1 事前照会の趣旨

当社は、保険期間中に被保険者が傷害又は疾病を原因として当社が定める就業不能状態となった場合に、給付金(以下「本件給付金」といいます。)を受け取ることのできる就業不能保険を販売していますが、今般これを改定し、新たな特則(以下「本件特則」といいます。)を設けた就業不能保険(以下「本件商品」といいます。)を販売する予定です。
 本件特則は、本件商品の契約締結時に付加し、かつ、保険約款に定める本件給付金の支払事由に該当することで、被保険者は、本件給付金に加え、「復帰支援一時金」と称する一時金を受け取ることが可能となるものですが、この復帰支援一時金について、下記3(2)のとおり、非課税となる保険金に該当するものとして取り扱って差し支えないか照会いたします。
 なお、本件商品は、いわゆる第三分野(注)に該当する保険として認可されていることを申し添えます。

(注)第三分野の保険とは、生命保険(第一分野)と損害保険(第二分野)の中間に位置する、医療保険、がん保険など、人が傷害を受けたこと又は疾病にかかったことにより特定の状態になった場合等に一定額の保険金等を支払う保険のことを指します。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

本件商品の概要は、次のとおりです。

  1. (1) 就業不能状態
     就業不能状態とは、被保険者が次のいずれかの状態に該当することをいいます。
    1. イ 傷害又は疾病の治療を目的として入院又は在宅療養をしている状態
    2. ロ 障害等級1級若しくは2級に認定された状態又は当社所定の身体の機能の障害に係る特定障害状態
      なお、被保険者が死亡した後は、いかなる場合でも就業不能状態には当たりません。
  2. (2) 本件給付金の支払事由
    1. イ 被保険者が保険期間中に発生した傷害又は発病した疾病を直接の原因として就業不能状態になり、その状態が支払対象外期間(就業不能状態に該当した日から起算して所定の日数が経過した期間)を超えて継続したと医師によって診断されたとき(就業不能状態が継続する期間1か月ごとに支払)
    2. ロ 上記イにかかわらず、保険期間の満了の日に被保険者が就業不能状態であるものの支払対象外期間であるため本件給付金の支払事由に該当しない場合においても、その後、支払対象外期間を超えて継続した就業不能状態になったときは、本件給付金月額1か月分を支払います。
  3. (3) 本件特則(復帰支援一時金の支払事由)
     本件特則は、本件商品の契約締結の際、契約者の申出により当社の承諾を得て付加することができます。本件特則を付加した場合、被保険者が次のいずれかの支払事由に該当したときに復帰支援一時金を支払います。
    1. イ 本件給付金の支払事由に該当し、本件給付金の支払を開始した後、保険期間中に就業不能状態が終了したとき(被保険者の死亡により就業不能状態が終了した場合を除きます。)
    2. ロ 本件給付金の支払事由該当後に保険期間の満了により本件給付金の支払が終了する場合
    3. ハ 上記(2)ロに該当し、本件給付金月額1か月分を支払うとき
       なお、当社が本件特則を創設した趣旨は、就業不能状態を終了しても多くのケースで通院や検査による経過観察や投薬等による治療の継続が必要とされており、そうした療養費用等の補填として復帰支援一時金を使用してもらうことにあります。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

  1. (1) 生命保険契約に基づき支払を受ける給付金等の取扱いについて
     所得税法第9条《非課税所得》第1項第17号及び所得税法施行令第30条《非課税とされる保険金、損害賠償金等》第1号は、生命保険契約等に基づく保険金で、身体の傷害に基因して支払を受けるものその他これらに類するものは、非課税と規定しています。
     また、所得税基本通達9−21《高度障害保険金等》は、疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約等に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院給付金等は、所得税法施行令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする旨定めています。
     したがって、身体の傷害又は疾病に基因して支払を受ける生命保険契約等に基づく保険金は、所得税法第9条第1項第17号に規定する非課税となる保険金に該当することとなります。
  2. (2) 復帰支援一時金について
     復帰支援一時金は、上記2(3)のとおり、被保険者が本件給付金の支払事由に該当した後、上記2(3)イないしハのいずれかに該当した場合に支払うものであるところ、本件給付金は、上記2(1)及び(2)のとおり、保険期間中に被保険者が傷害若しくは疾病を治療している状態又は身体機能に所定の障害がある状態となることによって就業が不能な状態となった場合に支払うこととしていますから、本件給付金は傷害又は疾病を直接の原因として就業不能状態となった場合に支払う保険金に該当します。
     そして、復帰支援一時金は、上記2(3)のとおり、1就業不能状態が終了(死亡を除きます。)したとき、2本件給付金の支払事由該当後に保険期間が満了したとき又は3就業不能状態ではあるが支払対象外期間であったために本件給付金が支払われず保険期間の満了後支払対象外期間を超えて継続した就業不能状態になったときを支払事由としており、被保険者が本件給付金の支払事由に該当した後、すなわち傷害又は疾病を直接の原因とする就業不能状態を保険事故として支払うものであること、また、上記2(3)のとおり、本件特則は、就業不能状態を終了しても多くのケースで必要となる療養費用等の補填として復帰支援一時金を使用してもらうことを目的にしていることからすると、所得税法第9条第1項第17号に規定する非課税となる保険金に該当するものと考えます。