若尾酒税企画官
 それでは、3点につきまして、私から説明させていただきます。
 最初に酒類販売業等に関する懇談会についてでございます。本
日は時間の関係もありますので、説明は資料1−1、2枚めくっていただきますと出てまいりますが、「酒類販売業等に関する懇談会の取りまとめについて」により説明をさせていただきます。
 これは4ページ以下の「酒類小売業を中心とした酒類業等の現状と課題」の概要でございます。
 まず、経緯でございますけれども、酒類小売業免許の規制緩和に関しましては、平成10年3月に需給調整要件である距離基準の廃止と、それから人口基準の段階的緩和及び廃止が閣議決定され、既に13年1月には距離基準が廃止され、来年9月には人口基準の廃止が予定されております。このような中、酒類は致酔性という特性を持つ飲料であることから、未成年者飲酒防止対策を含めた販売管理に関する社会的な要請が大変高まってきておりまして、また取引環境にも大きな変化が生じてきております。
 こうした状況などを踏まえまして、国税庁においては平成13年12月から懇談会を開いて検討をしてきたところ、座長であります学習院大学の奥村洋彦座長の取りまとめという形で「酒類小売業を中心とした酒類業等の現状と課題」として取りまとめられたところでございます。
 その内容についてご説明いたしますと、取りまとめは1のところで「環境変化を踏まえた将来の酒類業の姿は」ということでございまして、酒類業全体について論じた上で、2以下では酒類小売業を中心として論じております。なお、必要に応じまして酒類製造業、卸売業につきましても論じている部分がございます。
 さて、1の「環境変化を踏まえた将来の酒類業の姿」でございますが、ここでは酒類の特性として4つ挙げております。代表的な嗜好品であるということとか、致酔性飲料であるというようなことでございます。数次の規制緩和措置により、近年は酒類が相当多数の店舗で販売されるようになりまして、低価格による販売競争も激しく、またパッケージも多様化してきて、酒類が売る側にとっても、それから買う側にとっても他の商品と変わらないと。つまり、一般商品化してきたことなどから、致酔性というところがクローズアップされてきておりまして、未成年者の飲酒問題も拡大してきているというふうに言われております。厚生労働省の調査では1カ月に1度以上飲酒をするという高校3年生の男子がほぼ50%というふうな結果も出ております。酒類を販売する店は多様化してきておりまして、酒類市場では広告宣伝、販売促進活動を通じた低価格志向の激しい販売競争が行われていることは委員の皆様もお気づきのことと思われますけれども、それでも酒類の消費量というのは、ここ数年横ばいということで推移しております。つまり、成人1人当たりの飲酒量は減少傾向にあるということでございます。
 次に、酒類業につきましてこの特性を論じているわけですけれども、伝統性・地域性があり、中小企業が多いというふうな特性がありますけれども、アルコールを含む飲料で、かつ課税物資である酒類の取扱業者の役割は今後も重要であるといたしまして、消費者利便の確保に加え、また、そこに7つ掲げてありますが、酒類業に対する7つの社会的要請に適切に対応していく必要があるというようにしております。国税庁におきましては、これまでの酒税確保を中心とした事務運営から消費者利益の確保及び酒類業の健全な発達のため、酒類行政を広くとらえて運営体制の一層の整備を進めることが必要だというふうなことも述べられております。
 2番目のところでは、「これまでの規制緩和等の評価」でございます。規制緩和に伴いまして、量販店等を中心に大変市場は活性化してきているというふうにとらえています。しかし、その一方で販売競争が激化しており、多くの小売業者が退出しているというふうな状況も書かれております。不当廉売や差別的な取引等の不公正な取引の防止のため、公正取引委員会の取引ガイドラインの発出等が行われまして、また、一方で未成年者飲酒禁止法が2度にわたって改正され、罰則の強化等が行われているにもかかわらず、ともにその実効性が上がっていないというふうな指摘があるというふうにしております。
 3のところでは、「酒類小売業に関わる今後必要な手当て」でございます。酒類の特性や現状を踏まえ、取りまとめでは「酒税の確保に加え、適切な販売管理のため」などの要請に応える必要があるということでございまして、人口基準が廃止されます15年9月に向けて、大きく5つの点について必要な手当てを整理しまして、段階的に措置していくよう検討を求めております。取りまとめのポイントは(5)のところの販売管理等の観点からの手当てで、例えば売り場での酒類の分離陳列だとか販売管理の責任者の配置だとか改良型自販機への移行、長期的には撤廃、小売業者等に対する研修の実施、免許の人的要件の整備等が挙げられております。
