小鞠酒税課長
それでは、説明資料2につきましては、本年3月に行われました国税審議会本会の際にも御説明させていただいたものでございます。内容といたしましては、基本的に同じでございますけれども、その後いろいろと具体的な取り組みを行ったことについて、具体的に記述しております。ですので、前回の説明との重複は避けて、具体的な取り組みをポイントに御説明をさせていただきます。
資料の中央にございます「対策」というところでございますが、まず、製造関係の対策に関しまして、品質水準の確保・向上といたしまして、高付加価値化のための研究・技術指導がございます。例えばでございますが、製造基盤技術の強化ということに関しましては、清酒の製造技術というものは、日本が今まで伝統的に培って開発してきた、お米や酵母をぎりぎりまで活用して良いものを造るというものでございますが、それをさらに強化して次世代につなげていくといった取り組みをこれからは強化していきたいと思っているところでございます。
また、新たな品質評価制度の検討ということがございます。現在、いろいろな酒、特定名称酒、純米酒、吟醸酒等々ございますが、なかなか消費者に分かりにくいということがございますので、消費者への情報提供ということで、一定の品質基準を作りまして、その品質基準をクリアしたものについて、「これは一定の品質基準をクリアした、ちゃんとしたお酒ですよ」といった表示ができないかということを検討しているところでございます。
適切な情報提供のための地理的表示等とございますけれども、これは正に、先ほど御議論いただいた地理的表示の話でございます。また、それ以外に何があるかと申しますと、例えば、甘辛表示、甘口、辛口といった表示をすることによって、消費者が店頭でお酒の瓶を見て、そこに貼ってあるラベルを見ただけで、「ああこれはこういうお酒なのだ」ということがよく分かるようにできないかということを検討しているところでございます。
次の、構造・経営戦略上の問題への対応策ということで挙げさせていただきましたが、三つ目に輸出の振興、輸出の振興のためにいろいろな施策を講じていくということでございますが、輸出セミナー等を実施し、輸出マニュアルを作成いたしました。また、酒蔵見学ツアーの実施ということがございます。海外から日本へ旅行に来ていただいた方のツアーコースに酒蔵見学というものを入れていただいて、酒蔵を見ていただいて、清酒に対する理解を深めていただき、旅行から帰ってからも清酒を飲んでいただければといったことも考えているところでございます。また、海外でのプロモーションといったことも実施していくということでございます。
次の四角でございますが、生販三層を通じた指導ということで、二つ目に市販酒の自己チェックの強化(品質管理も含め生販三層を指導)がございます。今までも市販酒というもののチェックというのは行っておりました。お店で実際に酒を買ってみて、それをチェックするということをやっておりましたが、今までは、どちらかというとメーカーの指導に重点を置いておりまして、良くないお酒については、メーカーに対して、「こういうような問題があった」ということをメーカーに指導するということでございましたが、これからはあわせて流通段階での品質管理といったこともしっかりチェックして、流通業者、主には小売店になるわけでございますが、小売店に対して、「あなたの管理の仕方が良い、悪い」といったことを徹底指導していきたいと思っているところでございます。
次の販売業の課題への対応策ということでございますが、その下の、販売業全体というところに、社会的要請への的確な対応ということがございます。これにつきましては、酒類販売管理の厳正化、酒類表示基準の見直しがございます。酒類表示基準の見直しというのは、最初に御議論をいただいた未成年者飲酒の関係の表示のことでございます。また、酒類販売自販機撤廃への取組、先ほど津委員の御質問にお答えした酒類自販機の撤廃の取組といったこともございます。年齢確認の徹底ということも、表示基準との関係で御説明させていただいたところでございます。こういったところで、社会的要請への的確な対応ということにも取り組んでいきたいと思っているところでございます。
次の、消費者の視点に立った対応策ということで、今までの説明と重複いたしますが、やはり消費者に飲んでいただいてこそのお酒であり、消費者にきちんと飲まれることによって酒類業の発展が図られるということで、消費者に対して分かりやすい情報提供をするとともに、消費者に安全でおいしく飲んでいただくためのいろいろな取り組みをしていくというところを、ここに書いているわけでございます。
こういった取り組みを踏まえまして、目指すところは一番右の将来像というところに太字で書いてございますが、「量から質への転換」ということでございます。繰り返しになりますが、今後、人口が減少していく社会、そして、そもそも、人の消費のパターン、いろいろな好みの変化から、かつてに比べたら、お酒そのものを一人当たりが飲む量というのは減っていくという状況でございます。量的な拡大を追求するということは、もちろん個々のメーカーの戦略としてはあり得るかもしれませんが、業界全体の選択としては当然あり得ないことでございまして、やはり高品質・高付加価値の酒を飲んでいただくことによって業界の発展を図るということで、量から質への転換といったことが基本になるわけでございます。そういったことを目指して、生販三層全体を展望した酒類業の発展を今後とも図ってまいりたいというシナリオでございます。
以上でございます。
小林分科会長
ありがとうございました。
酒類産業の現状と今後のあり方につきまして御報告いただきました。いかがでしょうか、何か御意見、御質問がございましたらおねがいします。特に、ございませんか。
(「なし」の声あり)
小林分科会長
国税庁は、御承知のとおり、酒類産業全体の健全な発展ということも大事なお仕事でございますので、委員の皆様におかれましては、辰馬委員が先ほどお話ししておりましたけれども、文化的なものも、今後非常に大事になってまいりますので、ぜひ、名案を出していただいて、この業界の発展ということをお願いしたいと思っております。
本日の議事録は、まず議事録要旨を発表しまして、それから後に、議事録を公表いたします。もっとも、議事録の公表につきましては、公表前に委員の方々に御連絡いたしまして、御発言の内容に誤りがないかどうかなどにつきまして御確認をいただきたいと思っております。
それから、議事要旨はごく簡単なものでございますので、できましたら、その内容につきまして私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
小林分科会長
ありがとうございます。
予定よりも少々時間が余っておりますが、また、最初の議長をやりまして、あまりうまくいきませんでしたけれども、委員の皆様の御協力に感謝いたします。
それでは、本日はこれで散会ということにいたします。ありがとうございました。
―― 了 ――