(問35)

X2年4月1日に設立されたP社(3月決算)は、自X2年4月1日至X3年3月31日を通算制度の適用を受ける最初の事業年度とするいわゆる設立事業年度等の承認申請特例の承認を受けるため、X2年4月20日に通算制度の承認申請書を提出しました。
 その後、通算制度の承認の申請が承認又は却下される前のX2年5月1日に、P社は、P社との間に完全支配関係を有していたS社(9月決算)の発行済株式の全てを通算グループ外の第三者に譲渡することとなりました。
 この場合、S社は、どのような申告を行う必要がありますか。

【回答】

S社は、
1自X1年10月1日至X2年3月31日事業年度
2自X2年4月1日至X3年3月31日事業年度
3自X3年4月1日至X3年9月30日事業年度
について、それぞれ申告を行う必要があります。
 なお、いずれの事業年度についても通算制度の規定の適用はありません。

【解説】

通算親法人となる法人が設立事業年度等の承認申請特例の規定(法64の97)の適用を受けようとする場合において、通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度(以下「申請特例年度」といいます。)開始の時にその通算親法人となる法人との間に完全支配関係(通算除外法人(注)及び外国法人が介在しない一定の関係に限ります。以下同じです。)がある法人(以下「他の内国法人」といいます。)の事業年度は、その申請特例年度開始の日の前日に終了し、これに続く事業年度は、その申請特例年度開始の日から開始するものとされています(法145一)。
 また、この場合において、他の内国法人が通算制度の承認(法64の91)を受けなかったときは、当該他の内国法人のその申請特例年度開始の日から開始する事業年度は、申請特例年度終了の日に終了し、これに続く事業年度は、その申請特例年度終了の日の翌日から開始するものとされています(法146)。
 このような場合には、他の内国法人には通算子法人に該当する期間がないこととなりますが、申請特例年度開始の日から申請特例年度終了の日までの期間については、当該他の内国法人の会計期間を事業年度とする規定(法131)は適用しないこととされています(法147括弧書)。
 本件では、P社が自X2年4月1日至X3年3月31日事業年度を申請特例年度とする通算制度の承認の申請書を提出していることから、S社の事業年度(次の図における1の期間)は、申請特例年度開始の日(X2年4月1日)の前日(X2年3月31日)に終了し、これに続く事業年度はその申請特例年度開始の日から開始することとなります。
 また、S社は、通算制度の承認を受ける前のX2年5月1日にP社との間に完全支配関係を有していないため、通算制度の承認を受けないことから、この事業年度(次の図における2の期間)は、申請特例年度終了の日(X3年3月31日)に終了し、その申請特例年度終了の日の翌日(X3年4月1日)から次の事業年度が開始することとなります(次の図における3の期間)。
 なお、他の内国法人(S社)が通算親法人となる法人(P社)との間にその通算親法人となる法人(P社)による完全支配関係を有しなくなった場合には、その通算親法人となる法人(P社)は、その有しなくなった日以後遅滞なく、その有しなくなった日等を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(令131の144二)。

解読図

(注) このQ&Aにおいて、通算除外法人とは、問2の(1)から(9)までに掲げる法人をいいます。

(参考)
 通算除外法人、設立事業年度等の承認申請特例による通算制度の承認の申請書の提出期限、通算制度から離脱する場合の事業年度の特例、通算親法人の同一の事業年度中に加入及び離脱をした法人については、次のQ&Aを参照してください。

  1. 問2 通算子法人となることができる法人
  2. 問12 通算制度の承認の申請書の提出期限
  3. 問33 通算制度から離脱する場合の事業年度の特例
  4. 問34 通算親法人の同一の事業年度中に加入及び離脱をした法人の事業年度の特例