小林分科会長
 ありがとうございます。
ただいまの御説明について、何か御意見または御質問はございますか。これはこれから具体的に検討するということで、また、この会に諮っていただくということですね。
審議官、この「酒類販売業等に関する懇談会」というのは、去年の12月に行われたのですか。

岡本審議官
 去年の2月、半年以上かけて懇談会を開催いたしまして、12月に取りまとめていただいたものでございます。学習院大学の奥村洋彦先生に座長をしていただきまして、未成年者の飲酒防止の関係を中心に、医学関係の先生方や、青少年の教育問題の先生方、さらには、産業界の関係の方にもいろいろ御意見をいただきまして、さらには海外の視察をしていただいたことを受けまして、取りまとめが行われたものでございます。その中で、いろいろと表示についての提言をいただいたものですから、その行政側のフォローアップとして、今回審議会にお諮りしているわけでございます。

小林分科会長
 ありがとうございました。

小川委員
 ここまで酒税が範囲を広げようということであれば、審議官の懇談会において飲酒と運転との関係に関する意見は出なかったのですか。つまり、はるかに重要なのは、飲酒と運転ではないかと。酒そのものに関する表示ということで、第8条の4の1号、2号までは健康法ということで分かるのですけど、3号のように、酒の飲み方と健康などというものはどこまででも範囲が広がっていく。そんなことを言うのであれば、これだけ問題な交通問題についてきちんとここへ追加して、「飲んだら乗るな」と必ず書けという表示をやろうというのは懇談会では出なかったのですか。そこは、バランス感覚からいって変だなと思っております。

岡本審議官
 確かにそういう議論もございましたけれども、一つは道路交通法での話もあるものですから、ここの表示でどこまでできるか。ここでは、「酒類の消費と健康との関係」というふうに非常に抽象的に書いておりますけれども、基本的には、たばこと同じように「飲み過ぎに注意しましょう」というような発想でございます。飲み過ぎに注意するというのは、飲み過ぎに注意しないと、自分の体をおかしくすることもございますし、事故を引き起こすもとにもなるという意味で、例えば、たばこと同じように「飲み過ぎに注意しましょう」というような表示を統一できないだろうかということが元となっております。
ただ、そういう議論をしていきますと、決してたばことお酒とは一緒ではないので、少々飲むのならむしろお酒は体に良いのだという意見もございます。確かに我々も適正飲酒ということを申し上げまして、清酒1合、ワイン一、二杯ならば、むしろ健康にも良いというような議論も出てきますと、被害だけを、害だけを書けば良いというものではないという議論になりました。
ただ、今、自主的に「飲み過ぎに注意しましょう」と書いている場合もありますし、妊産婦に限って「健康に害がありますから」と書いている場合もあるものですから、そこはある程度共通の認識に基づく共通の書き方ができないかということを議論する枠組みは作っておいた方が良いのではないかという考え方です。
 ですから、小川委員がおっしゃるとおり、飲み過ぎたらどういう悪影響があるのかということになりますと、もちろん飲酒運転という問題もあれば、未成年の非行問題、体への害もある、ということでございます。

小川委員
 いや、そこが基本であり、健康に関しては飲み過ぎが問題ですけれども、運転は飲み過ぎの問題ではないのですよ。飲んだら乗ってはいけません、ということです。

岡本審議官
 そもそも、全く飲んではいけないと。

小川委員
 飲み過ぎを問題にするなら、その手前をなぜ問題にしないのか。なぜ、酒のメーカーは妊婦のことは心配して、「運転したら飲んではいけません」と、あるいは「これを飲んだら運転してはいけません」という表示を自主的にやらないのですか。それを置いておいてこっちへだけやってくるのは、何かバランスが変ではないのかなと思います。産業界のあり方とか、世の中の風潮とか、各省の力関係に押され過ぎてはいないかなと。

