7 加入時期が加入資格を取得した直後の加入日になっているか。

1. 趣旨
加入時期を加入資格取得後の任意の日とする場合には、加入時期の恣意的な選択が可能となり、税務上及び年金制度上好ましくないので、加入時期は、原則として加入資格を取得した直後の加入日だけに限定されている。

2. 審査上の留意事項

(1) 加入時期

イ 加入時期は、加入資格取得直後の一定日(以下「加入日」という。)とする。

ロ 定年年齢(通常退職年齢を含む。)までの期間が、受給資格を得るに必要な期間に満たないため、加入者とならなかった者が、定年延長の適用を受けたことにより受給資格を得ることが明らかとなった時は、その直後の加入日に加入させることができる。

(2) 拠出制の場合で加入時期に加入しない者の取扱い
 加入時期に加入しない者は、その後加入することができない。ただし、次に掲げる場合には、この限りでない。

イ 拠出制の年金制度から非拠出制の年金制度に変更するとき。

ロ 大幅な年金給付の改善を行うとき。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規契約、加入時期を変更した契約、定年延長等に伴い追加加入が生じた契約

(2) 審査書類
 年金規程等

(3) 審査手順

イ 年金規程等において、加入時期が加入資格を取得した直後の加入日となっているかどうかを確認する。

ロ 定年延長の適用を受けたために受給資格を得ることが明らかとなった者を加入させることとしている場合には、年金規程等において加入時期が明記されているかどうかを確認する。


8 若年で退職する者に年金を支給することになっていることはないか。また、定年年齢又は通常退職年齢がきわめて高い場合において、高年齢で退職する者のうち一部分の者に限定して受給資格を付与していることはないか。

1. 趣旨
 年金制度の目的は、使用人の老後の保障にあるので、社会通念上勤労に耐え得るとみられる若年者に年金を支給することは相当でない。またそのような場合には年金の額も通常少額になるので、年金とせず一時金とすべきものである。
 また、定年年齢又は通常退職年齢がきわめて高い企業において、受給資格を定年退職者又は通常退職年齢以上の退職者のみに限定する場合には、きわめて一部分の従業員だけが年金制度の恩恵を受けることとなるので、一定以上の高年齢者に対しては、できるだけ年金又は一時金の受給資格を付与することが必要である。

2. 審査上の留意事項
 年金給付の受給資格については、年齢、勤続期間又はその組み合せ等により合理的に決定されていることの他、次の点に留意する。

(1) 年金の支給開始年齢が、社会通念上勤労に耐え得るとみられる若年齢でないこと。ただし、遺族年金及び傷病退職による年金給付については、この限りでない。

(2) 定年年齢が定められていない場合又は定年年齢が公的年金である老齢基礎年金の支給開始年齢より高く定められている場合には、少なくとも当該支給開始年齢に達した者については、原則として年金又は一時金の受給資格を付与していること。
 ただし、勤続期間が短期間の場合には年金又は一時金の受給資格を付与しないことができる。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規契約、受給資格を変更した契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により受給資格及び定年等の取扱いを確認し、年金の受給資格が上記2の審査上の留意事項に定める内容に合致しているかどうかを確認する。


9 年金及び一時金は退職を給付事由として支給されることになっているか。

1. 趣旨
 年金及び一時金は、加入者の退職を給付事由として支給するものとする。したがって在職中にこれらを支給することはできない。

2. 審査上の留意事項

(1) 年金及び一時金は、加入者の退職を給付事由として支給するものであるから、加入者としての資格を失った場合でも退職の事実がない限り支給することはできない。

(2) (1)の退職の事実には、所得税基本通達30-2の(2)及び(4)から(6)まで並びに同通達30-2の2に掲げる退職手当等が事業主から支払われる場合の退職に準じた事実等が含まれるので、当該事実等が生じたときは年金及び一時金を支給することができる。

(注1) (2)の退職に準じた事実等が生じたときに支払われる退職手当等のすべてが適格年金契約に基づくものである場合においても、(2)の適用があることに留意する。

(注2) 退職時に確定した一時金については、支給時期の繰延べが認められないことに留意する。

(3) 上記(1)、(2)にかかわらず、拠出制年金において加入者が在職中に任意脱退した場合には、加入者が負担した掛金の元利合計額(利率は実勢利率以内とする。)を支給することができる。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規契約、年金又は一時金の支給時期を変更した契約

(2) 審査書類
 年金規程等、退職金規程又は労働協約等

(3) 審査手順
 年金規程等により、退職を給付事由として支給することとしているか確認する。


10 年金と一時金が同時に支給されるようになっていることはないか。

1. 趣旨
 一時金の給付は、年金の支給要件が満たされない場合、又は年金に代えて支給する場合に限られる。
 したがって、同一退職者について年金と一時金とが同時に支給されるような制度は、年金に代わる一時金の場合を除き、設けることはできないことになっているので、これらについて審査する。

2. 審査上の留意事項
 年金に代えて支給する一時金(少額一時金を除く。)を支給する場合を除いて、年金と一時金とを同時に支給することはできない。

(注) 次の設例の場合には、勤続20年以上25年未満の者は年金(給与比例部分)と一時金(定額部分)とが同時に支給されることになるので、このような制度を設けることはできない。

(設例)

1 定額部分
年金受給資格 勤続25年以上
一時金受給資格 勤続25年未満

2 給与比例部分
年金受給資格 勤続20年以上
一時金受給資格 勤続20年未満

 次の設例の場合には、年金と一時金とが同時に支給されることがないので、このような制度を設けることができる。

(設例)

1 定額部分
年金受給資格 勤続25年以上
一時金なし

2 給与比例部分
年金受給資格 勤続20年以上
一時金受給資格 勤続20年未満

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規契約、受給資格を変更した契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により、年金の受給資格と一時金の受給資格とが重複していないかどうかを確認する。


11 年金の支給期間が5年以上になっているか。

1. 趣旨
 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、その支給期間が著しく短いものは、その趣旨に反することとなる。このような見地から年金の支給期間は、少なくとも5年以上でなければならない。

2. 審査上の留意事項
 勤続期間の長短、退職事由等により年金の支給期間が異なる場合においてもその支給期間は、少なくとも5年以上としなければならない。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 新規契約、支給期間を変更した契約

(2) 審査書類
 申請書等、年金規程等

(3) 審査手順
 申請書等及び年金規程等により年金の支給期間が5年以上になっていることを確認する。

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