2 年金規程の施行日(変更日)、契約日及び再計算日は正しいか。

1. 趣旨
 申請書等の提出にあたっては、年金規程の施行日(変更日)、契約日及び再計算日が正しいかどうかを充分審査する必要がある。

2. 審査上の留意事項

(1) 年金規程の施行日

イ 新規
 法人税法施行規則(以下「法規」という。)附則第5条第1項各号のいずれかに該当する契約又は次に掲げるような契約を締結する場合に限り、新たに年金規程を施行することができる。

(イ) 複数の法人が共同して受託機関と適格年金契約を締結している場合において、当該契約に係る法人の合併(法人を設立する合併に限る。)が行われ、当該合併により設立された法人が当該適格年金契約に係る受益者等を受益者等とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約

(ロ) 適格年金契約を締結している個人事業主がいわゆる法人成した場合の当該法人が当該適格年金契約に係る受益者等を受益者等とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約

(ハ) 適格年金契約を締結している法人である複数の事業主が法令第4条の2第6項第1号に規定する複数新設分割を行った場合において、当該複数新設分割により設立された法人がその使用人を加入者とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約

((ハ)の注) 適格年金契約を締結している法人である事業主が適格年金契約を締結していない法人である事業主との間で複数新設分割を行った場合において、当該複数新設分割により設立された法人がその使用人を加入者とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約は、法規附則第5条第1項第3号に規定する退職年金に関する契約には該当しないことに留意する。

(注) 平成18年5月1日前における上記イの取扱いについては、なお従前の例による。

ロ 通常の変更
 年金規程の施行日又は前回の変更日から1年を経過する日までの間は、次に掲げる場合を除き、制度(年金規程)の変更を行わない。
 また、ここでいう前回の変更には、次に掲げる場合を含まないものとする。

(イ) 財政再計算(財政再計算に併せて行う変更を含む。)に伴う年金規程の変更があったとき及び経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約において当該契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内に年金規程の変更があったとき。

(ロ) 定年年齢の変更があったとき。

(ハ) 給料又は賃金等の体系に変更があったことに伴い掛金等の額及び給付額の算定の基礎となる基準給与を変更したとき。

(ニ) 合併又は営業譲渡等の事実が生じたとき。

(ホ) 共同委託者(結合子会社)を追加又は除外したとき。

(ヘ) 給付の増額等に係る変更時期を労働組合等との協定により変更したとき。

(ト) 臨時拠出金を払い込む必要が生じたとき。

(チ) 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率又は経験予定脱退率を使用したとき。

(リ) 法令附則第16条第1項第9号ホに規定する要留保額の全部若しくは一部を受託機関の間で移管したとき。

(ヌ) 掛金等配分割合又は給付等負担割合を変更したとき。

(ル) 加入者が次に掲げる他の年金等の制度(以下「他の年金等の制度」という。)の加入員等となったため、又は既に次に掲げる中小企業退職金共済契約以外の他の年金等の制度の加入員等となっている者に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該他の年金等の制度に係る給付の額に含めるため、当該適格年金契約の一部を解除する場合。

a 厚生年金基金

b 確定給付企業年金法第2条第1項に規定する確定給付企業年金(以下「確定給付企業年金」という。)

c 他の適格年金契約

d 所得税法施行令第73条第1項第1号に規定する退職金共済契約

e 確定拠出年金法第2条第2項に規定する企業型年金(以下「企業型年金」という。)

f 中小企業退職金共済法第2条第3項に規定する退職金共済契約(以下「中小企業退職金共済契約」という。)

(ヲ) 加入者数要件以外の特例適格年金契約の要件を満たす一般適格年金契約において加入者数要件を満たすこととなったため、一般適格年金契約から特例適格年金契約に変更するとき又は特例適格年金契約において加入者数要件を満たさなくなったため、特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更するとき。

(ワ) 給付額の変更を行うことなく、年金の給付水準以外の特例適格年金契約の要件を満たす一般適格年金契約において年金の給付水準が特例適格年金契約の要件を満たすこととなったため、一般適格年金契約から特例適格年金契約に変更するとき又は特例適格年金契約において年金の給付水準が特例適格年金契約の要件を満たさなくなったため、特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更するとき。

ハ 財政再計算の変更
 財政再計算に伴う年金規程の変更日は、再計算日から再計算日後6ヵ月を経過する日までの間の日とする。

(2) 契約日

イ 新規
 初回掛金等(概算額を含む。)を入金した日を契約日とする。ただし、保険契約及び共済契約においては、年金規程の施行日を契約日とすることができる。

ロ 通常の変更
 変更後の掛金等を入金した日又は年金規程の変更日を契約日とする。

(注) 変更後の掛金等は、原則として、申請書等の提出日までに拠出されていなければならない。

ハ 財政再計算の変更
 通常の変更に準ずる。

(3) 再計算日
 適格年金契約においては、あらかじめ定めた一定期間を経過するごとに財政再計算を行うこととされている。
 このため初回又は次回以降の再計算日が正しく定められていることを要する。ただし、経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用していない契約については、いわゆる財政再計算を行わないことができることに留意する。

イ 再計算日の定め方

(設例)(5年ごととした場合)
初回再計算日:契約日(施行日)から起算し、第5回目の年金財政決算日の翌日
第2回目以降の再計算日:前回再計算日から起算し、第5回目の年金財政決算日の翌日

ロ 次に掲げる場合には、当該予定脱退率をその採用後3年を超えて使用することはできない。したがって、初回又は次回再計算日は、契約日(施行日)又は前回再計算日から起算し第3回目の年金財政決算日の翌日としなければならない。

(イ) 実績以外の予定脱退率を使用したとき。

(注) ここでいう「実績以外の予定脱退率」は経験予定脱退率ではないことに留意する。

(ロ) 1年以上3年未満の実績による予定脱退率を使用したとき。

ハ 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率を使用した場合の初回の再計算日は、当該予定脱退率を使用することとなった日の属する年金財政の決算日を第1回目の決算日として計算する。

ニ 積立方法の変更等財政再計算時に行うことが認められている変更は、経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用していない契約についても契約日(施行日)後5年以内の一定期間ごとの契約対応日から6カ月以内に行うことができる。

(注1) 財政再計算の終了期限(財政再計算に伴う諸手続きの終了すべき期限をいう。)は再計算日から6カ月とする。

(注2) 財政再計算に伴う申請書等の提出期限は、財政再計算の終了期限の日の翌月末日とする。

(設例)

計算
基準日
年金規程の
変更日
新掛金適用
開始日
新給付適用
開始日
1/1 1/1〜7/1
の間の日
同 左 同 左

(注3) 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率を使用することとなった日が契約日(施行日)後5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内であっても財政再計算ではなく通常の変更として取り扱うことに留意する。

3. 審査手続

(1) 対象契約
 すべての契約

(2) 審査書類
 契約書、申請書等、年金規程等

(3) 審査手順

イ 新規契約は上記2の審査上の留意事項に定める要件に合致しているか、また、1年以内の変更にならないかどうかを年金規程等により確認する。

ロ 契約日及び再計算日は正しいかどうかを確認する。

ハ 財政再計算に伴う変更の場合は、再計算日が正しいかどうか、また、財政再計算の終了期限内に諸手続が完了しているかどうかを確認する。

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