【ウイスキーの種類】(ういすきーのしゅるい)
ウイスキーは大きく2種類に分けられます。
1つは麦芽から造るモルトウイスキーであり、豊かな香りが特徴です。もう一つはトウモロコシなどの穀類から造るグレーンウイスキーで、その香味は軽く穏やかです。
日本のウイスキーの主流であるブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを調合(ブレンド)して造ります。
ウイスキーは、現在世界各国で製造されています。近年、インドや台湾など新進気鋭の産地も注目されていますが、世界の5大ウイスキーを以下で紹介します。
○ スコッチ・ウイスキー
ピートを焚くことによるピーティーフレーバーが特徴です。単式蒸留器で2回以上蒸留します。
モルトウイスキーは麦芽100%、グレーンウイスキーは穀物と麦芽を原料にしています。
○ アイリッシュ・ウイスキー
ピートを使わず、単式蒸留器で3回蒸留を行うことによるしっかりとした味わいが特徴です。近年はスコッチ方式の製造も増えてきています。
麦芽に加え、穀物(主に大麦)を原料に使うのも特徴の一つです。
○ アメリカン・ウイスキー
アメリカン・ウイスキーのうち、①コーンを51%以上80%以下使用する、②連続式蒸留器で蒸留する、③内側を強く焦がした新樽で熟成させるなどの細かな規定に合致するとバーボン・ウイスキーと名乗ることが出来ます。やや赤みがかった色と香ばしい風味が特徴です。
○ カナディアン・ウイスキー
ライ麦やトウモロコシを原料にして製造したウイスキーをブレンドして造られるため、ライ麦の華やかな香りと軽快で穏やかな風味が特徴です。
○ ジャパニーズ・ウイスキー
スコッチを手本にして、日本人の繊細な食文化に合うように考え出されました。ピーティーフレーバーを控えめにして、水割りにしても風味が崩れないといった特徴があります。
[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]
【ウイスキーの歴史】(ういすきーのれきし)
ウイスキーの起源は中世までさかのぼります。ただ、いつどこで誕生したかについて正確には分かっておらず、アイルランド起源説とスコットランド起源説があります。
日本では、1924年にスコッチウイスキーの製法を手本に初めて国産ウイスキーが造られました。その後、日本人の嗜好や飲酒形態(水割り、食中酒など)を意識して製品が開発され、ジャパニーズウイスキーとしてのスタイルが確立しました。その品質と技術力の高さは、最近の世界的品評会における数々の受賞実績によって証明されています。
[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]
【パテントスチル】(ぱてんとすちる)
連続式蒸留機のことで、スコッチウイスキーのブレンド用グレーンウイスキーや、アメリカンウイスキーの製造などに使用されます。ポットスチル(単式蒸留機)よりもアルコール濃度が高く、不純物の少ない蒸留酒を造ることができますが、その反面、原料の特質が失われます。
【ピート】(ぴーと)
ヒースなどの湿原植物が自然堆積してできた泥炭(でいたん)がピートといいます。このピートは麦芽の乾燥用燃料に用いられ、乾燥の際に煙臭(スモーキーフレーバー)が麦芽に付きます。モルトウイスキーは、この煙臭が特徴の一つとなっています。
【ブランデーの種類】(ぶらんでーのしゅるい)
ブランデーは、果実から造ったワインを蒸留したお酒の総称です。その原料によって、①ブドウから造るグレープブランデー、②ブドウ以外の果実から造るフルーツブランデー、③ブドウの搾りかすから造るかす取りブランデーの3種類に分類できます。一般的にブランデーというと、グレープブランデーを指します。
ブランデーは、世界各地で製造されています。なかでも、世界一のブランデー生産地として知られるフランスでは、地域ごとに異なる特徴のブランデーが造られています。
○ コニャック
フランス西部のコニャック市とその周辺で造られています。単式蒸留器を用いて2回蒸留されています。
○ アルマニャック
フランス南西部のアルマニャック地方で造られています。半連続蒸留器を用いて1回蒸留しています。(コニャック方式の単式2回蒸留も認められています)
○ カルヴァドス
フランス北西部のノルマンディー地方で造られています。リンゴ(一部地域では洋ナシを混ぜる)から造られる蒸留酒です。
○ フルーツブランデー(オー・ドゥ・ヴィー・ドゥ・フリュイ)
様々な果実を原料とした蒸留酒の総称です。フランス東部のアルザス地方で多く造られています。
○ かす取りブランデー(オー・ドゥ・ヴィー・ドゥ・マール)
ワイン製造の際のブドウの搾りかすから造る蒸留酒です。通常略してマールと呼んでいます。1941年の法律で生産地が決められています。フランス東部のアルザス地方及びシャンパーニュ地方、中部のブルゴーニュ地方で造られるものが3大マールと呼ばれています。
[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]
【ブランデーの歴史】(ぶらんでーのれきし)
ブランデーの起源も中世です。最古の文献は13世紀頃のスペインの哲学者が書いたもので、錬金術師がワインを蒸留して不死の霊薬として売り出し、ペストの流行とあいまって「生命の水」として珍重されたという記述があります。
日本では、江戸時代後期の文献「日本回想録」にブランデー蒸留に関する最古の記録が残っています。1890年代にはブランデー生産が商業化されていましたが、本格的に生産が軌道に乗ったのは1960年代とされています。
[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]
【ポットスチル】(ぽっとすちる)
単式蒸留機のことで、主にブランデーやモルトウイスキーの製造に使用されます。アルコール以外の他の揮発成分も蒸留されるので、原料から来る特有の香気、成分に富んだ極めて個性の強い蒸留酒となります。