小鞠酒税課長
それでは、国税審議会酒類分科会説明資料の1というところを御覧いただきたいと思います。「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行令の一部を改正する政令案新旧対照表」、そういったものがございます。これは今まで御議論いただきました表示の基準、これのもとになっている政令の改正でございます。
これの仕組みといたしましては、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律を受けまして、この施行令で、表示の基準を決める事項を、政令上、列記いたしました。ここで列記したものについて表示の基準を決める際には、皆様方、国税審議会にお諮りするという仕組みになっているわけでございますが、今回はもともとの表示基準を決める事項を一つ追加したいと思っておる内容でございます。内容といたしましては、酒類の消費と健康との関係に関する表示、こういったことを追加いたしまして、この表示基準を今後新たに作っていきたいという内容でございます。
酒類の消費と健康との関係に関する表示というのは、現行上こういう表示基準を設けていないわけですが、業界の自主的な取り組みといたしましては、既にビールの缶などにございますけれども、「妊産婦の飲酒は胎児に影響があります」といった表示がございます。メーカーによっていろいろ表示内容は違いますけれども、「お酒は楽しくほどほどに」とか、そういった大量飲酒に関する注意表示、こういったものもございます。これは全て現行のところ、業者の自主的な判断によって行われているところでございます。
ただ、今後のことを考えますと、こういう業者独自の判断で行われるよりも、やはり消費者に適切な情報を提供するという観点からは、ルールを一つ確立すべきではないかといった考えがございます。
昨年12月の酒類販売業等に関する懇談会の取りまとめでは、こういった各社の自主的な取り組みで実施されている、妊産婦の飲酒に関する表示ですとか大量飲酒への注意喚起といったことのルール化を検討すべきではないかという指摘を受けたところでございます。
また一方、国際的な動きで申し上げますと、WHOにおきまして、たばこに関する非常に厳しい内容の枠組み条約もできまして、国内的にも実施されているところでございます。酒類に関しましては、たばこほどではないにせよ、やはり国際的な枠組みを作るべきではないかといった議論がございまして、本年5月に行われましたWHOの総会でも、そういった議論が一部の国から強く出されたところでございます。
それに対しまして、我が国は、アメリカ等とともに、酒類については、そういった国際的な枠組みを議論するよりも前に、各国の自主的な取り組みがきちんと行われる必要があるし、それで十分ではないかという主張をしているところでございます。我が国がそういった主張をしていくためにも、ある一定の我が国独自のルールを自主的にきちんと確立していった方が、そういう国際的な場で日本の主張をしていく裏づけになるのではないかといった考えもございます。
ということも踏まえまして、今回、この新旧対照表の改正案のように、具体的には第8条の4の第3号に、酒類の消費と健康との関係に関する事項といったことを追加いたしまして、こういう表示基準を作る一つの枠組みをまず整備したいと思っております。
その上で、そういった政令改正をした上で、具体的に、どういったことについてどういった表示基準とするかにつきましては、今後、業界と調整を行いまして、調整がついたものから表示基準を具体化していきたいと思っています。その際には、当然、この分科会にまたお諮りして、御議論いただければと思っているところでございます。
以上でございます。