小林分科会長
 ありがとうございました。
 ただいま事務局から御説明いただきました未成年者の飲酒防止に関する表示基準を定める件の一部改正について、素案でありますが、御質問あるいは御意見ございましたら、おねがいいたします。いかがでございましようか。
 この素案のポイントの一つは、明確に20歳以上の年齢であることが確認できない場合は酒類を販売しないということですね。そしてもう一つのポイントは、前の陳列場所の掲示をまたすぐ変えるとなると大変なので、2年ぐらいは間を置こうということですね。
 いかがでしょうか。
 私が、分からない点といたしましては、この現行の「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」という表現と、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」という表現の関係が、追加的なものなのか、あるいは、全く違うものなのかということでございます。
 全く違うということはないでしょうが、改めるということなのでしょうか。両方の意味なのでしょうか。

小鞠酒税課長
 そもそも何故、未成年者に酒類を販売しないのかというと、未成年者飲酒禁止法におきまして、未成年者はお酒を飲んではいけないという規定がございます。また、同じ法律の中で、酒類を提供する者は、未成年者が飲酒することを知って提供してはいけないという規定があるわけでございます。ということで、法律的には、未成年者の飲酒が法律で禁止されているから販売業者が売ってはいけないということになるわけです。
 そこで、未成年者の飲酒は法律で禁止されているというのはある意味で当然のことなのですが、それを今さら未成年者に幾ら言っても、なかなかインパクトがないのではないかと存じます。販売店の店頭に、未成年者の飲酒が法律で禁止されていると書いてあっても、未成年者が、「では、買うのはやめておこうか」ということにはならない可能性が高いのではないかということでございます。
 「あなたは飲んではいけないのですよ」というよりも、お店の側から、「あなたが20歳以上だと分からないと私は売りませんよ」と言った方が、未成年者の方々に、「買えないのだな」ということが分かるのではないかということでございます。
 未成年者がお店で買うことに対するプレッシャー、牽制効果をより発揮できるのではないかといった御議論から、表示の内容をこういうふうに変えた方が良いのではないかということでございます。もちろん、未成年者の飲酒は法律で禁止されているという表示は意味がないというわけではございませんが、こういうふうに変えた方が、より良いのではないかと検討しております。
 私どもが、業界の方と意見交換させていただきましたところ、「お酒コーナーである」ということ、「法律で禁止されている」ということ、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」ということの三つを表示に載せたらどうかという議論がございました。しかし、さすがに、記載事項がたくさんあると、プレートがやたらとでかくなるとか、一つのプレートにたくさんの事項を書くことによって、字が小さくなってしまい、かえって表示内容を読みづらくなってしまうという問題があるのではないかというお話もございまして、それであれば、記載事項を絞って、今回は、「未成年者の飲酒は法律に禁止されている」という表示にかえて、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には販売しない」という表示を義務づけるということでございます。
 もちろん、プレートに記載する事項の絞込みは法律による義務付けが対象でございますので、「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」ということを表示しないというわけではございません。「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨についても、引き続き表示していただく方が望ましいのでしょうけれども、法律上表示を義務付ける内容といたしましては、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」ということにしたいということでございます。

岡本審議官
 少々補足させていただきますと、未成年飲酒禁止法において、年齢確認をきちんと行いなさいという規定が既にございます。しかし、その規定は、罰則がついていないものになっております。ここで「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」と表示することは、販売店自らが、年齢をきちんと確認しますと宣言してもらうということになるわけです。
 これは単に宣言しているというだけではなくて、この表示というのは非常に重い効果がございます。参考資料4に酒類の表示制度のスキームというものを書いているのですけれども、今回の改正素案のように、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」という表示を義務付けることになりますと、この表示基準は「重要基準」に該当することになります。つまり、この表示基準を守っていない場合には、その店がいわば表示基準違反ということになりまして、例えば、店名の公表、罰金の適用、最後には免許の取り消しというようなことが、効果として出てくるわけです。
 そういう意味では、単にプレートの書きかえということではなく、極めて重たい意味がございまして、ある程度浸透させていくためにはやはり経過期間も必要だろうということでございます。今の規定だけでは、現状として不十分な面があるものですから、一歩踏み込んだ措置、つまり、こういう表示の改正という措置を採っていきたいという意味がございます。

