寺内酒税課長
 そこで、上段でございますが、今回の法改正によりまして、このような仕組みをより弾力化しまして、酒類業者に自主的な遵守を促すとともに、違反を指摘された業者に具体的に改善するための機会を与えることができるよう、実態に即した現実的な対応が取り得るようにしたわけでございます。
 具体的には、酒類業組合法86条の6で定められました酒類の表示基準のうち、特に表示の適正化を図る必要があるとして定める重要基準。この「重要基準」に違反していると認められる者に対して、まずは86条の6第3項の規定によって、その基準を遵守すべきということを個別に指示をいたします。実際はその前に行政指導というか指導ベースでほとんどの業者がこれを是正すると考えておりますが、それでも直さない場合に指示を出します。そして、その指示にもまた従わなかった場合に、基準を遵守すべきことを初めて個別に命令をいたします。この命令にまた従わない、違反した場合にはじめて罰則を課すと、免許の取消しもありますが、そういう形に改めました。
 11ページの方を御覧いただきますと、11ページに「重要基準」が、今申し上げましたように第86条の7の規定に基づき、先ほど現在定めている酒類の四つの表示基準がございましたが、そのうち、特に表示の適正化を図る必要があるものとして定められた基準について、指示を守らない者に遵守命令を発し、これを確実に遵守させる必要がある事項について定めるものであります。そこで、この内容を定めるに当たりましては、今後の酒類業界の発展を図って、適正な酒類行政を行っていくという観点を踏まえまして、下にあります三つの切り口からその必要性について検討をいたしました。
 この「基本的な考え方」でございますが、まず一つ目は先ほどのお話にもありましたが、食品の安全性等に対する消費者の関心にこたえ、それから、商品選択に資するといった観点から、酒類の適正な表示、製法・品質を確保するために必要があるものとしてはどうかというのが基本的な考え方の一つ目でございます。
 二つ目は酒類の致酔性等を踏まえて社会的要請に確実に対応するために必要だと考えられるもの。
 三つ目は酒類の表示について国際的に調和のとれた対応をとるために、図るために必要があるもの。
これら三つの考え方を、重要基準として定めるための基本的な考え方としたいと考えております。
 具体的にはまず一つ目の酒類の適正表示・製法品質を確保するために必要な基準としまして、清酒の製法品質表示基準と酒類における有機等の表示基準の一部を重要基準として定める。
 それから、「製法品質表示基準」につきましては、15ページの方を御覧いただきますと、これは前に米だけの酒のときに御覧いただきましたが、清酒について純米酒、吟醸酒、本醸造等いろいろなタイプのものが市場に昭和63年当時供給されるようになってきました。そういった中で、業界の自主的なルールだけではなくて、昭和63年度の酒税法改正で級別制度がなくなったということも受けまして、清酒の製法、品質等について、法的なルールを制定する必要性があったということが背景にございます。この昭和63年度の酒類業組合法の改正で、酒類の表示基準を定めることができることになりまして、平成元年にこの表示基準の告示がされたわけであります。
 前回、「米だけの酒」の審議の際に御説明させていただきましたので、大まかな槻要だけ紹介させていただきますと、まず1の特定名称の清酒の表示では、今言った吟醸酒、純米酒、本醸造といった特定名称を表示するための要件を、それから、2の必要記載事項の表示では、すべての清酒について原材料名や製造の時期といった表示しなければいけない事項を定めています。
 それから、3番目は「任意記載事項」でございます。任意に記載できる事項、例えば灘の「生一本」とかそういう表示でございます。
 それから4番目に、表示してはならない「表示禁止事項」を定めてございます。
 この基準につきましては、今申しましたように、一般消責者の商品選択を保護し、ひいては、清酒の安定的な取引の確保にも資するという観点から、誤った表示をすることは、消費者に不利益を与えるということ、あるいは品質の信頼を損ないかねないということから、1の特定名称の清酒の表示と、2の必要記載事項の表示と、3は任意記載事項でありますので、基準には定められませんで、4の「最高級」等の「表示禁止事項」といった下線の引いてある事項を重要基準として定めたいと考えております。
 次に、「酒類における有機等の表示基準」の方でございますが、こちらは20ページをお開きいただきたいと思います。20ページの資料11に「有機等の表示基準の概要」がございますが、これは先ほど御説明した内容でございます。中身は省略させていただきますが、実はJAS法において既に表示基準を遵守していない場合に、指示・命令、除去命令というのをすることができることになっています。その命令に従わなかった場合は、罰則によりこれを是正させることとされております。その意味でJAS法との整合性を図り、食品の安全性の確保に適切に対応し、消責者の商品選択に資するために、この1の「有機等の表示」、2の「名称等の表示」、3の「使用表示」と、それから4の「遺伝子組換えの表示」と、これらについては重要基準として定める必要があるというふうに考えてございます。
 それから、先ほどの「基本的考え方」の2番目にございました、「酒類の致酔性を踏まえた社会的要請に対応するために必要な基準」でございますが、これは27ページの資料の12を御覧ください。「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」ですが、この表示基準は中央酒類審議会の答申を受けまして、平成元年の11月に定められまして、平成2年4月から適用されております。
 平成元年の制定時におきましては、酒類の自動販売機、この3番目のところにございますこの表示について定められましたが、その後、平成6年10月の中央酒類審議会の報告におきまして、個々の事業者の判断により行われてまいりました酒類の容器への未成年者飲酒防止の注意表示、これを全酒類に拡大すべきであるという提言を受けまして、平成9年2月に基準が改正されまして、1番目の「容器・包装に対する表示」が平成9年7月から適用されているところでございます。

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