小川委員
第2点はどうですか。
初谷課長補佐
はい。諸外国で日本酒が造られたらという話なのですけれども、この清酒に関する地理的表示の保護というのは、国内的な枠組みでございまして、諸外国で造られたお酒で、例えば西条という名前を付けたものが日本に入ってきた場合というのは、一応、水際で止める。それは引き取った場合、そういう表示はしてはいけませんということを、税関で輸入するときに引き取り業者に対して言うことができるということになります。国内的な保護は図れるということでございます。
アメリカで売られている日本産以外のお酒という場合になったときには、ここはやはり国内的な保護ですので、そこは規定が及ばないことになりますけれども、これは将来的な目標になるかもしれませんが、WTOで、今、ぶどう酒と蒸留酒が指定されております中に、清酒も指定してくださいというふうにWTOで意見を言って、その枠組みが整えば、国内的な保護をこういうふうにしているのでということで、その主張もしやすくなる。そういうことで、将来的な目標であるということと、あと、清酒だけをお願いするとほかの農産品にも多少その議論の影響が及ぶということで、他省庁との調整もしなければなりませんが、一応、目標としてはそういうふうに考えてございます。
小林分科会長
どうもありがとうございました。
「水際でチェックする」というのは簡単なのですか。
初谷課長補佐
はい。税関で、きちんと表示、ラベルを届け出ることになりますので。
小林分科会長
これは独禁政策との関係は、何かございませんか。
初谷課長補佐
一般に原産地を偽って表示することはいけないことになっています。それを酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律で、類とかタイプとかというところまでを規制するということで、それよりももう少し踏み込んだ強い規制をすることになりますが、基本的には問題はないと考えています。
小林分科会長
辰馬委員、生産者の立場からは、いかがでしょうか。
辰馬委員
ここに「出羽三山の水」を出して頂いておりますが、これの清酒バージョンが生まれるということになるのでしょうか。世界に誇る日本の醸造酒として、日本酒の地位をWTOのトリップス協定に基づいて保護していくことを国際的見地から検討してきたところでありますが、この度企図された清酒の地域ブランド確立に向けた体制の整備は、私たちにとり積極的活用の機会になると前向きにとらえております。
今日本では方言の魅力が高まり、守ろうという機運が広がっています。同様に産地の経済的価値が高まり、この表示は消費者の選択肢や比較を楽しむ要素になると思います。
難しい技術用語を並べたメッセージよりも、産地表示のほうが親しみやすいですし、外国むけでも単なる日本ブランドよりも産地ブランドの方が印象が残ると思われます。また、蔵元にとりましても産地の力を結集しやすいですし、産地のカラーを出した自慢の酒に力を入れるようになるでありましょう。
日本酒造組合中央会は、日本酒団体でなく、個性ある産地の集まりが本質であります。グローバルとは、均一化ではなく個々の本来性を大切にし、尊重してこそのグローバルです。この度の表示基準の改正を、清酒業界が「多様性の力」を発揮する機会としたいと考えます。
小川委員
希望だけ申し上げておきますと、趣旨は良いのだと思うのですけれども、国税庁で最後に決めるときに、消費者から見て、メーカーの力によって過剰にならないように気をつけていただきたい。
それだけです。
小林分科会長
ぶどう酒・蒸留酒の場合は、そういう問題は起こっておりませんか。
初谷課長補佐
はい。特には、問題点としては聞いておりません。
小林分科会長
そうですか。では、一つ小川委員の御意見を尊重していただきたく存じます。