潮田委員
 この改正のとおり、酒類購入者の年齢確認を厳格に実施しますと、「お使い」で買いに行くということも駄目ということになるのではないかと思いますが、この点については、どういうことになるのでしょうか。お父さんやお母さんがお酒を買いに行かせるということは、現在の規定でも問題なのですか。

小鞠酒税課長
 厳密に言いますと、未成年飲酒禁止法上は、未成年者自身が飲むということを知っていながら酒類を販売してはいけないということでございますので、本当にお父さんお母さんが飲むということであれば売っても構わないわけでございます。ですので、今回の改正案についても、言ってみれば、店自身の宣言でございますので、本当にお使いであるということが明らかであれば、問題ないということになります。これはあくまで、こういう宣言するということの表示を義務づけているというわけでございます。実際の行為自体を縛るものではないものでございます。

こう津委員
 この素案自体に直接は関係ないのですけれども、自販機とか通販とかインターネット上の販売においても同じような表示をしなければいけないという規定が後半の方に書いてあったかと思います。通販やネット販売でしたらすぐには手元に届かないですから、未成年者が購入するということもなかろうかと思うのですが、問題は自販機のことだと思うのですね。
 未成年者がアクセス可能な従来型酒類自動販売機と改良型自動販売機というような文言がございますが、具体的にどういった違いがあって、どの程度の自動販売機が改良型に移行しているのかということについてお伺いしたいと思います。また、将来的には全ての酒類自動販売機を撤廃するようにいたしましょうというようなことも書いてありますが、そのような方向に向かっているのかどうかというあたりについてもお伺いしたいと思っております。

亀井酒税企画官
 数字的なことを申しますと、全国酒販組合中央会では、平成7年5月に、いわゆる従来型の自動販売機を撤廃しましょうという決議をしたわけでして、その後、初めて平成8年3月に調査したときの自動販売機というものは約18万6,000台ございました。その後、従来型の自動販売機というのは、暫時、撤廃ということで減ってまいりまして、一番新しい統計ですと、平成16年4月1日現在で自動販売機は4万3,000台まで減ってきておりまして、当初申し上げたものからの残存率ということで申し上げますと、23%ということになっております。
 一方、こう津委員の御指摘にございました改良型の自動販売機と申しますのは、あらかじめ、例えば運転免許証を差し込むと20歳以上の年齢であるかどうかといったことが確認できる場合のみ、その自動販売機が稼働するといったものでございます。

こう津委員
 知らなかったですね。そういうのがあるんですか。

亀井酒税企画官
 はい、ございます。それから、店舗で年齢を確認して、その店頭に設置してある自動販売機において使用できるようなIDカードをお渡ししているというようなものを、いわゆる改良型自動販売機と言っているのですけれども、こういった改良型自動販売機につきましては、現在、1万6,000台程度まで増えてきているということであります。
 ただ、そうは言いながら、昨年末の「酒類販売業等に関する懇談会」取りまとめでは、自動販売機での酒類の購入については、例えば運転免許証の貸し借りだとかいった問題が残るのではないかということで、「自動販売機といったものは、我が国特有の形態でもあるし、完全な未成年者飲酒防止のためには全部撤廃すべきだ」という御意見もございました。現在、従来型は当然廃止ですけれども、改良型についても、やむを得ない場合を除き、将来的には全部を廃止するような方向でございます。何分、自動販売機は小売業者の持ち物であり、所有権が小売業者にあるものですから、やはり小売業者と意見交換しながら、どうやって撤廃していくのかというものをきちんと検討しながら、全廃していくために取り組んでいるところであります。

こう津委員
 ありがとうございました。

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