小鞠酒税課長
 飲酒運転との関係で言うと、世論と言いますか世の中の雰囲気が随分厳しくなってきておりまして、道路交通法においても罰則が非常に多くなってきておりますので、もう、缶に表示するまでもなく、「飲酒=飲んだら乗るな」ということが定着している感があるのではないかということでございます。懇談会の場では、もちろん警察からも来ていただいて、飲酒運転の話もしていただいたのですけれども、この問題に関してはあえて警告表示を発するまでもないというほど、社会的には「飲んだら乗るな」という言葉が定着しているのではないかと思います。そういうことで、それ以上の議論にはならなかったわけですございます。

小川委員
 今のところは、警察が書かないでくれと言ったわけですか。

小鞠酒税課長
 いえ、警察から説明も受けましたけれども、懇談会の先生方からは、あえて飲酒運転の話を書かないとか、書いた方が良いという議論は、特に取りまとめの間では出なかったのですね。やはりそれは、既に道路交通法の厳罰化が社会に浸透して、あえて缶に書くまでもなく、「飲んだら乗るな」ということが浸透しているからではないでしょうか。

潮田委員
 つまり、お酒の害を強調したような表示をしたいという雰囲気が世界的に強いのですか。先ほどの話だと、どこかの国が強調していたというお話でしたけれど、どういうところなのですか。

小鞠酒税課長
 国的に言うと、北欧とかは結構強いことを言っておりまして、たばこ並みにとは言わないまでも、枠組み条約を作って、やはりそういう厳格表示をという様子ですね。

潮田委員
 お酒を飲むと病気になるよとかいうことを書かせようということですね。

小鞠酒税課長
 そうですね。

小林分科会長
 薬にも書いてありますよね。風邪薬などは、「運転に適しません」と書いてありますね。

潮田委員
 つまり、むしろ動機としては、前もって少し、防衛線を張っておこうと、こういうことですか。余り撤退してからやると大変だから、早めにという。

小鞠酒税課長
 日本としてもやるべきことはやっていると主張した方が、そんな枠組み規制を作るという動きに対しては有効かと。

亀井酒税企画官
 厚生労働省の方で、「健康日本21」という施策等もやっております。したがって、飲酒というものは、先ほど小川委員もおっしゃられましたけれども、いわゆる人の自己責任の世界ではありますけれども、飲んだ場合の影響というものについては、致酔飲料を扱う酒類業者として、一つやはり啓発というものを常日ごろから心がけていこうという一環の中で、製品表示というものをやはりきちんとやっていかなければいけないのではないかということで、そこは我々としてもしっかりやっていってもらう必要があるのではないかということであります。

岡本審議官
 飲酒運転防止を徹底することは、いずれにしろ考えていかなければいけない大事な問題だと思うのですけれども、飲酒運転がいかんということついては、多分だれも異論はないと思うのですけれども、お酒を飲むことと健康への影響、飲み過ぎの問題ということは、今でも書き方が結構まちまちで、良いのか悪いのか、それはいろいろあるのですけど、科学的・医学的な検証もなかなかきちっとしたものが出ていない現状でございます。ですので、余り書き方がまちまちになってしまうと、これはやはり消費者にとっては分かりにくいと言いますか、同じお酒でも統一がとれていないというのでしょうか、良いのか悪いのか、それは人にも本当はよるのだとは思うのですけれども、その辺はある程度自主基準に任せるにしても、共通の表現にしていった方が消費者を混乱させることがないのではないかということでございます。うまくまとめていければ、こういう中で共通の表示をしていきたいということなのです。飲酒運転の方は、そういう意味では「飲んだら乗るな」ということが一致している話でございます。それを表示させるかどうかというものは、確かに考えていかなければいけない問題だとは思いますけれども。

小林分科会長
 よろしいですか。今の御意見についていろいろと御検討いただきまして、今後行政に生かしていただきたいと思っています。
では、時間の関係もございますので、最後の酒類産業の現状と今後のあり方について御説明をいただきましょう。

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