須磨氏
私は、学者ではないので、専門的なことはそうよくはわからないんですけれども、やはりこれからの時代は、国民がすべて納得するような形で規制緩和が行われなければならないし、ある程度の規制も行わなければならないんだろうというふうに思うんですね。そうなると、例えば特に未成年の場合、母親の意思とか、家族の意思というのもかなり大きくかかわってくると思うんですけれども、お酒が財政目的のという、この規制の場合に、財政目的だというのを知っている国民は少ないのではないかと、まず思っております。この辺を納得していただかなければならないのと、またこのままでいいのかということも話し合われなければいけないのではないかと思います。
この財政目的というふうになった場合には、経済物質ということになると思うんですが、実はお酒は単なる経済物資ではなくて、社会的影響力のある特殊物資ではないかと、感覚的に私は思っているんですね。だからこそこういう話し合いが行われるのではないかと思いますけれども、だからといって悪いものではなく、人間関係のコミュニケーションツールにもなるし、逆にやり過ぎるとドラッグのようなものにもなると。また、酒は百薬の長という言葉があるかと思うと、さまざまな犯罪の温床にもなっていると。皆さんご存じのとおりだと思うんですね。そのプラス要因とマイナス要因をどこでラインを引いてプラスの方向に持っていくかという免許制度のあり方とか、課税のあり方が考えられるべきであろうというふうに思うんですね。
その場合、例えば設置に関して言っても、どんどん規制を緩めていくと、後で国民的な問題になってくる可能性があるというふうに思いますが、国が一つの線引きで数だけで規制する時代から、地域社会の中で地域の意思として規制していく時代に、これから変わっていかなければいけないのではないかという気もするし、かなり各論的に細かく考えなければいけないようなことが起きてくると思うんですね。大枠で言うと成人か未成人かというふうに分けたりしますけれど、そんなに簡単に分けられていいのかというのも、まだ頭の中で整理はできていないんですが、細かくその辺の配慮が必要な物資として存在しているのではないかというふうに思うんです。
産業的にいいますと、経済的にいうと自由競争の世の中にどんどんなっていくかとは思うのですけれども、やはりそうやってくると、先ほど先生おっしゃったみたいに裏がどんどん起きてくるので、やはり業界の基盤が大切だというのは、健全にもっていかないと、コントロール不能なものになってしまう。コントロール不能になると、先ほどの国民生活でマイナス要因がどんどん増えていくということで、産業の基盤を整備しながらも、あと先ほど言ったみたいに経済だけでなく、社会の中でお酒をどのように存続させるかというのが、設置基準と課税のラインの引き方に大きくかかわると思うので、かなり大変な懇談会のメンバーにさせていただいてしまったなと思って、気が重い部分もあるんですが、ただ逆に言うと、普通の国民の感覚を是非この委員会に入れていただきたいというのが、個人的な希望でございますので、よろしくお願いいたします。
座長
ありがとうございました。
寺沢先生、お願いします。
寺沢氏
二つほど感想を申し上げたいと思います。余り大した感想ではないのですけれども。
私自身、それから私が所属する研究所でずっとお酒に関する調査を長く続けさせてもらいまして、業界が深刻な状況だなというのを実感している状況です。
その1点目の感想というのは、冒頭に審議官のほうから「業」としてというふうな見方でこれから、というふうな御意見がありましたけれども、私も「業」としてこれから政策あるいは制度を考えていく必要があるなと。例えば業というふうな前提で考えると、懇命な説明を受けましたけれども、例えば免許というのは事業所ベースでずっと統計が取られていますけれども、企業がどうなっているかという事態が余りわからないんですね。ですから、将来そういうふうな意識でデータを整備されるという必要性があるかなと。その必要性というのは、我々お酒以外の流通について情報を集めたり、研究したりしているのですけれども、昔と比べてべらぼうに早く世の中が変わっていると。ですから、新業態だと言っていた、例えばダイエーとか、マイカルとかがもう倒産の危機に瀕していると。そういうふうな速度の中で卸にしても酒販店にしても、今まで体験の中でこういうふうにやればお客が来るよということが通じるのかどうか、これは非常に疑問なんですよ。ですから、これからはデータをベースにして将来を予測しながら、何か事業をやっていくという感覚が絶対必要なんですね。そういうふうなことができるような、そういうふうな産業政策にしてほしいなという印象が、私1点目の印象です。
それから、2点目は、アメリカとの比較、イギリスとの比較もありましたけれども、要するに目的のほかにもう一つ指摘がありました料飲店ですね。料飲店が日本の場合はやはり消費者の一員になっていると。やはり未成年への飲酒防止ということを考えていくと、持ち帰るか、お店で飲むかということは、余り大きな何ていいますか、違いではないと。ですから、どうしても料飲店の方に政策の手が及ばないことには、やはり歯止めがきかないのではないかという心配をしているんです。流通構造自体を考えていくと、やはり料飲店の方が組織化して、企業化していくという実態がある。となってくると、酒販店が料飲店に対していろいろ接触していく、その接触の仕方が、どっちかというと料飲店にリードされていってしまうような心配があるんですね。ですから、どういうふうな形で実現できるかどうかわからないんですけれども、どうしてもやはり料飲店をこの視野の中に一つ置いて、いろいろ考えていったほうがよろしいのではないですかね。それが二つ目です。
