(問58)

次のケース1及びケース2の場合に、通算税効果額はそれぞれどのように計算しますか。
 ケース1
 同一の通算グループ内の法人であるA社、B社及びC社において、次のとおり損益通算及び一般試験研究費の額に係る税額控除が行われた場合

  A社 B社 C社 合計
通算前所得 780 1,800 ▲1,720  
損益通算 ▲520 ▲1,200 1,720  
損益通算後所得 260 600 0  
調整前法人税額 60 140 0  
試験研究費の額 400 0 200 600
税額控除額 15 35 50

ケース2
 同一の通算グループ内の法人であるP社、S1社及びS2社において、次のとおり欠損金の通算が行われた場合

  P社 S1社 S2社 合計
特定欠損金額以外の
欠損金額
150 70 300 520
被配賦欠損金額 136 136
配賦欠損金額 70 66 136
非特定欠損金額 286 0 234 520
非特定損金算入割合 190/520 
非特定欠損金額
の損金算入額
104 0 86 190

【回答】

通算税効果額は、合理的に計算することになります。ケース1及びケース2の場合に授受される通算税効果額について、合理的と考えられるものを一例として示すと、【解説】(2)のとおりです。

【解説】

  1. (1) 授受する通算税効果額の取扱い
     通算法人が他の通算法人との間で授受する通算税効果額は、益金の額及び損金の額に算入しないこととされています(法264、383)。
     この通算税効果額とは、損益通算の規定(法64の51)又は欠損金の通算の規定(法64の7)その他通算法人及び通算法人であった法人のみに適用される規定を適用することにより減少する法人税及び地方法人税の額に相当する金額として通算法人(通算法人であった法人を含みます。)と他の通算法人(通算法人であった法人を含みます。)との間で授受される金額をいいます(法264)。
     また、この通算税効果額は、合理的に計算することになります。
  2. (2) 本件における通算税効果額の計算例
    1. イ ケース1
       ケース1では、損益通算及び一般試験研究費の額に係る税額控除が行われていますが、このそれぞれに係る通算税効果額の計算方法として、例えば、それぞれ以下の方法が考えられます。
      1. 1 損益通算
         損益通算により減少する所得金額について法人税率を乗じて算出された金額(地方法人税相当額を含みます。)を通算税効果額とする方法
      2. 2 一般試験研究費の額に係る税額控除額
         通算グループ全体の税額控除額の合計額を各通算法人の試験研究費の額の比であん分して算出された金額と各通算法人の税額控除額との差額(地方法人税相当額を含みます。)に基づいて通算税効果額を算出する方法
         この方法による計算例を示すと以下のとおりとなります。
          A社 B社 C社 合計
        損益通算 ▲520 ▲1,200 1,720  
        損益通算に係る
        通算税効果額(1
        ▲133(※1) ▲307(※2) 440
        ⇒損金不算入 ⇒損金不算入 ⇒益金不算入
        (※1) 法人税 520×23.2%=121
        地方法人税 121×10.3%=12
        合計 121+12=133
        (※2) 法人税 1,200×23.2%=278
        地方法人税 278×10.3%=29
        合計 278+29=307
        試験研究費の額 400 0 200 600
        税額控除額 15 35 50
        試験研究費の額
        の比で按分
        33
        =50×400/600
        0
        =50×0/600
        17
        =50×200/600
         
        税額控除に係る
        通算税効果額
        2
        20(※3) ▲39 19(※4)
          ⇒益金不算入 ⇒損金不算入 ⇒益金不算入
          (※3) 法人税 33−15=18
              地方法人税 18×10.3%=2
              合計 18+2=20
          (※4) 法人税 17−0=17
              地方法人税 17×10.3%=2
              合計 17+2=19
        通算税効果額 ▲113 ▲346 459
        合計(12 ⇒損金不算入 ⇒損金不算入 ⇒益金不算入

        (注) 損益通算の金額及び税額控除額の計算については、問49及び問70を参照してください。
         また、通算税効果額は、法人税率を23.2%、地方法人税率を10.3%として計算しています。以下同じです。

      損益通算に係る通算税効果額としてそれぞれ減少する法人税及び地方法人税に相当する金額として算出した133(A社)及び307(B社)について、C社に支払った場合には、その支払った金額は、A社及びB社においては損金不算入、C社においては益金不算入となります。
       また、一般試験研究費の額に係る税額控除額については、通算グループ全体の税額控除額の合計額50を試験研究費の額の比であん分した金額(A社:33、B社:零、C社:17)と、実際の税額控除額(A社:15、B社:35、C社:零)との差額に基づいて算出した金額を通算税効果額として授受を行った場合には、その授受した金額はB社においては損金不算入、A社及びC社においては益金不算入となります。
       なお、通算税効果額の授受が通算親法人などの一の通算法人を通じて行われる場合(例えば、B社が通算税効果額346をA社に支払い、A社がこの346と自社の通算税効果額113との合計額459について、C社に支払う場合)であっても、上記と同様に、A社及びB社においてそれぞれ113及び346が損金不算入、C社において459が益金不算入となります。

    2. ロ ケース2
       ケース2では、欠損金の通算が行われていますが、これに係る通算税効果額の計算方法として、例えば、被配賦欠損金控除額(法64の75一)及び配賦欠損金控除額(法64の75二)に基づいて通算税効果額を算出する方法が考えられます。
       この方法による計算例を示すと以下のとおりとなります。
        P社 S1社 S2社 合計
      特定欠損金額以外の
      欠損金額
      150 70 300 520
      被配賦欠損金額 136 136
      配賦欠損金額 70 66 136
      非特定欠損金額 286 0 234 520
      非特定損金算入割合 190/520 
      欠損金の通算に係る
      通算税効果額
      ▲13 7(※5) 6(※6)  
      ⇒損金不算入 ⇒益金不算入 ⇒益金不算入
      (※5) 法人税 70×190/520×23.2%=6
          地方法人税 6×10.3%=1 合計 6+1=7
      (※6) 法人税 66×190/520×23.2%=5
          地方法人税 5×10.3%=1 合計 5+1=6

      (注) 被配賦欠損金額、配賦欠損金額及び非特定欠損金額並びに非特定損金算入割合の計算については、問54を参照してください。

      P社の被配賦欠損金額136に非特定損金算入割合190/520を乗じた金額50(被配賦欠損金控除額)に基づいて、13(50×23.2%=12、12×10.3%=1)を通算税効果額として、S1社及びS2社に対してそれぞれ7及び6を支払った場合には、その支払った金額は、P社においては損金不算入、S1社及びS2社においては益金不算入となります。
       なお、ケース1と同様に、通算税効果額の授受が通算親法人などの一の通算法人を通じて行われる場合(例えば、S2社が通算税効果額7をS1社に支払い、S2社がこの7と自社の通算税効果額6との合計額13について、P社から受け取る場合)であっても、上記と同様に、P社において13が損金不算入、S1社及びS2社においてそれぞれ7及び6が益金不算入となります。

(参考)
 損益通算の計算、欠損金額の損金算入額の計算、通算税効果額等の申告書別表への記載及び一般試験研究費の額に係る税額控除の計算については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問49 通算制度の当初申告における損益通算の計算
  2. 問54 通算法人の過年度の欠損金額の当初申告における損金算入額の計算方法
  3. 問59 通算税効果額等の申告書別表への記載について
  4. 問70 通算法人における一般試験研究費の額に係る税額控除の計算