やっぱり補助金、ある一定の条件でやってもいいんじゃないのかなと。やっぱりそういう努力をしている企業といいましょうか、既にある企業もそうだし、それからこれから立ち上げていこうとするある種のベンチャー的なものも出てくる可能性がある。何かやっぱりそういう努力をとにかく一生懸命やろうとしているところには何らかのそういう補助をしてあげてもいいんじゃないかと、そういうことがやっぱり日本酒というのはビールとかワインとかとは違って、やはり日本独特のものだと思いますので、やはりそういう意味では伝統を守るとかそういう意味で規制緩和とか自由競争の時代になっていますけれども、やはり許される範囲じゃないのかなと思います。
奥村座長
先生の近くにお酒をつくっている西条がありますね。
岡本氏
西条、広島で有名な酒蔵なんですけども、さっき言いました個人的に好きなのは実は愛媛のお酒なんですけども、広島へ行く前から、12年広島におりますけれども、さっき言いましたけれども、ここ何十年か飲み続けているのは愛媛県のお酒なんですけども。実際の名前ちょっとやめておきますけども。確かにそういう広島のお酒も非常においしいのもあります。それは事実です。
奥村座長
西条の方でこういう小売、小さなお酒屋さんが経営に苦しんでいらっしゃるというようなニュースというのは結構広島地域では頻繁に出るもんですか。
岡本氏
大変だということは個人的には何人か聞くんです。それで、広島の人って比較的、プロ野球でも広島ファンが比較的多いのと同じように、地元のお酒飲んでいる人が多いので、地元に、本当にローカルの小さなというよりも比較的県レベルになるんでしょうかね、もしくは中国地方レベルになるのか知りませんけども、比較的地元に根付いている酒屋さんが多いのかなと思います。
奥村座長
いいですか、先生。
川岸氏
お酒の文化を守らなきゃいけないというのはもう私も大賛成なんですけれども、今日本酒のことを語られていますけど、やはり焼酎、乙類の焼酎もそうですし、ワインもそうなんですね。ただ、こういった日本文化を守るといったときには、ここまた酒の業界の特性に関連するんですけども、今までお酒の業界というのはそういった中小メーカーさんのものを中小の問屋が取り上げて、そして、中小の小売店で販売して、しかも対面販売でかつ料飲店、業務用にもみんな対面でもって説得して売ってきた商品なんですね。これに対して今のビールであり発泡酒であり、あるいは缶チューハイというのはテレビで一方的に流していって売る。全く商品の売り方も違うし、商品をどういう属性で分けるかちょっと問題があろうかと思いますけど、片方は全くの説得商品型、こういった説得商品を守っていくということを考えた場合には、当然ここで売り場まで考えていかなきゃいかんと思います。時間がないので極論的なことを申し上げます。
例えば、大きな売り場、面積では清酒を売らせない免許にすると。従来も清酒はない、限定で売ってはいけない免許というのがあったんですね。アメリカでもビールは売れる、ワインは売れるけれどもウイスキーは売れないよという、そういう免許制がありました。したがって、テレビ宣伝で今流れているから売り場がつくられるという、スーパーマーケットにディスカウントストアというのは非常に多いわけですね。これこれテレビ投下するから、これを定番に加えてくれという商売で今どんどん流れているわけです。ですから、そういったような商品と日本の伝統的な文化を守って対面販売をやろうという商品を一緒に何か並べて、例えば政策という補助を、補助金や何かで守ろうとしてもそれは無理だと思うんです。ですから、トータルでやっぱり考えていかないとこの問題解決しないというふうに考えます。
奥村座長
ありがとうございました。いま一つ議論のためにいい例をお出しいただいていますので、また引き続き検討したいんですが、どういうやり方がいいかはお酒を飲まれる消費者の方の価格の弾力性がどんなもんかとか、アクセスに対してどう反応されるか、あるいはさっきセーラさんの例を出していただいたんで、もともとイノベーションを起こす意欲もなかった人たちがまず意欲を起こして、新しい商品を、若者自身がつくっていただかなきゃいけないというような観点もあり得るかと思いますので、またいろんな点を踏まえて次回続きをやっていきたいと思います。
きょうは途中でございますが、もちろんこれだけの論点全部1回ではできませんでしたので。もしございましたら一言どうぞ。
水谷氏
私、酒関係でそんなに特殊性があるんだろうかという、むしろそういう感じを持っております。メーカーも販売も大変だというのはあらゆる業種がそうなんでして、中小メーカーが今本当にどんどん廃業しておりまして、その1つとして酒造メーカーもあるでしょうと。酒造もあるでしょうと。販売も町の専門店がどんどん廃業しているわけですね。それを酒の販売店だけが特殊であるとも思えない面があります。もちろん、酒というものの特性があるということがあるわけですけれども、特性の1つとして税金という面でいきますと、税金は蔵出税で蔵の出すところでもう取るということですから、販売は余り関係ないんじゃないかと思うんですが、これは素人の考えでしょうかと。
それから、致酔性についてはこれは害悪という面もある、社会的な規制が必要だということになってくるんでしょうけれども、これも余り強く主張するのはどうかなと。むしろそれぞれの人が考えるべきことでありまして、役所にそれを規制させるというのはおかしいんじゃないかと。甘えがあり過ぎるんじゃないかと国民の中に。自分たちで判断しなきゃならないというのは何もお酒だけじゃなくていろんなものがあるんでありまして、それをたまたま国税庁というものがあって、お酒について今まで監督しているから、それに沿ってやっているに過ぎないんじゃないかと。むしろ国税庁が酒について責任を持ち過ぎるんじゃないか。持たされ過ぎているんじゃないか。これは大きな目で見るとむしろおかしいんじゃないかなという感じがしておりまして、役所の方でおれらは責任回避だと言われると困るもんですから、なかなか言いにくい点ではありましょうけれども、部外のこういう懇談会、委員会という席上からは、責任回避でやめろと言ってるんじゃないんだと。もっと大きい目で、それは本間さんがおっしゃいましたように新しいものをつくり出そうとしますと、むしろそれを助長した方がいい。ということは補助金を与えると、補助金のもとは税金なんですから、自由にやらせるわけにまいりません。補助金を出す以上は不自由になります。当たり前ですよ。それは本当にいいことなんだろうかと。もっと活発に自らが努力をしていくということで活路を見出した方がいいんじゃないか。そういう感じから、必ずしも特殊性を強調することによって補助しようという方でない方がいいんじゃないかと私は思うんです。特殊性をえぐり出そうとすればどんなものにでも特殊性があります。しかし、それはかえって全体として長い目で見てプラスにならないんじゃないかということを考えております。
以上です。
奥村座長
ありがとうございました。ちょっと二、三分時間をオーバーしてまいりましたので、続きはまた次回と。今大学は春休み期間中なもんですから、少し期間が短くて申しわけございませんが、次回予定されております日は3月27日の水曜日、3時30分からということでよろしくお願いいたします。
議事の公開等は基本今までどおりですが、若干、二、三削除した方がいいところもございましたので、事務局の方と私の方にお任せいただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
―― 了 ――