寺内酒税課長
 そのとおりでございます。70%の制限がいわゆる純米酒と米だけの酒の区切りになってございますので、そこの部分を除くと、制限を廃止するということでございます。

立石委員
 そうすると、メーカー側は好きな方の名前をつけなさいよと。純米酒でも米だけの酒でも、どちらでも好きな方をつけなさいよと、こういうことですか。

寺内酒税課長
 好きな方といいますか、まず、「米だけの酒」についても、純米酒であるということがどこかに書かれます。で、米だけの酒という用語を使ってはいけないということではもちろんございませんので、業者が名乗りたいときには米だけの酒、名乗りたくないときには純米酒のみと書かれることも可能ですが、ふつうは純米酒と米だけの酒が同時に表示されるのではないかと思います。

立石委員
 ちょっと本題と離れるかもしれませんけれども、極めて日本語を常識的に考えますと、純米酒というのをかみ砕いて言えというと米だけの酒とこうなるわけですよね。

寺内酒税課長
そのとおりでございます。

立石委員
 そういうふうに理解してよろしいんですか。その辺のところのあやふやさかげんはちょっとすっきりしましょうと、こういう趣旨だというふうに理解すればいいわけでしょうか。

寺内酒税課長
 はい。私どもとしましては、先ほど商品選択の中立性と申し上げましたが、まさに委員がおっしゃいますように、純米酒というのは米だけの酒なので、米だけの酒と純米酒はどこが違うのかと。例えばお店で販売店などでも、どこが違うのかと言われてもなかなか説明がしにくいと、こういうような声は聞きます。従いまして、そういう意味で、米だけの酒というのを純米酒というふうな形で包含する形で整理した方が、消費者の商品選択の幅を広げることになるだろうということのようです。ただし、その場合に、精米歩合がどこにも書いていないというのも考えて、精米歩合を表示することで、消費者利便に資する工夫をするということでございます。

北村委員
 よろしいですか。70%を境に今まで純米酒と言われていたものと同等ぐらいの品質のものが70%超のものでも出てきたのでというようなご説明を受けた記憶があるんですけれども、現在大体実質的には上限といいますか、75%ぐらいだということでございます。これが、では、いずれも境界線をなくして表記していいですよと言ったときに、どんどん精米歩合が上がってきちゃってということも考えられますよね。そうすると、今のところは75%ということで純米酒とほどほどの品質を保持しているものが、たがが外れてどんどん78になり80になりということになってくると、幾ら数字表示があってもという懸念が少し感じられるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

寺内酒税課長
 そのご懸念もごもっともだと思います。実は精米歩合70%以下のものを純米酒というふうに今言っておるわけですが、同時に香味、色沢が良好なものというものも先ほどの条件の中に入ってございます。要するに、日本酒としておいしいといいますか、世の中に受け入れられるような、清酒ということでございます。従いまして、精米歩合の要件だけを、例えば70%を取っ払いまして、80%になる、90%になるといった場合でも、当然味がよくなければいけませんよというのがあります。これは私ども鑑定官室の方でもいろいろチェックはしておりますが、基本的には消費者が判断いたしますけれども、それで実態として、例えば極端な話、御飯と同じような92%の精米歩合のものを造ってお酒ができるかということでございますが、それは恐らくといいますか、今の技術ではそういった清酒が香味、色沢が良好なものというような位置づけはされないだろうと。要するにおいしいお酒にはならないだろうと思います。
 そのバックデータ的なものとして、米だけの酒は72%から75%なんでございますけれども、今現在流通しております特定名称酒以外の普通酒及び増醸酒の清酒も含めまして、大体清酒の平均精米歩合というのは51.3%から73.5%でございます。従いまして、常識的に80%以上の精米歩合のもの、あるいは75%以上の精米歩合のものというのは、少なくとも今現在の技術の場合には、それを香味及び色沢が良好なものとして位置づけられることの方が出てこないであろうと思います。そのような清酒は業者が製造はしないだろうと思います。
 従って、恐らく上限としては、常識的に考えると75%ぐらいが妥当であろうということでございます。

田島分科会長
よろしゅうございますか。どうぞ。

幸田委員
 私が心配しているのは、例えば発泡酒の問題でもそうですけれども、技術の進歩だとかいうことで麦芽の含有分が少なくてもという問題が出てきて、そして増税の問題が出てきて、なかなか今混乱しているところがありますね。税負担の問題はそれほど問題はないと思いますけれども、こういう問題がだんだん広がっていっちゃうと、どこが境界線なのかということで、そういうところがちょっと技術の進歩、技術の進歩ということだけで言って、そういうものをしていくというのもどうなのかなという危惧をするわけなのですけれども。

