第2章 石油石炭税の還付措置関係

(「石油アスファルト等」の範囲)

1 租特法第90条の6の2第1項《石油アスファルト等に係る石油石炭税の還付》に規定する「石油アスファルト等」とは、取引等における名称又は呼称にかかわらず、具体的には次に掲げるものをいう。
 なお、これに該当しないものについては、同項の規定による石油石炭税額に相当する金額の還付対象とならないのであるから留意する。(平16課消3-13改正)

(1) 石油コークスとは、石油又は歴青油のクラッキング又は分解蒸留により得られる黒色で多孔質の固形残留物をいう。

(2) 石油アスファルトとは、通常原油の蒸留残留物として得られる褐色又は黒色の固体若しくは半固体の物質をいい、原則として、国際分類例規(昭和62年12月23日付、蔵関第1299号)に定める石油アスファルトの規格に該当するものをいう。したがって、石油ピッチ等と称するもののうち、国際分類例規に定める石油アスファルトの規格に該当するものは、租特法第90条の6の2第1項に規定する石油アスファルトに該当するのであるから留意する。

(石油アスファルト等の性状の確認)

2 租特法第90条の6の2第1項の規定より石油石炭税額に相当する金額の還付を受けようとする者は、還付の対象となる石油アスファルト等について、製造、移出及び消費の都度に性状の確認を行うものとする。
 ただし、石油アスファルトについては、製造工程、製造装置の運転条件及び製造原料の性状等により、国際分類例規に定める規格に該当することが明らかな場合には、月一回程度の性状の確認として差し支えない。
 また、貯蔵又は出荷タンク等に受け入れたものを生産単位として管理し、移出又は消費している場合には、当該生産単位ごとの性状の確認として差し支えない。(平16課消3-13改正)

(「石油アスファルト等製造業者」の範囲)

3 租特法第90条の6の2第1項に規定する石油石炭税額に相当する金額の還付を受けることができる「石油アスファルト等製造業者」とは、次に掲げる者をいう。
 なお、外国から本邦に到着した石油等の残留物から石油アスファルト等を製造する者又は国産石油等残留物から石油アスファルトを製造する者は、これに該当しないのであるから留意する。(平16課消3-13改正)

(1) 課税済みの原油等を原料の全部又は一部として石油アスファルト等を製造する者

(2) 石油調製品等を原料の全部又は一部として石油アスファルト等を製造する者

(3) 国産石油等残留物を原料の全部又は一部として石油コークスを製造する者

(「製造場において製造した石油アスファルト等」の意義)

4 租特法第90条の6の2第1項に規定する「製造場において製造した石油アスファルト等」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 「製造場において製造した石油アスファルト」とは、減圧蒸留装置、溶剤脱れき装置又はブローイング装置等と称される製造装置からなる製造工程を有する場所において、その製造工程における一連の操作により造り出した石油アスファルトをいう。
 なお、当該製造には、当該製造工程において他の製品が併産される場合及び石油アスファルトが副産物又は残留物として得られる場合を含むのであるから留意する。

(注) これらの製造を行う場所以外の場所において、針入度若しくは組成の異なる2種以上の石油アスファルトを混和する行為又は石油アスファルトに石油アスファルト以外の物品を混和する行為は、石油アスファルトの製造に該当しないのであるから留意する。

(2) 「製造場において製造した石油コークス」とは、熱分解装置等と称する製造装置からなる製造工程を有する場所において、その製造工程における一連の操作により造り出した石油コークスをいう。
 なお、当該製造には、当該製造工程において他の製品が併産される場合及び石油コークスが副産物又は残留物として得られる場合を含むのであるから留意する。

(「製造場内において燃料として消費した場合」の意義)

5 租特法第90条の6の2第1項に規定する「製造場内において燃料として消費した場合」とは、石油アスファルト等製造業者が、同項の規定により承認を受けた製造場において製造した石油アスファルト等を、当該製造場内においてボイラー等の燃料として燃焼させることをいい、その燃焼の用途及び燃焼により得られた熱、光、電気その他の動力等を利用する場所は問わないのであるから留意する。

(移出から除かれる場合の範囲)

6 租特令第50条の2第3項《石油アスファルト等に係る石油石炭税の還付の申請等》の規定により移出から除かれるものは、他の石油コークスの製造場への石油アスファルトの移出であるが、当該他の石油コークスの製造場には、製造承認を受けていない製造場及び石油アスファルトを併せて製造している製造場を含むのであるから留意する。
 この場合において、石油コークス製造装置を有する場所は、石油コークスの製造の有無にかかわらず、原則として、他の石油コークスの製造場に該当するものとして取り扱う。(平16課消3-13改正)

(注) 当該他の石油コークスの製造場が製造承認を受けている場合は、当該製造場へ移入した石油アスファルトを原料として製造した石油コークスについて、石油石炭税額に相当する金額の還付を受けられることに留意する。

(移出に含めるための証明の取扱い等)

