別紙
当社は、新しい医療保険(以下「本件保険」といいます。)※1の販売を予定しています。本件保険に係る約款(以下「本件約款」といいます。)※2 では、本件保険に係る契約(以下「本件契約」といいます。)の被保険者(以下「本件被保険者」といいます。)が死亡した場合には、本件契約は消滅し(本件約款31)、解約返戻金(以下「本件解約返戻金」といいます。)があるとき※3は、本件契約の保険契約者(以下「本件保険契約者」といいます。)に解約返戻金相当額の返戻金(以下「本件解約返戻金相当額の返戻金」といいます。)を支払う旨を定めています(本件約款31
)。
ところで、当社は、本件保険契約者と本件被保険者が同一人である場合において本件保険契約者(=本件被保険者)が死亡したときには、本件保険契約者の死亡により、本件保険契約者の相続人が本件保険契約者から本件解約返戻金相当額の返戻金の支払を請求する権利(以下「本件解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権」といいます。)を相続により取得するとの理解の下、当該相続人を本件解約返戻金相当額の返戻金の支払請求者として、当該相続人に当該返戻金を支払うことを予定しています。そして、本件解約返戻金相当額の返戻金の支払に係る事務処理上も、保険金の請求手続きを明らかにした「保険金ご請求のしおり」に準じて、本件保険契約者(=本件被保険者)の相続人が相続人全員の協議により代表請求者を定め、これを「念書(相続人代表請求者選任届)」に示し、当社に提出する方法を採ることとし、当該相続人のうちから代表請求者が定められなければ本件解約返戻金相当額の返戻金の支払いを行わないものとしています。
このように本件保険契約者と本件被保険者が同一人である場合において本件保険契約者(=本件被保険者)が死亡したときに本件保険契約者の相続人に支払われる本件解約返戻金相当額の返戻金に係る支払請求権については、本件保険契約者である被相続人の本来の相続財産として相続税の課税対象となると解してよいか伺います。
なお、本件約款のうち、本件解約返戻金及び本件解約返戻金相当額の返戻金に関する部分は次のとおりとなります。
本件保険は、本件被保険者が入院した場合、手術を受けた場合又は放射線治療を受けた場合を所定の給付金(保険金)の給付事由(保険事故)としており(上記1事前照会の趣旨及び事実関係※1)、当該給付事由(保険事故)には被保険者の死亡は含まれていません。このため、本件被保険者の死亡により支払われる本件解約返戻金相当額の返戻金は、本件保険に係る給付金(保険金)とは認められません。そして、相続税法第3条第1項第1号は、被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約の保険金を取得した場合に当該保険金はみなし相続財産となる旨規定しているところ、上記のとおり、本件解約返戻金相当額の返戻金は、本件保険に係る給付金(保険金)とは認められませんので同号の規定する保険金には該当しません。また、本件解約返戻金相当額の返戻金は、相続税法第3条第1項第2号から第6号までに規定する財産にも該当しません。
以上のことから、本件解約返戻金相当額の返戻金は、みなし相続財産には該当しないものと解されます。
上記1のとおり、本件約款では、保険料払込期間満了後においては、本件保険契約者が本件契約を解約することにより、当社に対し本件解約返戻金の支払を請求することができることとしています(本件約款20、21
)。また、本件被保険者が死亡した場合には、本件契約は消滅する(本件約款31
)とともに、当該死亡時点で解約返戻金がある場合、すなわち当該死亡時点が保険料払込期間満了後である場合には、当社は本件解約返戻金相当額の返戻金を本件保険契約者に支払うこととしています(本件約款31
、21
)。
このような本件約款の定めからすれば、本件保険契約者と本件被保険者が同一である場合において、本件保険契約者(=本件被保険者)が死亡したときには、本件約款第31条第1項の定めに従い本件保険契約者(=本件被保険者)の死亡時に本件契約が消滅することによって、本件保険契約者(=本件被保険者)が有していた本件契約の解約請求権及び本件解約返戻金の支払請求権が消滅することとなりますが、その消滅と同時に、すなわち本件保険契約者(=本件被保険者)の死亡と同時に、本件保険契約者(=本件被保険者)が、一旦は、本件約款第31条第3項の定めに従い本件解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権を取得し、その取得と同時に、当該支払請求権を本件保険契約者(=本件被保険者)の相続人が相続により承継取得するものと解するのが相当であると考えます。
したがって、本件解約返戻金相当額の返戻金の支払請求権(金銭債権)については、本件保険契約者である被相続人の本来の相続財産として相続税の課税対象となると解するのが相当であると考えます。