以上です。
座長
ありがとうございました。
本間先生、お願いします。
本間氏
私の申し上げることは、とりとめもないんですけれども、先生方、それからご出席の皆様の御発言を伺っていて、まず私がその前に申し上げたいことは、これだけの資料をまとめていただいて、本当にありがとうございました、皆様のお取組、大変だったと思いますということです。
おぼろげながら私の年取った頭の中にも少しずつ入ってきたんですけれども、ここで申し上げるまでもないことですが、やはりアルコールというものは本当にアンビバレンスで、この取組というのは本当に大変なことだと思うんですね。業界が活性化するため、税収のためには売らなければならなくて、それで売れないと困るんですけれど、問題点をたくさん抱えている。
まず、規制緩和ですけれども、私、何のために酒を飲むのかということを私たちはもう一度考えた方がいいと思うんです。酒を飲んで不幸になろうと思う人はいなくて、やはり皆さんは何かから解放されたい、それから連帯感を持ちたい、いろいろの目的が人間を幸せにするためのものではないかと思うんです。その辺の広報というのは、だれがどこでやっているのかと思います。適当な広報をしているところは、メーカーだけで、それも我が社の物を売りたいためという政策が見え見えですから、余りそれに乗りたくはないという感覚があります。国がそんなガイダンスを出すのはおかしいのでしょうか。私はその辺をよく考えていただきたいと思うんです。
一つ考えられることは、免許制が財政目的であったというのは、改めてここに書いていただいて、私現実にわかりました。前から薄々そうは思っていましたけれども、免許、これはもちろん業者に対して与えるもの、与えられるものであって、個人ではないわけですね。最後は個人の責任者であるわけですけれども、中小企業、商店の中で許可を与えられた人というのは、代々その家は家業だとすれば、免許は世襲なんでしょうか。
大柳課長補佐
免許は、人と場所、つまり、その場所でかつ人を特定して渡されるものなんですけれども、例外的に相続できることになっておりまして、世襲することはできます。
本間氏
そうしますと、世襲の場合はよろしいんですけれども、小売業者がだんだんいろいろ広く、アルバイトなどの人を雇って、現場かつ売る人が全く何の感覚もない。酒の知識それに伝統的関心もない人が取り扱うようになったその現場が私問題だと思うんです。小売業に関しては、その辺をやはり個人個人にここの小売店では何人というふうな免許制を取っていただけたら、もう少し責任のある売り方ができるのではないかというようなことを考えます。
それから、もう一つ、未成年の問題ですが、これは大学生の半分が未成年ですね。それでは二十歳になったら青年として扱われるのか。それで、その前はどうなのかというところが非常にはっきりしない。大学に入ったばかりのときは未成年で、その時のコンパなどというのが、死人まで出したりするわけです。私はやはりそれ以前に何らかのティーンエイジャーの年、ハイティーンぐらいになったときに、学習というのはしておくべきだと思います。これは家の中でなされるのだろうと思いますが、家にそれだけの教養がないという場合はどうするんだと思います。私は先ほど田中先生が言われた伝統文化としての位置づけというのは実に大切なものだと思うのです。酒は伝統文化である、これを日本人として、ことに清酒の場合ですが、清酒はさらに活性化していくべき最先端にある業種のように思いますが、食文化と含めて文化として少し広めていくということで、やたらと飲むという、そういう悪癖が緩和されていくのではないかと思うのです。その未成年者の取締というのは、私はやはり教育にかかっているのではないでしょうか。
かねがね提唱していることは、大学の中に総合的酒を学ぶ講座をつくってもいいし、何かそういうものをつくっていただいたらば、文化として学ぶ、税制として学ぶいろいろな視点が出てきてくれるのではないかと思います。そういうふうにして一般消費者の知識、それから感覚を育てていくというのが、やはり将来に向けて一番大切なことではないかと思います。
まだまだ申し上げたいことがございますけれども、余りおしゃべりをして時間をとって、申しわけございませんでした。
座長
ありがとうございました。
御船先生、お願いいたします。
御船氏
まず、私が、今先生がおっしゃったお酒のことについて、総合的な研究ができている大学があればいいとおっしゃったので、それはないんですが、生活科学部という意味ではそれをしなければいけないなと本当につくづく思っているんですが、私は家計簿を専門にしてまいりました。ちょっとそういう意味ではちょっとだけ調べてきたんですが、平成11年に全国消費実態調査というのがなされまして、それは9月から11月の平均で5万世帯ぐらいの平均なんですが、世帯人員平均で3.4人で、世帯主の年齢が51.4歳、この世帯がどのくらいお酒にお金を使っているかといいますと、1カ月当たり3,962円でございます。食料費が大体8万2,218円ですので、4.8%ということで、これお米の消費が3,797円ですので、お酒の方が若干多いというぐらい、結構生活の中で非常に重要な食べ物と言ったらここには失礼で、飲物だと思います。
