汚染土壌対策に要する費用については、平成22年3月26日付福岡国税局文書回答事例「汚染土壌対策に要する費用に係る法人税法上の取扱いについて」において、法人税法上の取扱いが明らかにされています。
今回、不動産所得者である個人(私)が、その業務用固定資産に該当する土地について汚染土壌対策(以下「本件対策」といいます。)として次の費用を支出することとなりましたが、不動産所得の申告に当たり、この本件対策に要する費用は、それぞれ次のとおり取り扱って差し支えないかお伺いいたします。
(1) 工事等に要する費用
下記2(5)に掲げる「工事等に要する費用」については、修繕費に該当し、それぞれの工事の完了した日の属する年分において必要経費の額に算入する。
(2) 処理処分の委託に要する費用
下記2(5)に掲げる「処理処分の委託に要する費用」については、修繕費に該当し、処理処分という役務提供を受けた年分において必要経費の額に算入する。
(3) 地下水浄化に要する費用
下記2(5)に掲げる「地下水浄化に要する費用」については、所得税基本通達37−2(必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定)に沿って、債務が確定した年の必要経費に算入する。
(1) 私は、不動産の賃貸を事業的規模で行っている不動産所得者で、複数の賃貸物件を有しており、鍍金工場を営む法人(以下「A社」といいます。)に対して、土地Bを賃貸しておりました。
(2) A社が平成21年○月に破産申請をしたため、A社が土地Bの上に建設していた鍍金工場について、競売申立てがなされ、平成23年○月に私が買い受けました。
(3) その後、当該鍍金工場の中を確認したところ、建物の劣化が激しく、また、A社が使用していた有害薬品が残置されていたため、当該鍍金工場の取壊し及び薬品の撤去を平成24年○月までに行いました。また、土地Bの土壌部分への有害薬品の汚染が予想されたため、鍍金工場の取壊し作業と並行して、環境大臣が指定する指定検査機関に土壌調査を依頼したところ、土壌汚染が確認されました。
このため、汚染土壌処理業者の協力を得て、(4)のとおり本件対策を実施することになりました。
(4) 本件対策は、平成26年○月から平成26年○月頃までに、おおむね次のとおり実施する予定です。
(5) 本件対策により以下の費用が生じます(所要金額:約○億円)。
(注) 上記浄化機器揚水処理プラントリース費に係る賃借契約は、所得税法第67条の2(リース取引に係る所得の金額の計算)第1項の規定により、賃貸人から賃借人への引渡しの時に資産の売買があったものとされるリース取引に該当しないことを照会の前提としています。
(6) 本件対策が終了した後、土地Bは駐車場として賃貸することを予定しています。
(1) 工事等に要する費用について
不動産所得を生ずべき業務を行う居住者が、その有する業務の用に供する固定資産について支出する金額のうち次に掲げるものについては、資本的支出に該当し、減価償却資産とされることになります(所令127、181)。
(2) 処理処分の委託に要する費用について
本件の処理処分の委託に要する費用については、汚染土壌の処分のために要するものであり、特に資産計上の必要性について疑義が生ずるものではありませんから、処理処分という役務の提供に応じて必要経費の額に算入して差し支えないものと考えております。
(3) 地下水浄化に要する費用について
本件の地下水浄化に要する費用については、本件対策中の浄化機器揚水処理に係るプラントリース費のほか、地下水揚水のデータ記録及び観測に係る費用であり、処理処分に関する費用と同様に、特に資産計上の必要性について疑義が生ずるものではありませんから、一般の費用の例により、その年12月31日までに債務が確定しているものを当該年分において必要経費の額に算入して差し支えないものと考えております。
なお、その年12月31日において債務が確定しているものかどうかは、所得税基本通達37−2(必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定)の取扱いに沿って判定することといたします。