別紙

弊社では、新商品「健康総合保険」の発売準備を進めていますが、当該商品の保険料控除等の所得税法上の取扱いについて、下記のとおりでよろしいか照会いたします。

1 事実関係(健康総合保険の概要)
  1. (1) 健康総合保険は、丸1普通保険約款、丸2主特約条項及び丸3従特約条項で構成されています。
  2. (2) 普通保険約款では、契約全体に関する取扱いを規定しており、普通保険約款に契約者のニーズに応じた主特約条項を付帯することにより契約が成立する商品です。
    また、従特約条項は、それぞれ対応する主特約条項が付帯された場合のみ付帯が可能となっており、普通保険約款+従特約条項という契約は成立しません。
    つまり、主特約条項がいわゆる主契約と呼ばれる部分に対応するものであり、一の保険契約に当たります。
  3. (3) 主特約条項は次の3種類で構成されており、それぞれ、次の基本的な補償を含んでいます。
    1. 丸1 医療補償特約
      入院保険金、手術保険金、通院保険金
    2. 丸2 介護補償特約
      介護保険金、介護一時金、臨時費用保険金
    3. 丸3 積立利率変動型積立保険特約(以下「積立保険特約」といいます。)
      交通事故傷害死亡保険金
  4. (4) 健康総合保険は、平成14年5月17日付審理室情報第1号ほか「いわゆる第三分野の保険契約に係る生命保険料控除等に関する質疑応答事例について(情報)」に掲げている「保険商品の販売形態」について、次の理由から、いわゆる「組合せ型」に該当するものです。
    1. 丸1 二以上の契約が一の保険証券で表示されているもの(それぞれ別の保険契約)に該当すること
    2. 丸2 契約は分離可能であること
    3. 丸3 原則として、それぞれの契約の保険期間は等しいこと
    4. 丸4 中途で一方の契約を解約することができること
    5. 丸5 一方の契約の効力が失われても、他方の契約の継続には影響しないこと
  5. (5) 生命保険料控除の対象となる保険契約に当たるか損害保険料控除の対象となる保険契約に当たるかは、主契約の内容によって判断することとされていますので、健康総合保険の場合は、主特約条項の内容に応じて判断することになります。
    したがって、各主特約条項に係る保険料控除については、次のとおりとなります。
    1. 丸1 医療補償特約は、身体の傷害を受けたこと又は疾病にかかったことを原因とする人の状態に基因して生ずる医療費控除の対象となる医療費その他の費用を支払ったことを保険金の支払事由とすることから、生命保険料控除の対象となります。
    2. 丸2 介護補償特約は、身体の傷害若しくは疾病又はこれらを原因とする人の状態を保険金の支払事由とすることから、生命保険料控除の対象となります。
    3. 丸3 積立保険特約は、身体の傷害(疾病を担保しない。)に基因して保険金を支払うことから、損害保険料控除の対象となります。
  6. (6) 積立保険特約の交通事故傷害死亡保険金額は、積立金の5倍となっており、保険支払事由が発生しないまま特約保険期間が満了した場合には、特約保険期間満了時の積立金を満期返れい金として支払うこととしています。
  7. (7) 積立保険特約を付帯している場合、積立金を取り崩して、健康総合保険に付帯されている他の特約条項及び他の保険契約の保険料へ充当することができます。
  8. (8) 積立保険特約では、これに対応する従特約として、移行に関する特約(介護補償移行特約及び葬祭費用移行特約)を設けており、契約締結後一定期間経過後は、積立金の全部又は一部を「介護補償特約」等の一定の他の特約に移行(積立金を他の補償内容に変更)することができます。
    この移行に際し、積立金の全部又は一部を解約返れい金として支払うことはありません。
 
2 照会事項(所得税法上の取扱いについて)
上記1(8)の場合の移行は、積立金を他の補償の責任準備金等として保険会社内部で引き継ぐものであり、契約内容の変更に相当しますので、一時所得(解約返れい金)及び保険料控除(新たな保険料の支払)による新たな課税関係は発生しないと考えてよろしいか伺います。
 
3 照会の見解となることの理由
上記の移行に似た制度として転換制度がありますが、この転換制度における所得税及び贈与税の取扱いについては、昭53.2.10付直資2−36「契約転換制度の所得税法及び相続税法上の取扱いについて」(以下「転換通達」といいます。)において、次のとおり示されています。
すなわち、既存の生命保険契約(以下「転換前契約」といいます。)の責任準備金等を新たな生命保険契約(以下「転換後契約」といいます。)の責任準備金等に引き継ぐ方法により行われる契約転換では、
  1. 丸1 転換前契約と保険契約者・被保険者が同一であること
  2. 丸2 契約者配当の権利を引き継ぐこと
  3. 丸3 転換前契約の死亡保障の範囲内(死亡保険金、保険期間)での危険選択を行わないこと
  4. 丸4 告知義務違反による契約解除や自殺による保険金支払免責等の場合での転換前契約への復帰が認められること
  5. 丸5 転換前契約を解約処理するものではないこと
等から、この転換は、実質的に契約の継続性を失わない契約内容の変更であり、転換に伴う所得税及び贈与税の課税関係は生じないこととされています。
一方、健康総合保険における「移行」は、転換通達の上記要件をすべて満たすものではありませんが、
  1. 丸1 移行前と移行後とでは、保険契約者・被保険者が同一であること
  2. 丸2 保険契約は、移行により解約処理されるものではなく、移行前の積立金を移行後の特約の責任準備金等として当社内部で引き継ぐものであり、保険契約者に解約返れい金が支払われるものではないこと
  3. 丸3 保険契約の一部の移行も認めているが、その場合、移行しない部分については、移行前の規定が適用され、契約内容に変更はないこと
    となっており、移行により当該保険の補償内容に変更があったとしても、当該契約は継続しているため、移行に伴い、所得税法上、新たな課税関係は生じないものと考えます。
 

 

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