 4番目は「酒類小売業の健全な発達のための取組み」についてでございます。酒類小売業の健全な発達及びその活力ある事業活動のための取り組みに対して、行政は小売酒販組合、酒類総合研究所等々と協力して、ここに掲げられてあるような事項につきましてサポートが求められるというふうにしております。国税庁におきましては懇談会の取りまとめを受けまして、来年9月以降を見据え、必要な手当てを整理した上で法的措置を含め所要の枠組整備の検討を行っていくこととしておりまして、現在関係業界とのコンセンサス作りだとか関係省庁との協議を行いつつ必要な措置の整理・検討等を行っているところでございます。
 また、取りまとめにおきましてはできるだけ酒類業界の自主的取り組みによる必要があるということにも留意すべきだといわれておりますので、関係業界の意見を求めまして業界の自主的な取り組みの推進にも努めているところでございます。
 次に、23ページ、資料2−1、「しようちゆう乙類の「種類の例外表示」に関する省令改正等について」、御覧いただきたいと思います。ここでは、酒類(さけるい)と種類(たねるい)という言い方をさせていただきたいと思います。同じ音になってしまうものですから。それでは説明をさせていただきます。
 これは酒類の種類の例外表示に関する省令の改正でございまして、本年10月28日に公布され、11月1日の本格しょうちゅうの日というのがあるのですが、ここから施行されております。
 まず、種類の例外表示というのは、先ほど見ていただきました酒類業組合法におきまして、酒税の確保及び酒類の取引の安定を図る観点から、その容器・包装に酒類の種類を表示すると。これは清酒とかしょうちゅうとかでございますが、これが10種類ございまして、また、その中に品目のある酒類がございまして、これについては品目を表示すると。これはしょうちゅうについては種類が「しょうちゅう」、品目が「しょうちゅう甲類」、それから「しょうちゅう乙類」というふうに分かれておるわけですけれども、この表示を義務づけております。この酒類の種類品目表示は、原則として酒税法上の種類品目を表示すべきものでございますが、この施行令におきましてこの名称以外に「一般に慣熟した呼称」があるものにつきましては、その慣熟した呼称によりますいわゆる例外表示ができることとされています。これを省令におきまして、その呼称を使用できる「酒類の範囲」が規定されています。例えば、清酒というのがありますけれども、清酒は日本酒というふうな例外表示が認められているということでございます。
 「しょうちゅう乙類」につきましては、その例外表示として「本格しょうちゅう」という表示ができることになっておりますが、これから申し上げることがございまして改正が行われております。酒税法上の「しょうちゅう乙類」の定義は、そのアルコール含有物を蒸留したもののうち、ウイスキー類やスピリッツ類以外のものでしょうちゅう、甲類以外のものというふうなことで、その外縁が特定されていません。このため「本格しょうちゅう」の呼称を用いた酒類の内容・特徴が消費者にとってわかりにくく、また製造者にとってもその内容・特徴について積極的かつ客観的な説明が困難な状況にありました。
 そこで、今般の改正におきまして「本格しょうちゅう」の呼称を使用できる酒類の範囲について、使用原料や製造方法を具体的に規定することになったものでございます。
 改正の概要につきましては、次のページを御覧いただきたいと思います。資料2−2、しょうちゅう乙類の表示でございます。
 3つのカテゴリーに分けてありますけれども、1番目のカテゴリーは、「穀類または芋類、これらのこうじ及び水」が掲げられております。原料のところでございます。これは、乙類の主流となっております米じょうちゅうとか麦じょうちゅう、あるいは芋じょうちゅう等の原料でございます。それから、次の「穀類のこうじ及び水」というのは、これは原料のすべてにこうじを使うと。米こうじを原料にすべて使うというふうなものでございます。沖縄の泡盛などは全てこうじ米を使っているということでございます。次の「清酒かす及び水」はかすとりしょうちゅう、清酒のかすを使ったしょうちゅうでございます。それから、最後の「砂糖、米こうじ及び水」は、奄美の黒糖しょうちゅうが該当いたします。これらの原料を使用して製造されたしょうちゅうにつきましては、その表の右側の表示欄を御覧いただきますと、本格しょうちゅうまたはしょうちゅう乙類と書いてありますので、例外表示として本格しょうちゅうと表示することができるということでございます。
 2番目のカテゴリーのところは、「穀類または芋類、これらのこうじ及び水及び財務大臣の定めるその他の物品を原料とするもの」が掲げられております。これらは穀類または芋類を主原料として、それにさまざまな農産物などを主として香味づけなどのために使用しているものでございます。財務大臣の定めるその他の物品につきましては、本格しょうちゅうとしての品格を保持する観点から、その使用を無制限に認めることは適当ではないという考えで、穀類または芋類及びこれらのこうじの使用割合が原料中50%以上についてのみ、本格しょうちゅうの表示をすることができるというふうな規定でございます。
