【地ビール・クラフトビール】(じびーる・くらふとびーる)

平成6年4月における酒税法の改正により、ビールにおける最低製造数量(※)が引き下げられたことで、「クラフトビール」または「地ビール」と呼ばれる小規模醸造所で造るビールが誕生しました。
 現在では、全国各地で、地域に密着した個性あふれるクラフトビールが造られており、旅行のお土産に買ったり、スーパーでも見かけるようになったりと、クラフトビールは私達の生活に身近な存在となりつつあります。

※ 最低製造数量とは、製造免許を受けた後1年間に製造しようとする見込数量のこと。その数量に達しない場合には、製造免許を取得することができません。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【麦芽】(ばくが)

麦芽とは、麦を発芽、乾燥させたものです。一般的にはビール造りには大麦の麦芽を使います。
 麦芽には3つの役割があります。1つ目はビール酵母が発行するための栄養を提供することです。麦芽に含まれるでんぷんやタンパク質は、麦芽中の酵素により糖やアミノ酸などに分解されます。酵母はこれらを栄養としてアルコールや香味成分を造ります。
 2つ目は、ビールに色や香味を与えることです。ビールには、黄金色、琥珀色、赤銅色、茶色や黒色といった様々な色、そして、カラメル香やコーヒーに似た香り、甘みがあります。麦芽の持つ色や香味はそれらのもとになっています。
 3つ目の役割は、豊かな泡の形成です。麦芽のタンパク質とホップ由来の成分等が結合し、ビールの泡の安定性を高めています。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【ビールと発泡酒の違い】(びーるとはっぽうしゅのちがい)

我が国の酒税法では、使用原料と麦芽の使用割合により、ビールと発泡酒を区分しております。

○ ビール

ビールとは、次に掲げるもので、アルコール分が20度未満のものをいいます。

イ 麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの

ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品①及び②を原料として発酵させたもの

ハ イ又はロの酒類にホップ又は政令で定める物品②を加えて発酵させたもの

なお、政令で定める物品とは、①麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料、②果実又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料をいいいます。ただし、その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の総重量の100分の50以上のものであり、かつ、政令で定める物品②の総重量が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限られます。

○ 発泡酒

発泡酒とは、次に掲げるもので、発泡性を有するアルコール分20度未満のものをいいます。

イ 麦芽又は麦を原料の一部としたもの

ロ イ以外の酒類で、ホップを原料の一部としたもの

ハ イ又はロ以外の酒類で、香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして政令で定める一定のもの

【ビールの歴史】(びーるのれきし)

古代のビール造りは、メソポタミア(紀元前3000年頃)のモニュマンブルーという粘土版や古代エジプトの壁画に見る事ができます。ホップがまだ使われておらず、二酸化炭素の封じ込めもできなかったため、苦みや発泡性はほとんどなく、アルコール分は約10%でむしろ白ワインに似た味わいだったと考えられています。
 14世紀頃になると、ホップが注目され始めます。以前は、各種薬草や香草をミックスしたものが使われていましたが、ホップを使用した方がビールの品質と日持ちの良さに優れていることが確認されると、ホップが本格的に使用されることになりました。
 19世紀頃には、ビール造りを躍進させる「三大発明」が生まれます。1つ目はパスツールが発明した「低温殺菌法」で、ビールの長期保存が可能となりました。2つ目はリンデが発明した「アンモニア式冷凍機」です。これにより、低温で発行塾生ができるようになり、厚い時期でもラガータイプのビール造りが可能となりました。3つ目はハンセンの「酵母の純粋培養」です。ビール造りに適した酵母を抽出・培養することが可能となりました。これらの技術は今日におけるビール造りの礎となっています。
 日本では、蘭方医の川本幸民が、江戸時代末期の1850年頃にビールを試醸したのがビール造りの事はじめとされています。明治時代になると玲時を使ったビール醸造法が伝来し、明示20年頃に大資本によって相次いでビール工場が設立されます。その後、醸造技術の改良と品質の向上、冷蔵庫の普及などを背景にビール産業は飛躍的な発展を遂げることになります。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【ホップ】(ほっぷ)

ホップはつる性の植物で、ビール醸造には苦味や香りの成分が多く含まれている未受精の雌花が使用されます。国内でも生産されていますが、現在では主にドイツ、チェコ産のものが多く使用されています。ホップには、苦味や香りをビールに与える他に、ビールの泡持ちを良くしたり、腐敗を防いだり、濁りを取り除いたりする効果があります。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]