(問59)

法人の間で授受される法人税の負担額及び減少額等について、連結納税制度及び通算制度それぞれの場合において、申告書別表の記載はどのように異なることとなりますか。

ケース1
  連結納税制度を適用している連結親法人X社並びに連結子法人Y社及びZ社の各連結法人の損益計算書等に記載された金額が以下のとおりである場合

《X連結グループ内における各連結法人の損益計算書(抜粋)》

  連結親法人
X社 
連結子法人
Y社 
連結子法人
Z社 
計 
税引前当期純利益 
1,000
500
▲900 
600
法人税、住民税及び事業税 
250
125
▲225 
150
当期純利益
750
375
▲675 
450

〔法人税、住民税及び事業税計上額の内訳〕

連結親法人
X社 
連結子法人
Y社 
連結子法人
Z社 
計 
各社納付額(納税充当金) 
150
0
0
150
連結法人税個別帰属額及び
連結地方法人税個別帰属額 
100
125
▲225 
0
計 
250
125
▲225 
150

ケース2
  通算制度を適用している通算親法人A社並びに通算子法人B社及びC社の各通算法人の損益計算書に記載された金額が以下のとおりである場合

《A通算グループ内における各通算法人の損益計算書等(抜粋)》

通算親法人
A社 
通算子法人社
B社
通算子法人
C社 
計 
税引前当期純利益 
1,000
500
▲900 
600
法人税、住民税及び事業税 
250
125
▲225 
150
当期純利益
750
375
▲675 
450

〔法人税、住民税及び事業税計上額の内訳〕

通算親法人
A社
通算子法人
B社
通算子法人
C社
計 
各社納付額(納税充当金) 
100
50
0
150
通算税効果額
150
75
▲225 
0
計 
250
125
▲225 
150

なお、ケース1又はケース2のいずれの場合においても法人税率は25%、地方法人税、住民税及び事業税は考慮しないものとして法人税等の実効税率は25%とし、また、中間納付税額及び税効果会計については考慮しないものとします。

【回答】

連結納税制度及び通算制度それぞれの場合における申告書別表の記載例を示すと、【解説】のとおりです。

【解説】

1 連結納税制度(ケース1)の場合

(1) 連結法人の間で授受される法人税の負担額及び減少額等に係る会計処理

X社  T 法人税、住民税及び事業税 150 / 未払法人税等  150
U 未収入金(Y社)  125 / 法人税、住民税及び事業税  125
V 法人税、住民税及び事業税 225 / 未払金(Z社)  225
Y社  W 法人税、住民税及び事業税 125 / 未払金(X社)  125
Z社  X 未収入金(X社) 225 / 法人税、住民税及び事業税  225

(2) 連結親法人X社の個別所得に係る別表四の二付表の記載例(抜粋)

区分  総額  処分 
留保 社外流出 
1  2  3 
当期利益又は当期欠損の額 
750
750
0

損金経理をした連結法人税個別帰属
額及び連結地方法人税個別帰属額 
(V)225 
225
損金経理をした納税充当金
(T)150 
150

収益として経理した連結法人税個別
帰属額及び連結地方法人税個別帰属額 
(U)125 
125
個別所得金額又は個別欠損金額 
1,000
1,000
0

(3) X連結グループの連結所得に係る別表四の二の記載例(抜粋)

区分  総額  処分 
留保 社外流出 
1  2  3 
当期利益又は当期欠損の額 
450
450
0

損金経理をした連結法人税個別帰属
額及び連結地方法人税個別帰属額 
(V+W)350 
350
損金経理をした納税充当金
(T)150 
150

収益として経理した連結法人税個別
帰属額及び連結地方法人税個別帰属額 
(U+X)350 
350
個別所得金額又は個別欠損金額 
600
600
0

(4) 連結親法人X社の個別帰属額届出書に係る別表五の二(一)付表一の記載例(抜粋)

区分
期首
期末 
未収入金(Y社の個別帰属額 ) 
▲125 
▲125
未払金 (Z社の個別帰属額 ) 
225
225
未収連結法人税個別帰属支払額 (X社+Y社 ) 
375
375
未払連結法人税個別帰属受取額(Z社 ) 
▲225 
▲225
未納連結法人税
▲150 
▲150
繰越損益金
750
750
小計
850
850
納税充当金
150
150
未払連結法人税個別帰属額(X社) 
▲250 
▲250
差引合計額
750
750

(5) X連結グループの連結利益積立金額に係る別表五の二(一)の記載例(抜粋)

区分
期首
期末 
X 社
850
850
Y 社 500
500
Z 社
▲900
▲900
小 計
450
450
納税充当金
150
150
未納連結法人税
▲150
▲150
差引合計額
450
450

2 通算制度(ケース2)の場合

(1) 通算法人の間で授受される通算税効果額等に係る会計処理

A社  Y 法人税、住民税及び事業税 100 / 未払法人税等  100
Z 法人税、住民税及び事業税  150 / 未払金(通算税効果額)  150
B社    法人税、住民税及び事業税 50 / 未払法人税等  50
    法人税、住民税及び事業税 75 / 未払金(通算税効果額)  75
C社    未収入金(通算税効果額) 225 / 法人税、住民税及び事業税  225

(2) 通算親法人A社の別表四付表の記載例(抜粋)

区分  総額  処分 
留保 社外流出 
1  2  3 

損金経理をした通算税効果額
(附帯税の額に係る金額を除く。) 
(Z)150 
150
 

(3) 通算親法人A社の別表四の記載例(抜粋)

区分  総額  処分 
留保 社外流出 
1  2  3 
当期利益又は当期欠損の額
750
750
 

損金経理をした納税充当金
(Y)100
100
 
通算法人に係る加算額
(上記(2))150
150
 
所得金額又は欠損金額
1,000
1,000

(4) 通算親法人A社の別表五(一)の記載例(抜粋)

区分
期首
期末 
未払金( 通算税効果額)
150
150
繰越損益金 750
750
納税充当金
100
100
未納法人税
▲100
▲100
未払通算税効果額
▲150
▲150
差引合計額
750
750

(参考)
 通算税効果額の計算方法については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問58 通算税効果額の計算方法