別紙1-1

 弊行は、別紙1-2に記載した自然災害時返済一部免除特約付住宅ローンを、平成20年4月より販売開始する予定です。この保険契約により、融資対象物件が損壊し住宅ローン申込者(本事前照会において、「顧客」といいます。)が返済一部免除金を受領した場合の所得税の課税関係等について、別紙1-3に記載したとおり非課税になると考えますが、差し支えないでしようか。
また、雑損控除及び住宅借入金等特別控除の取扱いについて、別紙1-3に記載したとおりで差し支えないでしょうか。

別紙1-2

1 商品の概要
本商品は、顧客が住宅ローンの特約として「自然災害時返済一部免除特約(以下「一部免除特約」という。)」を締結し、標準金利に0.05%〜0.10%程度の上乗せ金利を支払うことにより、自然災害により住宅ローンの融資対象物件が、「全壊」「大規模半壊」「半壊」と認定されることが確認できた場合に、罹災日以降最初に到来する約定返済日より6か月から24か月の範囲内の一定期間、返済一部免除金として借入金の約定返済額相当額を顧客に支払うものである。
銀行は保険会社との間で、顧客との一部免除特約締結を基に自然災害時の一部免除することによる損失を担保する保険契約「約定履行費用保険」を締結する。

保険契約と支払関係

2 約定履行費用保険の契約者、被保険者、保険金受取人
当該保険契約は、契約者、被保険者、保険金受取人の全てが銀行となる。顧客は、銀行との間で、一部免除特約を結ぶことにより上乗せ金利(0.05%〜0.10%程度)を支払うこととなる。

3 対象となる自然災害
本商品の対象となる自然災害とは、火災、風災、ひょう災、雪災、落雷または地震、噴火、津波を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没または流出をいう。

4 一部免除金額
一部免除金額は、その対象となる物件の損壊の程度により以下のとおりとする。

  • イ) 全壊
    約定返済額※ × 24か月
  • ロ) 大規模半壊
    約定返済額※ × 12か月
  • ハ) 半壊
    約定返済額※ ×  6か月
    • ※ 罹災日時点の約定返済額を上限とする。
      ボーナス返済月はボーナス返済額も含む。

 返済一部免除金の支払は、罹災証明書を提出した翌月に損壊の度合いに応じた一部免除の月数の範囲内で罹災日時点から提出した月までの分を一括して返済用口座へ払い戻す。提出した月の翌月以降の一部免除は、約定返済が行われた翌月に返済用口座へ払い戻す。提出した月の翌月以降の一部免除は、約定返済が行われた翌月に返済用口座へ払い戻す。
罹災日から完済日までの約定返済回数が規定の免除回数に及ばない場合は、残存する免除月数分の免除金を支払うものとする。

別紙1-3

1 顧客が返済一部免除金を受け取ったときの所得税の取扱い
本特約における返済一部免除金は、融資対象物件である住宅が自然災害により全壊、大規模半壊または半壊したことが罹災証明書により確認できる場合に、顧客が銀行から受け取るものでありますが、当該免除金を受け取った顧客の課税については、以下12の理由により、所得税法第9条第1項第16号に規定する政令(所得税法施行令第30条)で定める非課税として取り扱われるものと考えます。

  • 1 所得税法施行令第30条第2号の非課税規定の考察
    当該免除金は、所得税法施行令第30条第2号に規定する「損害保険契約に基づく保険金及び当該契約に準ずる共済に係る契約に基づく共済金で資産の損害に起因して支払を受けるもの」として取り扱われるものと考えます。
    形式的には、損害保険契約に基づく保険金を受け取るのは銀行であり、顧客は銀行から免除金を受け取りますが、顧客は本特約をつけることにより、上乗せ分の金利という形で実質的には損害保険料を負担しているものと変わりがないと考えられます。
    このように考えると、顧客は保険会社からではなく銀行から免除金を受け取ることとなりますが、実質的には、顧客が直接保険会社と損害保険契約を締結し、保険金を受け取ったものと同様の経済効果があり、所得税法施行令第30条の趣旨にも反しないものと考えます。
  • 2 所得税法施行令第30条第3号の非課税規定の考察
    当該免除金は、所得税法施行令第30条第3号に規定する「資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金」として取り扱われるものと考えます。
    所得税基本通達9-23において、災害等の見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、所得税法施行令第30条の規定により課税しないものとする旨の記載があります。
    そもそも、災害等があった場合の見舞金のような所得については、課税になじまないという考えからこのような取扱いになっていると解しますが、当該免除金額は、建物全壊の場合でも約定返済額の「24か月分」、大規模半壊で「12か月分」、半壊で「6か月分」程度の金額で、仮に建物が全壊して完全に喪失してしまった場合においても「約定金額の24か月分」程度の免除金額ということであれば、社会通念上相当と認められる見舞金といっても差し支えないと考えます。
    以上の12のいずれの創設趣旨を鑑みても、自然災害により自宅を喪失した顧客に対する返済一部免除金は非課税として取り扱うことが適当であると考えます。

2 雑損控除の取扱い
災害等により住宅に損害を受けた場合には、所得税法第72条に規定する雑損控除の適用を受けることができますが、本特約により支払を受けた返済一部免除金については、雑損控除の対象となる損害金額から差し引くものと考えます。
当該免除金については、1で述べたとおり、資産に加えられた損害につき支払を受ける損害保険金または災害等の見舞金の性格を有していると考えます。損害金額から差し引く保険金等の範囲については、所得税基本通達72-6において、同基本通達51-6から51-8、70-6から70-12までの取扱いに準ずることとされており、同基本通達51-6には「損害保険契約…に基づき被災者が支払を受ける見舞金」についても保険金等の範囲に含めることとされています。よって、当該免除金についても、通常の損害保険金と同様、損害金額から差し引いて雑損控除の適用を受けるのが適当な取扱いであると考えます。

3 住宅ローン控除の年末残高の取扱い
住宅借入金等特別控除額は、租税特別措置法第41条第2項において、その年の12月31日における住宅借入金等の金額の合計額の何%に相当する金額とされており、住宅借入金等の年末残高を把握する必要があります。
本商品における返済一部免除金は、上述したとおり、保険金等としての性格を有し、借入金額の元本を調整するものではありません。よって、仮に年末時点において、その後の約定返済額相当額の返済一部免除金を受け取ることが決定していたとしても、現実の12月31日における借入金残高を基に、特別控除額を計算するのが妥当であると考えます。

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