フォーティファイドワイン(アルコール強化ワイン)の多くや、薬草、香料、色素などを原料としたアロマタイズドワイン(フレーバードワイン、混成ワイン)は、酒税法上、果実酒ではなく甘味果実酒に分類されます。主なものには、次のようなお酒があります。
(注)フォーティファイドワインのうち、わが国では酒税法により、一部、果実酒に分類されるものもあります。
- ○ シェリー
スペインで造られるフォーティファイドワインです。シェリーには甘口から辛口まで様々なタイプがありますが、基本的にはフィノとオロロソの2タイプに分けられます。フィノは、白ワインを「ワインの蒸留液と新酒の白ワインを混和したもの」(グレープスピリッツ)で酒精強化した後に、ソレラシステムと呼ばれる独特の樽貯蔵システムでワインの表面に皮膜を造る酵母(シェリー酵母)を繁殖させた状態で貯蔵し、シェリー独特の香りをつけたものです。
オロロソは、ブランデーをフィノより多く添加し、シェリー酵母を繁殖させないで樽貯蔵したものです。オロロソに濃縮果汁を添加した甘口のクリームシェリーもあります。
- ○ ポート
ポルトガルで造られるフォーティファイドワインです。黒色系ぶどうを赤ワインと同様に仕込み、発酵途中の糖分が多い状態でブランデーを添加して発酵を停止させ、圧搾後、樽貯蔵した甘口のワインです。熟成の方法によりいくつかのタイプに分かれます。
- ○ マディラ
大西洋上のポルトガル領マディラ島で、白ワインと同様の仕込みを行い、発酵中にブランデーを添加し発酵を停止する方法で造られます(ブランデー添加時期により甘口から辛口まで様々なタイプがあります。)が、50℃程度で数か月間貯蔵させるため、加温によって生じた強い熟成香が特徴です。
- ○ ベルモット
熟成した白ワインに、にがよもぎなど数十種類の薬草を漬け込んだもので、フランス産のものは淡色辛口、イタリア産のものは濃色甘口のものが多くなっています。赤のベルモットもありますが、これはカラメルなどで着色したものです。
- ○ スイート・ワイン
ワインに糖類、蜂蜜、香料、色素、水等を加えて造った甘味果実酒のことです。昭和40年代頃までは、ワインというとスイート・ワインを連想する人も多くいました。
[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]