割合を見ていまして、先ほどちょっと量の紹介があったんですが、金額のベースで言いますと、パーセントで言いますと、お酒を100%にしますと、清酒が27.8%です。これは2番目でして、一番多いのはやはりビールで48.4%。その次に多いのがやはりちょっと変わってきたなというふうに思ったんですが、果実酒、ブドウ酒が多いんです。その次にしょうちゅう、あとウィスキー、発泡酒みたいなものが多いかなと思ったのですが、やはりまだまだ少なかったという印象です。
生活には物すごく重要な物資で、だけれども先ほど須磨さんがおっしゃったように、確かに多分ひどい税金が、高額な税金を納めているなということは、ある部分では非常にわかっておられなくて、でもわかっているから発泡酒が物すごく売れるという、一方でそういう現象があって、やはり消費者にはわかりにくい商品だなと。つまり定価を見てもその中で実際の価格、これ実際の価格も税金が入っているわけですが、実際の価格というふうに思えばいいんですが、でもやはりここで言う財政物資という、これも財政物資と本当に言っていいのか、税源物資みたいなふうに言ってくださった方が消費者にはわかるなとか思いながら、やはり従来の酒税という重要な枠組みが先にあって、その後に酒類業というふうに行く、これは当然なんですが、転換をしなければいけないかなというふうに今思っています。
先ほど田中先生がおっしゃったように、酒類というところから酒税を考えていくということ、これは発想としてはいいかなと。つまり消費者から見ると、酒税というのはどういうふうな枠組みの中で、何のために掛けられているのかなということの整理をしていただくと、実際に一つ一つの商品に書いてなくてもわかるんで、もちろん税というのはさまざまな目的で掛けられているというのはわかるんですが、しかし酒税に関してはどういう目的で、何のために、どういう基準でというのが、わかるような形で整理していただけると、本当はいいのかなということと、それからやはり酒類というものを私たちが見るときには、やはり情報として見ていきますので、これからは消費者教育と同時に、酒類だけではなくて、生活者情報というか、消費者情報というのをきめ細やかに、しかし余り煩雑にはならないような形で考えていけたらいいなというふうに、ちょっと2点ほど思いました。
以上です。
座長
ありがとうございました。
少し時間を超過いたしまして、私のやり方がまずくて申しわけございませんでした。
一通り御意見をいただきまして、20点ばかりいろいろなことを御指摘いただいているんですが、本来は事務局の方からも少しリプライしていただいて意見交換するとよろしいんですが、今日はちょっと無理なようなので、事務局の方には次回、今お出しいただいた20点ばかり御整理いただいて、何かまたリプライしていただくということで、お願いさせていただきたいと思います。
それから、私自身は酒にかかわって、今も御指摘がありましたように、市場でほったらかしにしておくと、いい点悪い点いろいろ出てくる外部経済とか、外部不経済が必ず伴ってまいりますので、政府は何らかのかかわりをお持ちになるのは非常によいことだと思います。
ただ、ちょっと今時差の最中にありまして、ウィーンから帰って来たばかりなんですけれども、ヨーロッパはもう1月1日からお金は全部一緒、当然お酒の売り方とか、各国一緒になってくるということでしょう。世界的に今アメリカとヨーロッパでいろいろなルールを決めていくんですけれども、もし次回可能でしたら、アメリカとイギリスの規制をお調べいただいているので、今度統合するEUは各国で何か違いを持たせるのか、やはり12の国一緒になってしまうのか、そのあたりのことをちょっとまたお教えいただけるとありがたいと思います。
それから、あと3,000万人ぐらい高齢者の方が間もなく出てきて、人口は減っていくわけですけれども、お酒の需要に対して私ちょっとよく存じ上げないんですが、年齢別にお酒の需要というのはどういうことになっているのかなということと、今まで戦後四、五千万人人口が増えてくる中で、このお酒の産業というのは発達してきて、規制が行われていたんですが、今度は当面2,000万人ぐらい減ることが今展望されますので、多分ビジネスをやっていらっしゃる方は、4,000万人ぐらい増えたのが2,000万人ぐらい減るというので、6,000万人ぐらい人口の落差ができてまいりますので、そういうときにお酒の需要はどのようなことになりそうでしょうか。そういった将来のレンジのことも考えて、いろいろな政府のかかわり方をご検討いただけると、なおよろしいかなと思っております。
いずれにしても私はまだ知識が乏しいので、いろいろお教えいただく中で、皆様方とご一緒に検討をさせていただきたいと思います。
時間を超過して申しわけございませんでしたが、議事録の公開は、先ほど事務局の方から御案内いただいたような形で進めさせていただきたいと思います。
次回の会合は、1月の下旬を考えておりますが、皆様方のお忙しい中を事務局の方が大変御苦労なさって調整される。しかし、それはもうとても困難な仕事ですので、きょう机の上にご用意いただいている日程表をもし何か○×などを打っていただいて、御連絡いただければ、最大皆様方のご協力いただける日で調整させていただきたいと思います。
あと何か御連絡ございますか。そうですか。あと審議官よろしいですか。
それでは、本日はこれで散会させていただきます。
どうもありがとうございました。