別紙

1 事前照会に係る取引等の事実関係

 当社が販売する通貨選択型一時払変額年金保険(年金原資保証型)(以下「本保険」といいます。)は、特別勘定の運用実績に基づき年金額を定める仕組みの保険料一時払いの個人年金保険です。
本保険は、保険契約締結の際に保険契約者が運用通貨として米ドル又は豪ドルのいずれかを選択することにより、保険料の払込み又は年金の支払い等、この保険契約に係る金銭の授受は、原則として全て保険契約者が選択した通貨(以下「主契約通貨」といいます。)をもって行うことになります。
当社が本保険の主契約に付加できる特約として新たに販売する保険料外貨入金特約(以下「本件特約」といいます。)は、上記原則に関わらず、主契約通貨とは異なる外貨により保険料(以下「保険料外貨払込額」といいます。)を払込むことができる特約で、保険料外貨払込額を当社所定の為替レート(以下「保険料外貨入金特約為替レート」といいます。)により主契約通貨に換算した額を主契約通貨建保険料及び基本保険金額として取扱うものです。

2 事前照会の趣旨

本保険に本件特約を付加した場合、その支払保険料に関し、保険料外貨払込額の払込通貨と、主契約通貨建保険料の主契約通貨という2種類の外貨が関係することになることから、生命保険料控除額及び生命保険契約に基づく年金又は一時金に係る雑所得又は一時所得の金額の計算をする際に使用する税務上の支払保険料の総額は、いずれの外貨により円換算を行うべきか明らかではありません。
後記「3 事前照会者の求める見解となることの理由」から、次の計算例のとおり、主契約通貨建保険料の額を円換算するのではなく、保険契約者が実際に支払った保険料外貨払込額を、その支払った日におけるその払込通貨のTTM(仲値)により円換算することとして差支えないかお伺いします。

〔税務上の支払保険料の計算例〕

  • (1)払込通貨:米ドル
  • (2)主契約通貨:豪ドル(保険料支払日のTTM=90円)
  • (3)保険料外貨払込額:100,000米ドル(保険料支払日のTTM=80円)
  • (4)主契約通貨建保険料
    =100,000米ドル×0.8837(※)
    =88,370豪ドル(7,953,300円)
    ※支払日の保険料外貨入金特約為替レートを0.8837と仮定します。
  • (5)税務上の支払保険料:100,000米ドル×80円=8,000,000円
    (保険料外貨払込額×払込通貨の支払日のTTM=税務上の支払保険料)

3 事前照会者の求める見解となることの理由

 所得税法第57条の3《外貨建取引の換算》第1項は、居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払いが行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引)を行った場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額は、当該外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額の計算をするものとする旨規定しています。
また、所得税基本通達57の3−2《外貨建取引の円換算》は、上記の規定に基づく円換算は、その取引を計上すべき日における対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値による旨定めています。
本保険に係る生命保険料控除額及び生命保険契約に基づく年金又は一時金に係る雑所得又は一時所得の金額の計算をする際に使用する税務上の支払保険料の総額は、次の理由から、保険契約者が本保険の保険料につき実際に支払った払込通貨に係るその支払日のTTMにより円換算することが相当であると考えます。

  • (1) 本保険の保険料の支払いという外貨建取引において決済に使用された通貨は、主契約通貨ではなく払込通貨であること。
  • (2) 本件特約を付加し、保険料外貨入金特約為替レートにより主契約通貨に換算した額を主契約通貨建保険料として取扱うことは、単に本保険の基本保険金額を算定するための契約上の取扱いに過ぎないこと。
  • (3) 保険事由の発生又は解約請求の受理があるまでは、本保険の主契約通貨である外貨資産が所得として実現しないことから、保険料を支払った時点においては、保険料外貨払込額が主契約通貨に換算されただけであり、その換算額と同額の外貨建資産を取得したものと認識するのは相当でないこと。