別添

2 有価証券の帳簿価額

問4  信託財産に含まれる有価証券と他の手持有価証券とは、一単位当たりの帳簿価額の算出の方法を異にしてよいか。

(答)
信託財産に含まれる有価証券と手持有価証券とは、種類、銘柄の異なる有価証券として取り扱うこととしているので、異なる方法を選定できる。

問5  受益者たる法人が複数のファンドを設定している場合には、それぞれのファンドごとに譲渡損益を計算できるとされているが、どのようにするのか。

(答)
ファンドごとに別の資産と観念して次のように計算する。

(例)

Aファンド、甲社株式取得価額(1株)1,000円、Bファンド、甲社株式取得価額(1株)1,100円・乙社株式

(損益の計算) 
Bファンドの甲社株式(1株)を1,500円で譲渡したとすれば、
「1,500円−1,100円=(益)400円」とし、
「1,500円−(1,000円+1,100円)×1/2=(益)450円」
とする必要はない。

問6  信託財産に含まれる有価証券は、受託機関の異なるごとおよびそれぞれ種類の異なるごとに一単位当たりの帳簿価額の算出の方法を選定できるか。

(例)
1Aファンド(株式)…総平均法
Bファンド(株式)…移動平均法
2A・Bファンド(株式)…総平均法
Aファンド(国債)…移動平均法

(答)
信託に係るものと手持のものとは異なる種類、銘柄として取り扱うだけであり、受託機関の異なるごとに異なる評価方法を認めるものではない(令第119条の5参照)。
 しかし、信託財産に含まれる国債、社債などの種類を異にするものについては、異なる算出方法を選定できる(令第119条の5、基本通達2-3-15)。したがって、上記例の1は認められないが、2は認められる。

問7  信託期間計算方式を採りながら、受託者が発行する計算書で採用している期末評価の方法(原価法)が税法上の期末評価の方法(時価法)と異なっている場合、その信託計算期間における損益が受託者の発行するその計算書上の損益と異なることとなるが認められるか。

(答)
信託期間計算方式はその取引に係る締切日を計算期間の末日とするだけであるから、受託者の期末評価の方法が税法上の方法と異なることまで否定するものではない。この場合の課税所得の計算は、受託者から提供された報告書類等を参考にしながら、税法上の期末評価の方法により行うこととなる。

問8  信託財産に含まれる有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定は、届出か、または変更か。

(答)
信託財産に含まれる有価証券は手持有価証券と別種類のものとされるので、その有価証券につき移動平均法以外の方法を採ろうとする場合には、新規の届出が必要である。
 なお、平成12年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の時において保有する有価証券については、その時に取得したものとみなして届出が必要であるから留意する。


特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて(質疑応答事例)

1 運用損益の計上時期

2 有価証券の帳簿価額

3 受取配当等の益金不算入額の計算

4 所得税額控除の計算

5 外国税額控除額の計算

6 その他