別紙

1 事前照会の趣旨及び事実関係

当社が販売を予定している生存給付金付特別終身保険(以下「本件保険」といいます。)は、終身保険に生存給付金を組み込んだ保険料払込方法が一時払の生命保険契約です。
 本件保険における生存給付金は、「生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時における被保険者の生存」を支払事由としており、当該支払事由の発生を条件として、当該支払事由の発生の都度、保険契約者があらかじめ指定した生存給付金の受取人に当該生存給付金が支払われることとなります。また、生存給付金の受取人については、保険契約者が保険契約時に保険契約者本人又は保険契約者以外の者のうちから1名を任意で指定することとなっていますが、当該指定後も、保険契約者は、当社に対して通知を行うことにより、その通知以後に生じる支払事由に係る生存給付金について、その受取人を変更することができます。なお、生存給付金支払期間の途中で被保険者が死亡した場合、被保険者が生存していた場合に支払われる残りの期間に係る生存給付金については、死亡保険金として、保険契約者があらかじめ指定した死亡保険金の受取人に支払われることとなります。
 つきましては、本件保険における生存給付金のうち、生存給付金受取人が保険料負担者(保険契約者)以外の者である場合に当該生存給付金受取人が支払を受ける生存給付金(以下、この場合の生存給付金を「本件生存給付金」といいます。)の課税関係については、本件生存給付金の支払事由の発生の都度、当該生存給付金受取人が本件生存給付金を保険料負担者(保険契約者)から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象になるものと解してよろしいか伺います。

◎ 本件保険の約款(抜粋)

(用語の定義)

第1条 この保険契約において使用される用語の定義は、つぎのとおりとします。

用語 用語の定義
保険金等 死亡保険金または生存給付金のことをいいます。
支払事由 保険金等を支払う場合のことをいいます。
保険年度 契約日または年単位の契約応当日から起算して、その翌年の年単位の契約応当日の前日までの期間をいいます。
単位保険金額 この保険契約の保険金等の金額を指定する際の基準となる金額をいいます。
生存給付金支払期間 保険年度の満了時の被保険者の生存により生存給付金を支払う期間のことをいいます。
養老保険部分 生存給付金支払期間中に支払われる生存給付金およびその生存給付金に対応する死亡保険金による保障部分をいいます。
終身保険部分 生存給付金支払期間経過後も継続する死亡保険金による保障部分をいいます。

(保険金等の支払)

第3条 この保険契約において支払う保険金等は、つぎのとおりです。

名称 支払事由 受取人
死亡保険金 被保険者が死亡したとき 死亡保険金受取人
生存給付金 被保険者が生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時に生存しているとき 生存給付金受取人

2 前項の保険金等の支払事由が生じたときの支払金額は、つぎのとおりです。

名称 支払金額
死亡保険金
  • (1) 生存給付金支払期間中に支払事由が生じたとき
    終身保険部分の死亡保険金額 + 養老保険部分の死亡保険金額
  • (2) 生存給付金支払期間経過後に支払事由が生じたとき
    終身保険部分の死亡保険金額
生存給付金 単位保険金額

3 前項の終身保険部分の死亡保険金額および養老保険部分の死亡保険金額は、つぎの算式により計算される金額とします。

  • (1)終身保険部分の死亡保険金額
    単位保険金額 × 終身保障倍率
  • (2)養老保険部分の死亡保険金額
    単位保険金額 × 生存給付金支払期間の残年数

(保険金等の請求、支払時期および支払場所)

第6条 保険金等の支払事由が生じたことを知ったときは、保険契約者またはその保険金等の受取人は、遅滞なく会社に通知してください。

3 生存給付金の支払事由が生じたときは、生存給付金受取人は、すみやかに別表1に定める書類を提出して、その請求をしてください。

(生存給付金受取人)

第20条 保険契約者は、つぎの各号のうち1人を生存給付金受取人として指定するものとします。

  • (1)保険契約者本人
  • (2)会社の定める範囲内で保険契約者が指定する者

2 保険契約者は、毎年の生存給付金の支払事由が発生するまでは、会社に対する通知により、それ以後に支払事由の生じる生存給付金についての生存給付金受取人を前項の範囲内で変更することができます。

2 事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 法令の規定等

相続税法第5条第1項は、生命保険契約の保険事故(傷害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く。)が発生した場合において、これらの契約に係る保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によって負担されたものであるときは、これらの保険事故が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金のうち当該保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額のこれらの契約に係る保険料でこれらの保険事故が発生した時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を当該保険料を負担した者から贈与により取得したものとみなす旨規定しています。

また、相続税法第3条第1項第1号は、相続税法における「生命保険契約」とは、保険業法第2条第3項に規定する生命保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう旨規定しています。

当社は保険業法第2条第3項に規定する生命保険会社であり、また、本件生存給付金に係る支払事由(保険事故)は「被保険者が生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時に生存していること」であるため、当該支払事由(保険事故)は、傷害、疾病その他これらに類するものではないと考えます。したがって、本件保険に係る契約及び本件生存給付金の支払事由(保険事故)は、それぞれ相続税法第5条第1項に規定する生命保険契約及び保険事故に該当するものと考えられます。

(2) 本件生存給付金の課税関係

ところで、相続税法第24条には、定期金給付契約に関する権利(給付事由が発生しているもの)の評価方法が規定されているところ、相続税法基本通達24-1は、「定期金給付契約に関する権利」とは契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい、毎期に受ける支分債権ではなく、基本債権をいう旨定めています。

ここで、本件生存給付金の支払事由は、上記(1)のとおり、生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時における被保険者の生存であるため、本件生存給付金の支払請求権は、毎年の保険年度の満了時にその都度発生することになります。言い換えれば、本件生存給付金の受取人は、毎年の保険年度の満了時までは、本件生存給付金について何ら権利を有しません。また、本件生存給付金支払期間中における被保険者の死亡により本件生存給付金の支払事由が発生しなかった場合、被保険者が生存していた場合に支払われる残存期間に係る生存給付金については、死亡保険金として死亡保険金の受取人に支払われることとなり、本件生存給付金の受取人が支払を受けることはありません。

これらのことからすれば、本件生存給付金については、定期金給付契約に関する権利、すなわち契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権を取得し、これを行使することにより受け取るものではなく、本件生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時における被保険者の生存という支払事由(保険事故)の発生の都度、本件生存給付金の受取人が本件生存給付金を保険料負担者(保険契約者)から贈与により取得したものとみなし、贈与税の課税対象になるものと解するのが相当であると考えます。

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