寺内酒税課長
 ご指摘、ご懸念はわかるのでございます。例えば、今回の場合、先ほども立石委員からもお話がございましたが、60、50というものはそのまま残していきます。そういった場合、表示の見直しをする時に、では、今何をしなければいけないかと言ったときに、全部外してしまうというのは、どうかとは思うわけでございます。ただ、今回の場合は純米酒と米だけの酒という、喫緊の解決しなければいけない表示の問題が1つ出てきておりますので、まずはこの部分について、こういう案を考えました。全体としての表示のあり方というのはご指摘のとおり今後緊急といいますか、早目にご検討をお願いしようということでございますのでよろしくお願いいたします。

田島分科会長
吉澤委員、何か技術的な視点から。

吉澤委員
 私は、技術屋としてこういうふうに考えております。ご参考になるかどうかわかりませんけれども、いわゆる米というのは、最近いろんな米ができてきて、もう一つは酒がどんどん多様化してきて、酒質も多様化しなければならない時代になっていると思うんですね。そういたしますと、例えばワインだったら原料ブドウによりうんと違いますから非常に違う酒ができやすい。ところが、米というのは今まであまり大きな差がなかった。それを削っていくに従いましてだんだん差がなくなっていくんです。一方、酒にとってあまり好ましくない成分というのも残念ながら外側にある。両方とも外側にあるんですね。したがって、米を削っていけばいくほどきれいな酒にはなるんですけども、香りも高くなりますが、米の特徴がなくなっていきますから、そういう意味では原料特性というのは出なくなってしまう。ですから、どこかで折り合いをつけなきゃいけないというのがありまして、それが従来は70%ぐらいだったと私は思うんです。ところが、最近の技術の進歩というのが進んできましたので、もうちょっともっと上げていっても、要するに香味、色沢がいいという酒ができるということがある。それから、もう一つは酒を、米の特徴を、例えば山廃酒とか何とか言いますけれども、そのお米の特徴が本当に出るかというと、削ってしまったらあまり出てこない。ですから、その辺のバランスがだんだん変わっていって、現状ではもっとずっと精米歩合上げても大丈夫だと。そうやって、むしろさまざまな、個性的な酒を造るということのために、実は70%は障害になってしまう可能性があるというふうに考えております。ご参考になるかどうか知りませんけれども。

田島分科会長
どうぞ、今井委員。

今井委員
 今のお話すごくよくわかるし、それから70%以上になっても、環境問題的にはごみが増えなくていいという感じで、そういうことを考えますと健康被害になるかならないかという視点で見ても、70%の以下と超の間をなくしてしまっても、これは全く問題ないと思うのでいいと思うのですが、代わりに歩合を表示するということなのですけれども、これはいつからなのでしょうか。というのは、今まで造っちゃったのありますよね。ラベルとかみんなそのまま持っていると思います。それをみんな破棄して、また新しく全部造らなければならないのだと結構、コストというか、それ捨てなきゃいけないから。ごみになりますので。

寺内酒税課長
 今回ご議論をいただきまして、実は後ほど分科会長からも話があるかと思いますが、この改正素案は今あらあらのものでございますので、次回もう一度ご議論をいただきまして、それで1つの改正の案としてご了解をいただきましたならば、先ほどの1つ目の審議事項にございました例のパブリック・コメント、それからWTO通報というような手続を経まして、できるだけ夏のうちにまた分科会としてご了承いただいて、先ほどと同じ手続ということでございます。精米歩合の表示につきましては、いろいろ手続が業界の方はあるかもわかりませんが。来年秋以降からそういったような表示を行っていただくと。
 しかし、ただ一言だけ申し上げますと、この話につきましては、私どもから単に思いつきで行っている話ではございませんで、清酒の中央会などのいろいろな業界の中で、実はずっと昨年来議論されてきたものでございます。したがって、こうした方向というのは今後あり得るべしということは業界の方も、もう既に前々から認識している話でございますので、そういう意味では1年以上の1つの準備期間のようなものがあるというふうにお考えいただければいいかと思います。確かにそういう意味では、移行期間というのが十分かどうかというご議論はあるでしょうが、1年以上の期間がありますということでございます。

今井委員
 そうすると、もう来年の秋から、そのときに法律がぽんとできた段階で、すぐにもう変わっていなきゃいけないことなんですか。猶予期間何カ月とか何年とか、そういうのはないんですか。

本宮課長補佐
 先ほど課長が申しましたように、改正を実施する手続としてパブリック・コメントとWTO通報がございます。その際には今、委員がおっしゃったように、ラベルの在庫をどうするか。例えば精米歩合だけを書くのであれば、そのラベルのところに精米歩合だけをゴム印で押すことも可能でございますので、それ以外のところに変更なければ期間は短くて済むと。そういうものを勘案して、告示においては、例えばいついつ以降に製造場から移出をするものに適用するとか、あるいは6カ月間は従来の表示でもいいとか、そういう経過措置というものもあわせて業界の実態を見ながら検討することが考えられると思っております。

今井委員
それはまだ決まっていないのですね。

寺内酒税課長
それはこれからでございます。

←前ページへ戻る

次ページへつづく→