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- 譲渡制限のない新株予約権を株主等へ一律に付与する場合の所得税法上の取扱いについて
別紙
- 1 事前照会の趣旨
- 当社において、譲渡制限のない新株予約権を商法上の株主平等の原則に従って個人の株主へ一律付与する場合、その課税関係は、次のとおりでよろしいでしょうか。
- (1) 新株予約権の権利付与時
課税関係は生じない。
- (2) 新株予約権の権利行使時
払い込んだ金額が株式の取得価額となり、課税関係は生じない。
- (3) 新株予約権の譲渡時
その譲渡により生じた所得の金額は、租税特別措置法第37条の10第1項に規定する「株式等に係る譲渡所得等の金額」となる。また、この新株予約権を自社で買い取ったとしても、配当所得に該当せず、「株式等に係る譲渡所得等の金額」となる。
なお、上記(1)から(3)の取扱いについては、新株予約権の権利行使価額及び譲渡価額が適正な価額によることを前提とします。
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- 2 事前照会に係る取引等の事実関係
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- (1) 当社は、平成16年2月10日開催の取締役会において、平成16年9月末日の当社の全株主に対し、1株につき1個の新株予約権を付与することを目的とし、新株予約権を発行することを決議いたしました。概要は次のとおりです。
- イ 付与対象
平成16年9月30日最終の株主名簿及び実質株主名簿に記載又は記録された株主
- ロ 新株予約権の発行価額
無償とします。
- ハ 新株予約権行使に際して払込みをすべき金額
新株予約権の行使に際して払込みをすべき1株当たりの金額は、第12回定時株主総会開催日(平成16年6月29日)の終値と同額とします。
- ニ 新株予約権の権利行使期間
平成17年9月末日までとします。
- ホ 新株予約権の譲渡制限
新株予約権の譲渡は、原則行えないものとします。
- (2) その後、平成16年6月30日を基準日とする1対11の当社株式分割に伴い、以下の項目つき、開示項目を変更しました。
新株予約権行使に際して払込みをすべき金額
- <変更前> 1株当たりの金額は、第12回定時株主総会開催日(平成16年6月29日)の終値と同額とする。
- <変更後> 1株当たりの金額は、平成16年6月24日の終値を11で除し、100円未満を切り捨てた価格とする。
- (3) さらに、株主の方の利便性を高めることを目的とし、平成16年6月26日開催の取締役会において、新株予約権の譲渡制限を下記のとおり撤廃しました。
新株予約権の譲渡制限
- <変更前> 新株予約権の譲渡は、原則行えないものとします。
- <変更後> 新株予約権の譲渡の制限は、付さないこととします。
- (4) この譲渡制限を撤廃した新株予約権は、現状では売買される市場が整備されていないことから、今後株主から請求があった場合には、当社が公正な価額にて買い取ることも予定しています。
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- 3 事前照会者の求める見解となることの理由
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- (1) 新株予約権の権利付与時
今回当社の発行する新株予約権(以下「本件新株予約権」といいます。)は、株主に対し、商法上の株主平等の原則に従って一律に付与するものであることから、本件新株予約権の発行体である当社からの資産移転や既存株主間における経済的価値の移転は認められません。
したがって、所得税法第36条に規定する「収入」の実現はなく、本件新株予約権を付与した時点では、課税関係は生じないと考えております。
- (2) 新株予約権の権利行使時
本件新株予約権は、株主に対し一律に付与する新株予約権であることから、所得税法施行令第84条各号に掲げる権利には該当しないこととなります。また、上記(1)の理由と同様に、所得税法第36条に規定する「収入」の実現はありませんから、本件新株予約権を行使した時点では課税関係は生じないものと考えております。
- (3) 新株予約権の譲渡時
新株予約権は、租税特別措置法第37条の10第3項に規定する「株式等」に該当するものであります。よって、本件新株予約権を譲渡した場合の所得の金額は「株式等に係る譲渡所得等の金額」として取り扱われることになるものと考えます。
また、本件新株予約権を株主の求めに応じて会社が買い取る場合、本件新株予約権の買取りにより交付する金銭は、本件新株予約権の買取時の公正な価額による対価であり、かつ所得税法第25条第1項各号に掲げる事由により交付する金銭にも該当しないことから、配当所得として取り扱われることはなく、「株式等に係る譲渡所得等の金額」になると考えております。
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(以上)
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