7 (1) 製造承認を受けた石油アスファルトの製造場において製造した石油アスファルトを他の石油コークスの製造場へ移出する場合で、租特令第50条の2第3項及び租特規則第39条の7《石油コークス製造場への石油アスファルトの移出で石油石炭税の還付を受けることができる移出の範囲等》の規定により証明がなされていることにより、移出に含まれることとなるものは、製造承認を受けた他の石油コークスの製造場への移出で、次に掲げるものをいう。(平16課消3-13、平24課消3-35改正)

イ 他の石油コークスの製造場において燃料として消費するための石油アスファルトの移出

ロ 石油アスファルトの製造場内における蔵置場が狭くなったこと等により、他の石油コークスの製造場内に貯蔵するための販売の用に供する石油アスファルトの移出(当該他の石油コークスの製造場から更に移出されるものに限る。)

(注) 「販売の用に供する石油アスファルト」には、石油コークス等の原料として使用するもの及び燃料として消費するものは含まれないことに留意する。

ハ 他の石油アスファルト等製造業者が販売の用に供するため石油アスファルトを移入する場合で、その者の石油コークスの製造場内に貯蔵するための移出

(2) (1)による移出に含まれることの証明は、製造承認を受けた石油コークスの製造場へ石油アスファルトを移入した者が施行令第50条の2に規定する移出に該当することを証明するため作成した証明書(以下「移出入証明書」又は「移出入確認書」という。)に当該石油アスファルトを移入した製造場の製造承認書の写しを添付して当該石油アスファルトの移出者に交付することにより行うことに留意する。(平16課消3-13改正)

(石油等の残留物の移入届出)

8 租特法第90条の6の2第3項の規定により提出する書類(以下「移入届出書」という。)は、移入した石油等の残留物が石油石炭税課税済みの原料から製造されたものであるかそれ以外の原料から製造されたものであるかの区分を記載することに留意する。

 なお、石油石炭税課税済みの原料とは、課税済みの原油等、石油調製品等及び国産石油等残留物(租特法第90条の6の2第1項の規定の適用を受けた石油アスファルト等を除く。)をいうのであるから留意する。(平16課消3-13改正)

(注) 租特法第90条の6の2第1項の規定の適用を受けた石油アスファルト等とは、同項に規定する還付の申請に基づき石油石炭税に相当する金額を還付した、又は還付することとなっているものをいう。

(還付申請)

9 租特法第90条の6の2第1項の規定による石油石炭税額に相当する金額の還付の申請は、次による。(平16課消3-13、平24課消3-35改正)

(1) 還付の申請には、租特令第50条の2第5項により、計算の基礎等を記載した書類(以下「明細書及び計算書」という。)を添付する必要があるので留意する。

(2) 明細書及び計算書には、租特法第90条の6の2第1項の規定により製造承認を受けた製造場別に、移出し、又は燃料として消費した石油アスファルト等の種別ごとに区分してその事実を記載するが、移出し、又は燃料として消費した都度の記載を省略して、移出先別にその合計数量を記載することとして差し支えない。
 なお、租特令第50条の2第3項に規定する証明に係るもの又は同条第7項のかっこ書に規定する計算(以下「あん分計算」という。)により得た数量がある場合には、その旨についても併せて区分記載する。

(注) 還付申請書に移出入証明書が添付されていないものは、租特令第50条の2第3項及び租特規則第39条の7第2項に規定する証明がなされたものには該当せず、還付の対象とならないのであるから留意する。

(3) あん分計算により得た数量がある場合には、還付申請書にその計算過程を記載した書類を添付する。

(4) 還付の申請は、原則として1月ごとに行うが、還付金額が僅少であることその他の理由により1月ごとの申請により難い事情がある場合等においては、これを数か月分まとめて行うこととして差し支えない。ただし、還付の申請に係る石油アスファルト等が、移出し、又は燃料として消費した後1年を経過したものであるときは、還付の対象とならないのであるから留意する。

(5) 租特法第90条の6の2第1項の規定は、製造承認の適用日以後に製造した石油アスファルト等について適用されるものであるから、適用日以後に移出し、又は燃料として消費した石油アスファルト等のうち、適用日の前日までの間に製造されたものがある場合には、当該数量を控除した数量を基礎として還付の申請を行うことに留意する。


第2章 石油石炭税の還付措置関係

第1節 租特法第90条の3の4〜第90条の6の3共通関係

第2節 租特法第90条の3の4《特定の石油製品を特定の運送又は農林漁業の用に供した場合の石油石炭税の還付》関係

第3節 租特法第90条の5《石油化学製品の原料用特定揮発油等に係る石油石炭税の還付》関係

第4節 租特法第90条の6《特定の重油を農林漁業の用に供した場合の石油石炭税の還付》関係

第5節 租特法第90条の6の2第1項《石油アスファルト等に係る石油石炭税の還付》関係

第6節 租特法第90条の6の3《非製品ガスに係る石油石炭税の還付》関係



 租税特別措置法(間接諸税関係)の取扱いについて(法令解釈通達)の発遣について 目次へ戻る