別紙

1 事前照会の趣旨及び事実関係

開発業者が、都市計画法の用途地域が商業地域と準工業地域にまたがる地域に所在する一区画内に相互に隣接して土地を所有する地権者甲、乙及び丙(以下「甲等」といいます。)から土地を買い取り、地上階数三以上の中高層の耐火共同住宅を建築する事業を計画しています。
 商業地域と準工業地域とでは適用される容積率が異なる(商業地域500%、準工業地域300%)ことから、当該事業では容積率を最大限に有効活用するために商業地域に所在する土地上にA建物を、準工業地域に所在する土地上にB建物をそれぞれ建築する計画です【下記想定図参照】。
 このとき、次のいずれの取得の場合であっても、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》第1項の表の第2号に規定する特例(以下「本件特例」という。)の買換資産の取得に該当し、本件特例の適用があるものと解してよろしいかお伺いします。なお、A建物及びB建物とも、本件特例の適用対象となる「地上階数三以上の中高層の耐火共同住宅」に該当します。

(1) 商業地域に所在する土地の所有者甲が、準工業地域に所在する土地上に建築されるB建物の一部を取得する場合

(2) 商業地域と準工業地域にまたがって所在する土地の所有者乙が、A建物とB建物の双方の一部を取得する場合、あるいはA建物とB建物のいずれか一方の一部を取得する場合

(3) 準工業地域に所在する土地の所有者丙が、商業地域に所在する土地上に建築されるA建物の一部を取得する場合

【想定図】

想定図

2 事前照会者の求める見解となることの理由

措置法第37条の5第1項の表の第2号では、譲渡資産について「(既成市街地等内にある)土地等・・・で、当該土地等・・・の上に地上階数三以上の中高層の耐火共同住宅・・・の建築をする事業の用に供するために譲渡をされるもの」と規定した上で、買換資産については「当該事業の施行により当該土地等の上に建築された耐火共同住宅(当該耐火共同住宅の敷地の用に供される土地等を含む。)」と規定しています。
 したがって、本件特例の買換資産には、「地上階数三以上の中高層の耐火共同住宅の建築をする事業の用に供するために譲渡をされる(既成市街地等内にある)土地等の上に建築された耐火共同住宅(当該耐火共同住宅の敷地の用に供されている土地等を含む。)」が該当することとなると考えられます。
 ところで、甲等は、自らが譲渡した土地の上に建築されたものではない建物の一部を取得する可能性がありますが、このような建物を甲等が取得する場合には、「譲渡された土地の上に建築された」建物の取得に該当せず、本件特例の適用はないのではないか、との疑義が生じます。
 しかしながら、本件特例が既成市街地等内の特定の区域についての立体化・高度化による土地の有効利用を推進するとの観点から設けられたものであることを踏まえれば、本件特例は、地上階数三以上の中高層の耐火共同住宅が建築される区域全体を対象(単位)として適用されるものであると解されます。
 したがって、本件特例における「譲渡された土地の上に建築された建物」とは、「譲渡された土地を含む一団の土地の上に建築された建物」と解するのが相当であると考えられます。
 ここで、甲等から開発業者に譲渡される土地は、一区画内で相互に隣接して物理的に一体となっている土地であることから、一団の土地を形成しているととらえることが適当であると考えられます。
 そして、A建物とB建物は、一の事業により甲等が譲渡した土地を含む一団の土地の上に建築されることとなりますので、いずれも措置法第37条の5第1項の表の第2号の下欄にいう「譲渡された土地の上に建築された」建物に該当するものと考えられることから、土地を譲渡した甲等がA建物とB建物のいずれの部分を取得しても、本件特例の買換資産の取得に該当するものと考えられます。
 以上のことから、上記1の(1)から(3)に記載のいずれの場合であっても、本件特例の買換資産の取得に該当し、本件特例の適用があるものと解されます。

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