別紙

1 事前照会の趣旨及び事前照会に係る事実関係

 当社は、所得税法第76条《生命保険料控除》の対象となる新個人年金保険契約等又は旧個人年金保険契約等(以下併せて「税制適格個人年金保険契約」といいます。)について、保険契約者が保険料払込期間の短縮を希望する場合は、当該短縮により責任準備金調整額(保険料払込期間を短縮した期間に係る責任準備金(注)の調整額をいいます。以下同じです。)が発生しますので、当該責任準備金調整額を保険契約者から現金により払い込んでいただくこととしています。
しかしながら、責任準備金調整額が多額になる場合には、保険契約者が保険料払込期間の短縮を取り消してしまうなど、保険契約者のニーズに対応できないケースが生じていたことから、当社では、平成26年4月から事務制度を変更し、次のとおり、保険契約者からの現金による責任準備金調整額の払込みを不要とする手続(以下「本件手続」といいます。)を開始したいと考えています。

(1) 保険料払込期間の短縮と同時に基本年金額(税制適格個人年金保険契約に基づく年金額)の減額手続を行います。なお、減額により発生する返戻金(以下「減額返戻金」といいます。)相当額は保険料払込期間の短縮により発生する責任準備金調整額以上とします。

(2) 減額返戻金相当額を責任準備金調整額に充当する処理を社内の事務手続上実行します。

(3) 責任準備金調整額を超える減額返戻金相当額については、年金支払開始日までそのまま積み立てておき、年金支払開始日に一時払保険料に振り替えて年金額を増額します。

 このような場合において、本件手続が、所得税法施行令第211条《年金給付契約の対象となる契約の範囲》第1号イに掲げる年金給付契約の要件に抵触しないものとして取り扱ってよいか照会します。

(注) 責任準備金とは、将来の保険金などを支払うために、保険契約者が払い込む保険料の中から積み立てられるものとされています(保険業法施行規則691)。

2 事前照会者の求める見解となることの理由

 税制適格個人年金保険契約は、一定の年金給付契約に限られていますが(所法768)、所得税法第76条第5項第1号に掲げる契約で年金の給付を目的とするものについては、当該契約に基づく年金以外の金銭の支払(剰余金の分配及び解約返戻金の支払を除きます。)が、当該契約に定める被保険者の死亡又は重度の障害に該当することとなった場合に限り行うものであることが、年金給付契約の要件の一つとされています(所令211一イ)。
本件手続は、「被保険者の死亡又は重度の障害に該当することとなった場合」に行うものではありませんので、上記要件を満たさないのではないかとの疑問が生じます。
しかしながら、本件手続において発生する減額返戻金相当額は、当社の社内的な事務手続上の処理として責任準備金調整額に充当した上で、将来の年金給付のための年金原資として積み立てるものであり、また、責任準備金調整額を超える部分も、年金支払開始日まで積み立て、年金支払開始日に一時払保険料に振り替えて年金額を増額するものです。
このようなことからすれば、本件手続において発生する減額返戻金相当額は、いずれも年金支払開始日後に年金として給付されるものであり、本件手続を行った時点で保険契約者に対して金銭が支払われるものではありませんので、本件手続は、所得税法施行令第211条第1号イに規定する「当該契約に基づく年金以外の金銭の支払」には当たらないことから、同号イに掲げる要件に抵触するものではないと考えます。

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