1 事前照会の趣旨

 私(青色申告書を提出する個人)は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」といいます。)第6条第1項の認定(以下「認定」といいます。)を受けた租税特別措置法第10条の2の2第6項《エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除》に規定する特定エネルギー環境負荷低減推進設備等に該当する太陽光発電設備(以下「本件設備」といいます。)を甲社(認定を受けるための申請を行い、認定書類に事業者として記載されています。)から取得し、いわゆる太陽光発電による固定価格買取制度に基づき発電した電力の全てを電気事業者に売却(全量売電)する予定です。
 この場合、私は、本件設備について租税特別措置法第10条の2の2第6項の即時償却(以下「即時償却」といいます。)の規定を適用することができるものと解して差し支えないかお伺いいたします。
 なお、私の本件設備による全量売電収入に係る所得の所得区分は事業所得に該当するものであることを照会の前提としております。

2 事前照会に係る事実関係

(1) 本件設備に係る経済産業大臣への申請・認定手続は、本件設備に係る売買契約の締結前において、甲社が甲社の名義により行われました。

(2) 本件設備の譲渡によって、その所有者が甲社から私に変更されることになりますが、当該変更については、経済産業省令で定める軽微な変更に該当することから、その認定を受ける必要はなく、「再生可能エネルギー発電設備軽微変更届出書」を経済産業大臣に提出すれば足りることとされています(再エネ特措法65、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則101)。また、本件設備の譲渡により、所有者が変更となる点を除いては、本件設備に係る点検、保守及び修理を行う体制など、既に認定を受けた項目に変更はありません。このため、本件設備の譲渡に係る売買契約締結後、甲社は、経済産業大臣に事業者を変更した旨の「再生可能エネルギー発電設備軽微変更届出書」を提出する手続を行うこととしています。

(3) 本件設備の譲渡以前において、甲社が本件設備を事業の用に供することはなく、本件設備の譲渡後にその設置工事が完了し試運転が初めて行われます。その後、電気事業者による電力系統への接続工事が行われ、電気事業者へ電力の売却が開始されます。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

  即時償却の適用の対象となる「特定エネルギー環境負荷低減推進設備等」として、太陽光を電気に変換する一定の認定発電設備が掲げられていますが(租税特別措置法施行令5の41一)、当該認定発電設備は、再エネ特措法第3条第2項に規定する認定発電設備とされていますので、同法第6条第1項の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備が該当することになります。この認定の手続については、法令上、即時償却の適用を受けようとする個人が行うものとは規定されていませんので、本件のように、別の者(甲社)が認定の手続を行った場合の認定発電設備についても、特定エネルギー環境負荷低減推進設備等として、即時償却の規定を適用することが可能と考えます。
 なお、太陽光発電設備について即時償却の規定の適用を受ける場合には、その適用を受けようとする年分の確定申告書に、その太陽光発電設備がエネルギー環境負荷低減推進設備等に該当するものであることを証する申請書及び認定書類(一定の発電の変更があった場合にはその変更に係る申請書及び認定書類)の写しを添付しなければならないこととされています(租税特別措置法施行令5の411、租税特別措置法施行規則5の73)。
 この点、本件設備の譲渡に伴う事業者の変更については、経済産業省令で定める軽微な変更に該当することから、当該変更に係る認定を受ける必要はなく、したがって、発電の変更に係る申請書及び認定書類もありません。そのため、当初認定を受けた甲社による申請書の写し及び甲社が事業者として記載された認定書類の写しを確定申告書に添付することとなりますが、これらの書類の名義は確定申告書の提出者である私とは異なることとなります。しかしながら、即時償却について法令で規定する要件を全て満たしていることを前提とすれば、これらの書類の名義が異なっていることをもって即時償却の適用を受けられないとする特段の理由はないと考えられます。したがって、これらの書類のほか本件設備に係る売買契約書や経済産業大臣に提出する「再生可能エネルギー発電設備軽微変更届出書」の写し等により事業者の変更が行われた事実が確認できるのであれば、即時償却の規定を適用することができると考えます。

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