寺内酒税課長
 それから、今年の6月19日付で当審議会から答申をいただきました一部改正事項でありますが、6月30日付で改正させていただきました「酒類の陳列場所における表示」、「通信販売における表示」、「自動販売機に対する表示」のうちの酒類販売管理者のところでございますが、ここの部分が今年の9月1日から適用されております。
 1の「酒類の容器又は包装に対する表示」では、容器、包装に「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示を。それから、2の「酒類の陳列場所における表示」では、「酒類の売場」では、「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨を陳列場所に表示すると。それから、3の「自動販売機に対する表示」では、「自動販売機に未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨と。「免許者及び酒類販売管理者の氏名」を表示する。それから、4の「酒類の通信販売における表示」では、カタログや申込書等に、「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」と表示する内容のものでございます。
 この基準を重要基準として定めますことについては、酒類は致酔性・依存性を有する飲料であること、未成年者の飲用が禁止されているといったことから、適正な販売管理が求められる商品であり、他方、先ほど次長のあいさつにもありましたが、注意しなければ酒類以外のほかの飲料とも混同しかねないような外観の物も出てきているというのが一つの背景でございます。また、規制緩和によって酒類へのアクセス機会が増加していく中で、未成年者飲酒防止や、飲酒運転の防止等への実効性のある対応、適正な販売管理についての社会的な要請が高まっているということも背景としてございます。そこで、酒を製造、販売する上で最低限必要な管理であるこういったものについて、遵守を義務づけるために重要基準に定めることが必要と考えているわけでございます。
 これらが1、2、3、4それぞれの事項でございます。ポイント数についてはそれぞれの事項でございます。
 次に、先ほど説明した基本的考え方の3番目の、国際的に調和のとれた対応を図るための必要がある基準は、「地理的表示に関する表示基準」でございます。これは30ページの資料13でございます。資料13に地理的表示に関する表示基準ということで、いわゆる「ぶどう酒」及び「蒸留酒」に係る地理的表示につきましては、TRIPS協定というものがございます。これは「世界貿易機関を設立するマケラシュ協定附属書1-C知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」というものでございますが、これよりまして、その使用を禁止し保護を図っております。我が国におきましては、TRIPS協定の注意書きに基づきまして、行政上の措置として、やはり酒類業組合法第86条の6の規定による表示基準を定めて「地理的表示の保護」を図っております。
 この「地理的表示」とは何かと言いますと、ワインのボルドーとか、シヤブリとか、ブランデーのコニャックのように、その酒類に与えられました品質、評判が本質的に地理的な原産地に起因するものと考えられる場合において、その酒類がWTOの加盟国の領域、またはその領域内の地域、もしくは地方を原産地とするものであることを特定する表示でございます。
 特に、「ぶどう酒」と「蒸留酒」につきましては、他の物品では、誤認混同がある場合の保護を目的として、例えば、日本産のチーズに、「日本産チーズ カマンべ−ル風チーズ」とか、そういうことをつけることができるんです、表示を行うことができるんですが、「ぶどう酒」とか「蒸留酒」の場合は、「日本産のワイン ボルドー風」というような、何とか風とか、何とか型とか、そういう表示も、「ボルドー」という言葉は使ってはいけないという意味で、「ぶどう酒」、「蒸留酒」については、より強い地理的表示の保護、いわゆる地理的表示の追加的保護を図っております。
 この基準の概要につきましては、1の地理的表示の保護では、TRIPS協定に基づいて、「ぶどう酒」又は「蒸留酒」について保護すべき地理的表示として、まず我が国の「ぶどう酒」又は「蒸留酒」の産地、それから2番目にWTO加盟国の「ぶどう酒」又は「蒸留酒」の産地に区分して、先ほどのボルドーとかコニャックはWTOの方ですが、いずれの場合にも、当該産地以外の地域を産地とする「ぶどう酒」又は「蒸留酒」については、そういった「地理的表示」を使用してはならないことを定めております。
 我が国の「ぶどう酒」又は「蒸留酒」の産地のうち、保護すべき地理的表示につきましては、国税庁長官が指定することになっておりまして、33ページの方を御覧いただきますと、資料14がございますが、地理的表示に関する表示基準2条に規定する国税庁長官が指定する「ぶどう酒」又は「蒸留酒」の産地ということで、蒸留酒について「壱岐」、「球磨」、「琉球」の3つが指定されております。
 今、申しましたように、「ぶどう酒」と「蒸留酒」に係ります地理的表示に関しましては、国際的にその使用を禁止して保護を図るため、表示基準を定めて、地理的表示の保護を図っているわけでありますが、現在、この地理的表示については、WTOのTRIPS理事会で、多国間通報登録制度というものについて議論がなされております。地理的表示の保護に積極的なEC等からは、WTOの加盟国は、自分の国が保護する地理的表示を事務局に通報して、18カ月以内に異議申立てが行われなかった場合は、全加盟国がその地理的表示を保護する義務を負うといったような、より法的拘束力の強い制度の実現をEC等が提案しております。
 この地理的表示の多国間通報登録制度については、今後も議論されていくわけでありますが、今後、我が国としてもより適切な対応を図っていくことが、国際的な議論の中で必要とされているものと考えており、その一環としてこの基準についても重要基準として定めたいと考えています。
 以上、申し上げましたとおり、先ほど御説明しました三つの「基本的考え方」に基づきまして、清酒の製法品質表示基準と、それから有機等の表示基準と、未成年者の飲酒防止に関する表示基準、地理的表示に関する表示基準、四つの酒類の表示基準を重要基準として定めることとし、ただし、そのうち「各用語の定義」、あるいは先ほど清酒にございました「任意の記載事項」、それから「文字のポイント数」、それから「適用除外事項」と技術的な事項等を除きました内容につきまして、基本的に重要基準として定めたいというふうに考えております。
 以上が御説明でございます。

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