 3番目のカテゴリーは、その1、2のカテゴリーに該当しないものでございまして、穀類または芋類及びこれらのこうじの量の50%未満のもの、あるいはこれらのものが50%以上であっても財務大臣の定めるその他の物品以外の物品を原料に使用している場合で、これは本格しょうちゅうという表示はできないものでございます。そこに、49品目、財務大臣の指定する物品が書かれておりまして、これも先ほどの省令の改正と同じ、本年10月28日に国税庁長官告示として告示されておりまして、やはり本年11月1日から施行されております。
 次に、資料2−3、食品の表示制度に関する懇談会、中間取りまとめの概要を御覧いただきたいと思います。食品の表示制度につきましては、食品衛生法とかJAS法など複数の法律に規定されておりまして、同じ表示項目に異なる用語が使われる場合があります。これが大変消費者にとってわかりにくいというふうな指摘がございまして、また、BSE問題に関する調査検討委員会報告におきましても、現在の各種表示制度については、一元的に検討して、そのあり方を見直す必要があるというふうに提言されています。こうしたことを受けまして、厚生労働省及び農林水産省は、消費者等関係者からの意見を今後の表示制度のあり方の検討に反映させることを目的としまして、食品の表示制度に関する懇談会を今年の6月から5回に渡って開催しまして、8月20日にその中間取りまとめを公表しています。
 この資料は、その中間取りまとめの概要を厚生労働省及び農林水産省がまとめたものでございます。当庁といたしましては、現時点での両省の検討状況からは現行の各種表示制度をどのように改正するのか明らかではないものですから、今後とも両省の動きを注視しつつ情報収集に努め、必要に応じて酒類の表示事項の改正を検討してまいりたいというふうに考えております。後ほどまた御覧になっていただければと思います。
 以上でございます。

田島分科会長
 ありがとうございました。以上、3つのテーマにつきましてのご報告をいただいたわけでございますが、何かご意見・ご質問等ございましょうか。
 それではご意見もないようですし、時間も迫っておりますので、では、ご説明を了承するということで、本日の会合の締めくくりをいたしたいと思うのですが、本日の議事録の公開につきましては、これまでと同様にまずは簡潔な内容のものを議事要約として公表します。議事録は完成次第公表させていただきます。もちろん、この議事録につきましては公表前に皆様のご発言内容に誤りがないかどうか、皆様に確認をしていただくと、こういうつもりでおります。
 また、この議事要約、要約として出す分につきましては、一応分科会長にご一任をいただければありがたいと、このように思いますがよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

田島分科会長
 では、ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 それから、最後に恐縮でございますが、私事でございますが、私は8月14日に学習院長を拝命いたしまして、もう3カ月ぐらいそっちの仕事をずっとやっているわけであります。ご承知と思うのですが、学習院というのは幼稚園から大学まで学校を8つ持っておりまして、しかも、通常の私立大学でありますと、大学の下に系列校がずっとつながっているのですが、学習院は大学が一番新しいんでございまして、小学校が一番古いわけでございます。そういうわけで横へ並んでおりまして、系列校ではございません。そうしますと、院長というのは8つの学校のスーパープレジデントを兼ねておる格好でございまして、そういうわけでもう管理業務が物凄く多うございますのと、それからもう一つ、ちょっと皇室との関係なんかございまして、ほかの学校長にない業務が多うございますものですから、ちょっとえらい時間が制約されておりました。加えまして、私はこの酒類分科会、前身の中央酒類審議会も含めてでありますが、これに関係させていただいて20年時間が経ちました。そういう意味では、ちょっと長過ぎるという感じもいたしますし、年齢もこういう年齢になりましたものですから、一応1月5日がこの委員の任期なんですね。ですから、そこでひとつ引退をさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
 20年間、日本の高度成長とともに酒類産業も非常に変化をしてまいりました。その動きを逐一拝見できたというのは、経済問題の研究者としては非常に幸運であったというふうに感謝をいたしております。依然として間接税の中に非常に大きな割合を占める酒税でございますし、消費者問題あるいは環境問題等々、非常に多様な問題のある世界でございます。ひとつ今後とも皆様方のいろいろご貢献をお祈りというか期待をいたしまして、私の退任のあいさつにさせていただきたいと思います。どうも長い間ありがとうございました。よろしくどうぞ。
 では、これをもって終了させていただきます。ありがとうございました。

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―― 了 ――