別紙

1 事前照会の趣旨及び事実関係

公社債の譲渡による所得については、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第37条の15《公社債等の譲渡等による所得の課税の特例》の規定により、一定の公社債の譲渡による所得を除き、所得税を課さないこととされており、これにより生じた損失の金額もないものとみなされていますが、所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号。以下「改正法」といいます。)による措置法の改正により、平成28年1月1日以後に行う公社債の譲渡による所得については、株式等に係る譲渡所得等課税の対象とされたところです(改正法による改正後の措法37の10、37の11)。

ところで、平成28年1月1日以後に行う公社債の譲渡による所得に適用される「租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて」(以下「措置法通達」といいます。)37の10・37の11共-1(1)《株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期》では、株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期については、株式等の引渡しがあった日によることとされ、ただし、納税者の選択により、当該株式等の譲渡に関する契約の効力の発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認めることとされております。

当社を含む証券会社等を通じ公社債を譲渡すると、契約の効力発生の日から引渡しの日までに通常4営業日要するため、平成27年中に公社債の譲渡に関する契約の効力が発生し、その引渡しが平成28年中となる場合が生じます。そのため、特定口座に移管しない公社債の譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期について、措置法通達37の10・37の11共-1(1)の定めをどのように取扱うかに関して、次のように解してよろしいか伺います。

措置法通達37の10・37の11共-1(1)では、「契約の効力の発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める」とされていますが、公社債の譲渡による所得については、平成28年1月1日前は、一定の公社債を除き、所得税を課さないこととされているため、上記の場合は、何らの申告をすることなく、その譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期を平成27年とすることが認められるものと解してよろしいか伺います。

2 事前照会者の求める見解となることの理由

措置法通達37の10・37の11共-1(1)では、株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期については、株式等の引渡しがあった日によることとされ、ただし、納税者の選択により、当該株式等の譲渡に関する契約の効力の発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認めることとされています。

このため、特定口座に移管しない公社債について平成27年中に公社債の譲渡に関する契約の効力が発生し、その引渡しが平成28年中となった場合において、平成27年中の譲渡と認められるためには、この取扱いにより、何らかの申告が必要になるのかという疑義が生じます。

しかしながら、仮に所得税の申告書の提出が必要であるとしたときには、所得税法の規定によらずに所得税の申告義務を課すこととなり、相当ではないと考えます。

また、申告書の提出は不要としつつ「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」(以下「計算明細書」といいます。)に記載して提出する必要があるとすることも考えられますが、この計算明細書は、租税特別措置法施行令第25条の8《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》第12項の規定により、株式等に係る譲渡所得等を有する者が確定申告書を提出するときに、その添付が義務付けられている書類であることからすれば、そもそも申告書の提出義務がない者に計算明細書の提出を求めることは、相当ではないと考えます。

したがって、上記の場合は、措置法通達37の10・37の11共-1(1)の取扱いにかかわらず、何らの申告をすることなく、その譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期を契約の効力の発生の日である平成27年とすることが認められるものと解されます。

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