32 特例適格年金契約において年金の給付水準は老齢厚生年金の報酬比例部分の10%相当額以上となっているか。

1. 趣旨
 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、一定額以上の給付水準が確保されることが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約における年金の給付水準は、少なくとも老齢厚生年金の報酬比例部分(厚生年金保険法第132条第2項に定める額)の10%相当額以上とする必要がある。
 また、特例適格年金契約の契約締結後においても年金の給付水準が維持されるよう努めると共に、特例適格年金契約創設の趣旨に鑑みその向上に努めなければならない。

2. 審査上の留意事項

(1) 特例適格年金契約における年金の給付水準が老齢厚生年金の報酬比例部分の10%相当額以上であるかどうかは、通常掛金等の額、加入者数及び平均標準報酬額により判定するものとし、次のイに定める額がロに定める額以上である場合、当該給付水準を満たすものとする。

イ 通常掛金等の額(加入者負担掛金等を含む。また、通常掛金等の拠出時期が年12回でない場合は、通常掛金等の額に拠出回数を乗じ12で除した額とする。)を加入者数(通常掛金等が拠出される加入者に限る。)で除した額

ロ 平均標準報酬額の1,000分の37相当額に100分の10を乗じた額

(注) この場合の平均標準報酬額は、社会保険庁が毎年事業年報において明らかにした3月末における厚生年金保険の被保険者全員の標準報酬月額の平均額に1.3を乗じて得た額をいい、毎年4月1日現在において明らかにされている最新の額を当該4月1日から翌年の3月31日まで使用する。

(2) 特例適格年金契約の契約締結後毎年4月1日において、同日の直前の拠出基準日における通常掛金等の額につき、上記(1)イに従って計算した額が上記(1)ロの額を上回っているかどうかを判定し、これを下回った日をもって一般適格年金契約に変更しなければならない。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 すべての特例適格年金契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により通常掛金等の額が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。


33 特例適格年金契約において加入資格の取得期間(待期期間)は所定の期間内となっているか。

1. 趣旨
 特例適格年金契約において加入資格の取得期間(待期期間)は所定の期間内としなければならない。

2. 審査上の留意事項
 特例適格年金契約において勤続期間、年齢又はこれらの組合せにより加入資格を定める場合は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

(1) 勤続期間により加入資格の取得期間を定める場合は、勤続期間5年以下であること。

(2) 年齢により加入資格を定める場合は、25歳以下であること。

(3) 勤続期間及び年齢により加入資格の取得期間を定める場合は、勤続期間と年齢の合計が28以下であり、かつ、(1)及び(2)のいずれの要件も満たすこと。

(注1) 次の設例の場合には、勤続期間による加入資格の取得期間は5年以下、勤続期間と年齢の合計は28以下であるが、加入資格取得時の年齢が常に25歳を超えることになるので、このような加入資格を設けることはできない。

(設例) 加入資格の取得期間 勤続期間2年かつ年齢26歳

(注2) 次の設例の場合には、たとえば24歳で入社した者は28歳で加入することになり、上記(2)の要件を満たさないこととなるので、このような加入資格を設けることはできない。

(設例) 加入資格の取得期間 勤続期間5年又は年齢28歳

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規に締結した特例適格年金契約、一般適格年金契約から特例適格年金契約へ変更した契約、加入資格の取得期間の変更を行った特例適格年金契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により加入資格の取得期間が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。


34 特例適格年金契約において年金の受給資格の取得期間は加入(勤続)期間20年以下となっているか。

1. 趣旨
 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、できる限り退職者全員に対して年金の受給資格を付与することが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約においては少なくとも加入(勤続)期間が20年以上の退職者全員に対して年金の受給資格を付与しなければならないものとされている。

2. 審査上の留意事項

(1) 職種、職階、学歴及び加入時期等にかかわりなく、年金(遺族年金を除く。)の受給資格の取得期間は、加入期間(受給資格が勤続期間で決定されているときは勤続期間)20年以下としなければならない。

(2) 加入者全員の平均加入年齢(受給資格が勤続期間で決定されているときは加入者全員の平均入社年齢とする。以下「判定基礎年齢」という。) に20を加算した年齢の者のうち、掛金等の算定の基礎となる予定脱退率及び予定死亡率に基づいて計算したときに、80%以上の者が年金を受給できることとなる場合には、次のイ又はロにより年金の受給資格を設けることができる。

イ 年金の受給資格を退職事由又は一定の年齢以上の退職(定年退職に限定する場合を含む。)に限定すること。

ロ 加入(勤続)期間に退職事由や退職時の年齢を加味して年金の受給資格を設けること。
 なお、この場合の加入(勤続)期間は20年以下としなければならないことに留意する。

(注) 経験予定脱退率を使用する契約の判定基礎年齢は、複数の適格年金契約にかかる加入者全員の平均加入年齢(受給資格が勤続期間で決定されているときは加入者全員の平均入社年齢)とする。

(設例) LXをX歳での残存者数、判定基礎年齢20歳、定年年齢60歳とすると、 L60÷L40 ≧80%である場合には、定年給付のみとすることができる。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規に締結した特例適格年金契約、一般適格年金契約から特例適格年金契約へ変更した契約、年金の受給資格を変更した特例適格年金契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等、基数表

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により年金の受給資格の取得期間が加入(勤続)期間20年以下となっているかどうかを確認する。
 また、上記2(2)については次の場合に当該基準に合致しているかどうかを確認する。

イ 新規に特例適格年金契約を締結したとき。

ロ 一般適格年金契約から特例適格年金契約へ変更したとき。

ハ 特例適格年金契約で新たに事業主の実績に基づく予定脱退率又は経験予定脱退率を使用したとき。

ニ 特例適格年金契約で年金の受給資格の取得年齢を引き上げたとき(定年給付のみの契約において定年延長された場合を含む。)。


35 特例適格年金契約において年金の支給期間は終身となっているか。

1. 趣旨
 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、その支給期間はできる限り長期間とすることが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約における年金は終身にわたって支給しなければならないものとされている。

2. 審査上の留意事項

(1) 職種、職階、学歴及び加入時期等にかかわりなく、特例適格年金契約における年金(遺族年金を除く。)は終身にわたって支給しなければならない。

(2) 年金の一部を終身年金としない場合、終身年金の年金現価額は年金全体の年金現価額の2分の1以上としなければならない。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規に契約した特例適格年金契約、終身年金の年金現価額の割合を変更した特例適格年金契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により年金の支給期間が終身となっているかどうかを確認するとともに、年金の一部を終身年金としない場合には、終身年金の年金現価額が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

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