【地ビール】(じびーる)
一つの製造場でのビールの年間の製造見込数量が2,000キロリットル以下の小口醸造ビールを地ビールといいます。平成6年4月の酒税法改正により、ビールの製造免許を取得する際の要件である最低製造数量基準が、2,000キロリットルから60キロリットルに引き下げられたことから、小規模なビールの製造が可能となりました。
【世界の主なビール】(せかいのおもなびーる)
発酵法 名称 特徴 原産国
上面発酵ビール
(上面発酵酵母使用・常温発酵)
淡色 ペールエール ホップを効かせた淡色の上面発酵ビール
フレッシュな香り
イギリス
ヴァイツェン 小麦麦芽を使用した苦味の弱いビール
ヴァイツェン酵母による華やかな香りで泡立ちが良い
ドイツ
ケルシュ 琥珀色のまろやかな味のビール
アルトよりも香味が華やかで苦味が少ない
ドイツ
褐色 アルト 苦味の効いた赤紫かかった褐色のビール
すっきりした味わい
ドイツ
濃色 スタウト 香ばしい香りと濃厚で、やや酸味のある黒色ビール イギリス
下面発酵ビール
(下面発酵酵母使用・低温発酵)
淡色 ピルスナー 世界の主流になっている淡い黄金色でホップの効いた爽快なビール チェコ
アメリカビール 苦味が弱く軽快な味の炭酸ガス含量の高いビール アメリカ
ドルトムンダー 苦味が弱くアルコール分の高いビール ドイツ
褐色 メルツェン 琥珀色でピルスナーよりアルコール分が高めの麦芽の香味がある味のまろやかなビール ドイツ
濃色 デュンケル 甘く香ばしい麦芽の香りで濃褐色のビール ドイツ
ボック ホップの効いた濃厚でアルコール度数の高いビール
最近は淡色のものもある
ドイツ
自然発酵ビール ランビック 小麦を使用し培養酵母を添加せず自然の酵母で発酵させた酸味の強い複雑な香味のあるビール ベルギー

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【麦芽】(ばくが)
麦芽は主に大麦を発芽させたものです。国産の麦から製造した麦芽も使用されていますが、大半は北アメリカ、オーストラリア、ドイツ、フランス産の麦芽が使用されています。一部のビールでは、小麦麦芽を使用する場合もあります。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【ビールと発泡酒の違い】(びーるとはっぽうしゅのちがい)
我が国の酒税法では、使用原料と麦芽の使用割合により、ビールと発泡酒を区分しております。
  1. イ ビール
    ビールは、A 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(麦芽の使用割合100%)及びB 麦芽、ホップ、水及び麦、米や果実、コリアンダーなどの香味料等の特定の副原料を使用して発酵させたもので、麦芽の使用割合が50%以上のものをいいます。
  2. ロ 発泡酒
    発泡酒は、麦芽又は麦を原料の一部とした発泡性のある酒類で、具体的には、A 麦芽の使用割合が50%未満のもの、B ビールの製造に認められない原料を使用したもの、C 麦芽を使用せず麦を原料の一部としたものが該当します。
    なお、発泡酒については麦芽の使用割合により税率が3分類に区分されています。
【ビールの分類】(びーるのぶんるい)
  1. イ 使用酵母の種類による分類
    使用酵母の種類により大きく分けて下面発酵ビール(発酵終了後の発酵液の下に沈殿する酵母を使用したビール)と上面発酵ビール(発酵中に酵母が液の表面に浮かんでくる酵母を使用したビール)とに分けられます。
  2. ロ 色による分類
    色の濃淡によって、淡色ビール、中濃色ビール、濃色ビールに大きく分けられます。このビールの色の大部分は、麦芽を乾燥させたときに付いた麦芽の色によるものです。
  3. ハ 原料による分類
    麦芽、ホップ及び水だけで醸造したビールと麦、米、とうもろこし、でんぷん等の副原料を使用したビールとに分けられます。麦芽のみで醸造されたビールは、麦の香味が強いコクのあるものになります。また、副原料を使用すると味が軽快になります。
  4. ニ 出荷時の処理方法による分類
    出荷時に加熱処理されていない生ビールと加熱処理を行ったビールに分けられます。
(注) ラガービールとは、低温熟成させたビールのことをいいますので、ラガービールには生ビールと加熱処理したビールの両方があります。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【ビールの歴史】(びーるのれきし)
ビールの歴史は大変に古く、紀元前4000年頃のメソポタミア時代にまでさかのぼります。紀元前2500年頃の古代エジプトではかなり盛んにビール造りが行われたようです。当時のビールは各種の薬草や香草を加えて飲む習慣がありました。これは、15世紀まで続きましたが、ホップがビールの苦味付けの素材として使用されるようになると次第に今日のビールに近い姿になってきました。
 15世紀末にドイツのバイエルン地方において低温で発酵する酵母を使用した「下面発酵方式」が開発されると、味がまろやかで香りもよく、また腐敗も少ない醸造が可能となりました。19世紀中頃にチェコのピルゼンで醸造された淡色の下面発酵ビールは、ホップのさわやかな苦味と黄金色の輝きを持ち、洗練された味であったので全世界に広まりました。その後、酵母の純粋培養法、冷凍機が発明されるとともに物流も盛んになり、現在のような大規模な産業としてビール醸造業は発展しました。
 我が国でビールの醸造がはじまったのは明治になってからです。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]

【ホップ】(ほっぷ)
ホップはつる性の植物で、ビール醸造には苦味や香りの成分が多く含まれている未受精の雌花が使用されます。国内でも生産されていますが、現在では主にドイツ、チェコ産のものが多く使用されています。ホップには、苦味や香りをビールに与える他に、ビールの泡持ちを良くしたり、腐敗を防いだり、濁りを取り除いたりする効果があります。

[資料提供:独立行政法人 酒類総合研究所]