【果実酒等の製法品質表示基準】(かじつしゅとうのせいほうひんしつひょうじきじゅん)

日本国内で製造されるワインには、国内で収穫したぶどうの実を使用して製造した「日本ワイン」や、輸入濃縮果汁や輸入ワインを原料としたものなど様々なワインがあり、その違いが分りにくい等の問題がありました。
 「日本ワイン」の中には、近年国際的なコンクールで受賞するようなものもあることから、「日本ワイン」の国際的な認知向上や消費者に分かりやすい表示とすることで商品選択が容易となることを目的に、国税庁において、平成27年10月に「果実酒等の製法品質表示基準」(国税庁告示第18号)が定められ、平成30年10月30日から適用されています。
 この表示基準では、「日本ワイン」を定義し、その他の国内製造ワインと明確に区別するため「日本ワイン」と表示することを義務付けているほか、地名を表示できる場合、ぶどうの品種を表示できる場合、ぶどうの収穫年を表示できる場合のルールや表示方法を定めています。
 詳細については、「果実酒等の製法品質表示基準」をご覧ください。

【果実酒の歴史】(かじつしゅのれきし)

ワインの歴史は古く、紀元前6000年頃に黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方で初めてワインが造られたといわれています。また、紀元前2000年のハムラビ法典には、酔っ払いにワインを売ってはならないと書かれており、古代エジプトの壁画にはワインを醸造する様子が描かれています。ワイン文化はギリシャで開花し、ローマ帝国によってブドウ栽培法とワイン醸造法が確立されたと言われています。
 日本に初めてワインがもたらされたのは1549年、フランシスコ・ザビエルが薩摩藩の島津貴久に献上したとの記録があります。また、ワインの作り方は1695年に江戸で出版された食べ物の百科事典ともいうべき「本朝食鑑」に記載されていますが、日本で産業としてワイン醸造が始まったのは明治になってからです。その後、西欧のワイン技術を取り入れながら、日本の風土に適したワイン醸造が行われ、今日のワインが造られるようになりました。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【甘味果実酒】(かんみかじつしゅ)

果実以外の原材料としてブランデーや香草などを使用したものや、原料となる果実に含まれる以上の糖分を加えて発酵させたものなどがあり、ポートやシェリー、ベルモットのほか、かんきつ類など糖分が少ない果実を原料として発行させたものなどが含まれます。「甘味」が付いているからといって必ずしも甘いとは限りません。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【原料ぶどうの収穫 (山梨県)】(げんりょうぶどうのしゅうかく やまなしけん)

山梨県内のぶどう畑では、ワイン原料用のぶどうの収穫が9月に最盛期を迎えます。
 収穫されたぶどうは直ちに各ワイナリーに運ばれワインの仕込が始まります。
 仕込まれたワインは、各ワイナリーでの発酵を経て、11月には新酒として出揃います。

ワイン用ぶどうの収穫時期

ぶどうの品種 収穫時期
デラウエア(白ワイン) 8月中旬から下旬
シャルドネ(白ワイン) 9月中旬
メルロー(赤ワイン) 9月中旬から下旬
カベルネ・ソーヴィニョン(赤ワイン) 9月下旬から10月上旬
甲州(白ワイン) 9月下旬から10月中旬

【地理的表示「山梨(ぶどう酒)」】(ちりてきひょうじ やまなし(ぶどうしゅ))

地理的表示「山梨(ぶどう酒)」は、平成25年7月に果実酒として初めて国税庁長官の指定を受けました。
 山梨県産のぶどうを原料として山梨県内において発酵・容器詰めしたものでなければ「山梨」の表示をすることはできません。
 また、原料のぶどうについても甲州、マスカット・ベーリーAなどの限られた品種によるほか、アルコールを添加しないことなど、その生産基準が定められています。
 地理的表示「山梨(ぶどう酒)」の特性を維持するため、管理委員会が、官能審査や表示審査を行い、管理しています。
 地理的表示「山梨(ぶどう酒)」の詳細については、酒類の地理的表示一覧をご覧ください。

【「日本ワイン」とは】(にほんわいんとは)

「日本ワイン」とは、日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して日本国内で醸造されたワインです。
 日本ワインの特徴はその多様性です。日本を代表する白ワイン用品種の「甲州」や、赤ワイン用品種の「マスカット・ベーリーA」などの日本固有の品種に加え、アメリカ原産ラブラスカ種との交配種、さらに近年はシャルドネ、メルローといったワイン専用種も導入され、幅広い品種から多様な味わいのワインが造られています。
 全般的な味わいの特徴は、日本の伝統的な料理と同じく、「繊細さ」です。まさに和食と日本ワインはこの繊細さにおいて相性の良さを発揮します。すし、てんぷら、スキヤキに最高にあうワインが日本ワインです。

[資料提供:日本ワイナリー協会]

【品種】(ひんしゅ)

主要品種は、白が日本固有種の「甲州」、赤が日本でラブラスカ種とヴィニフェラ種から交配され、やはり固有種といえる「マスカット・ベーリーA」です。1970年代後半からヴィニフェラ種の導入が本格的に始まり、メルロ、シャルドネは権威ある国際コンクールで毎年のように受賞しています。ほかにも赤品種ではカベルネも栽培され、シラー、ピノ・ノワールはまだ栽培面積は取るに足りないものの、チャレンジする生産者が増えてきました。白品種ではケルナー、ソーヴィニヨン・ブランが注目されています。
 また、多湿な環境に合わせて山ぶどうとの交配種が開発され沿岸部や冷涼地で栽培されています。19世紀末に生食用に導入されたラブラスカ系のナイアガラ、コンコード、デラウエアなどからもビギナー向けのワインが造られています。
 「甲州」のワインはグレープフルーツ、レモンなどの柑橘の爽やかな香りと、小田屋穴酸味が特徴でアルコール度数が比較的低い軽やかなワインです。
 「甲州」は、6〜7世紀頃にシルクロードを通って中央アジアから中国にもたらされ、奈良時代、仏教とともに中国から日本に伝来しました。日本の風土に適応し、主に生食用に栽培されていましたが、現在は日本ワインに最も多く使用される品種になっています。
 近年の研究で甲州のDNAを解析したところ、大部分はヴィニフェラですが、1/4中国の野生ぶどうのDNAが含まれているハイブリッドであることが明らかになっています。
 「マスカット・ベーリーA」のワインはチェリーやベリー系果実の香りと、果実味あふれる味わいが特徴です。
 なお、2010年に甲州が、2013年にマスカット・ベーリーAが、2020年に山幸が国際ブドウ・ワイン機構(OIV)にワイン用ぶどうとして登録されました。これにより、EUへ輸出するワインのラベルにこれらの品種名を記載することができるようになりました。

[資料提供:日本ワイナリー協会]