別紙
当社(金融商品取引業者)は、投資家に対し、外国籍のクローズド・エンド型会社型投資信託であるA投資法人(以下「本件A投資法人」といいます。)が発行する投資証券(アイルランド証券取引所に上場されている投資証券であり、以下「本件A投資証券」といいます。)の募集等の取扱いをしていますが、この度、本件A投資法人は、下記2(1)イのとおり、本件A投資法人の臨時株主総会において、日本のオープン・エンド型契約型公募投資信託であるB投資信託(以下「本件B投資信託」といいます。)への移行を了承する決議がされました(以下、この移行を「本件移行」といいます。)。
本件移行は下記2(1)ロの手順で行われ、本件A投資法人は、投資家の有する本件A投資証券を取得することなく消滅させ、その対価として、投資家に対し、本件B投資信託に係る受益権(以下「本件B受益権」といいます。)及び現金を交付します。
この場合、本件A投資証券を有する個人投資家(居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者をいい、以下「本件投資家」といいます。)の課税関係は、下記のとおり解してよろしいか照会します。
記
(1) 本件移行について
イ 本件移行は、平成22年○月に開催された本件A投資法人の臨時株主総会において、賛成多数で決議されています。また、本件A投資法人の取締役会において、本件A投資法人は平成23年○月に本件A投資証券を取得することなく消滅させることが決議されています。
ロ 本件移行の手順は、次のとおりです。
ハ 本件A投資法人は、平成23年○月に、投資家の有する本件A投資証券を取得することなく消滅させ、その消滅の対価として、投資家に対し、本件A投資証券1株につき、本件B受益権700口及び現金を交付しています。
(2) 本件A投資証券について
イ 本件A投資証券は、本件A投資法人が発行する「外国籍クローズド・エンド型(会社型)外国投資証券」で、アイルランド証券取引所に上場されています。
なお、アイルランド証券取引所は、日本証券業協会の規則に基づき、適格外国金融商品市場(外国証券の取引に関する規則7一、
)とされています。
ロ 当社は、本件A投資証券の募集の取扱い等を行うに当たり、投資信託及び投資法人に関する法律(以下「投信法」といいます。)第220条《外国投資法人の届出》第1項の規定に基づき、本件A投資法人に係る同項各号に掲げる事項を内閣総理大臣に届け出ています。
したがって、本件A投資法人は、投信法第2条《定義》第23項に規定する外国投資法人に該当します。
(3) 本件B受益権について
本件B受益権の概要は、次表のとおりです。
形態 | オープン・エンド型契約型公募証券投資信託の受益権 |
---|---|
申込期間 | 当初:平成22年○月から平成22年○月まで 継続:平成22年○月から平成23年○月まで |
発行(売出) 価額の総額 | 当初申込期間:300億円を上限 継続申込期間:1,000億円を上限 |
申込単位 | 最低単位を1円単位又は1口単位(当初元本1口当たり1円)として販売会社(当社)が定める単位 |
申込価額 | 当初申込期間:1口当たり1円 継続申込期間:申込受付日の翌営業日の基準価額 |
信託期間 | 平成22年○月から平成32年○月まで |
設定日 | 平成22年○月 |
決算及び収益分配 | 毎年○月及び○月に決算を行い、収益分配方針に基づいて収益の分配を行う |
(1) みなし配当及び株式等に係る譲渡所得等の収入金額(照会事項)
イ 租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第37条の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》第2項は、同条第1項に規定する「株式等」には「外国法人に係るものを含む」と規定し、措置法第8条の4《上場株式等に係る配当所得の課税の特例》第1項第1号は、「投資口(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第14項に規定する投資口をいう。以下、この項…において同じ。)…株式(投資口を含む。以下この章において同じ。)」と規定していますので、措置法第8条の4と同じ第2章(所得税法の特例)に規定されている措置法第37条の10に規定する「株式等」には、投信法第2条第14項に規定する投資口が含まれ、外国法人である外国投資法人の投資口を譲渡した場合には、株式等に係る譲渡所得等の課税の特例(措法37の10)が適用されることとなります。
また、所得税法第2条《定義》第1項第15号は、「…株式(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第14項に規定する投資口を含む。…、第25条(配当等とみなす金額)、…において同じ。)」と規定していますので、所得税法第25条に規定する「株式」には、投信法第2条第14項に規定する投資口が含まれます。
そして、法人の株主等がその法人の株式若しくは出資をその法人が取得することなく消滅させることにより交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額のうち、その法人の資本金等の額のうちその交付の基因となった当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超える部分の金額は、配当等とみなされ(所法25五)、その配当等とみなされる部分の金額を除く部分の金額は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされます(措法37の10
五)。
ロ 本件A投資証券は、本件A投資法人が発行する投資証券であり、本件A投資法人は、投信法第2条第23項に規定する外国投資法人に該当することから(上記2(2)ロ)、外国投資法人の投資口を表示する証券に該当します(投信法2、
、
)。そして、本件A投資法人は、平成23年○月に、本件A投資証券を取得することなく消滅させ、その消滅の対価として、本件A投資証券1株(本件A投資法人の投資口1口)につき、本件B受益権700口及び現金を交付しています(上記2(1)ロ(ハ)、ハ)。
そうすると、本件A投資証券は、所得税法第25条及び措置法第2章(所得税法の特例)の適用において株式に該当し、本件投資家が本件A投資法人から交付を受ける本件B受益権及び金銭の合計額は、法人の株主がその法人の株式をその法人が取得することなく消滅させることにより交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額に該当しますので、その合計額のうち、本件A投資法人の資本金等の額のうちその交付の基因となった本件A投資証券に対応する部分の金額を超える部分の金額は、配当等とみなされ(所法25五)、その配当等とみなされる部分の金額を除く部分の金額は、株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる(措法37の10
五)ものと考えます。
(2) 上場株式等に係る譲渡所得等及び配当所得に対する税率の特例措置の適用(照会事項)
イ 措置法第37条の11の3《特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例》第2項に規定する上場株式等について、措置法第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第2項各号に掲げる上場株式等の譲渡をした場合には、その上場株式等の譲渡に係る譲渡所得等に対する所得税の税率は、平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間は、7%(ほかに住民税3%)とされています(平成20年改正法附則43、措法37の10
)。また、上場株式等に係る配当等とみなされる部分の所得に対する所得税の税率についても、7%(ほかに住民税3%)とされています(平成20年改正法附則32
、措法8の4)。
そして、措置法第37条の11の3第2項に規定する上場株式等には、措置法第37条の10第2項に規定する株式等で、金融商品取引法第2条《定義》第8項第3号ロに規定する外国金融商品市場に売買されている株式等が含まれており(措法37の11の3一、措令25の10の2
二)、日本証券業協会の規則に基づき各証券会社が「適格外国金融商品市場」としている市場は、この外国金融商品市場に該当するとされています(措通37の11の3−2)。
また、措置法第37条の12の2第2項第4号において、措置法第37条の10第3項各号に規定する事由による上場株式等の譲渡が掲げられています。
ロ 本件A投資証券は、日本証券業協会の規則に基づき各証券会社が適格外国金融商品市場としている市場であるアイルランド証券取引所に上場されており(上記2(2)イ)、本件A投資証券の譲渡は措置法第37条の10第3項第5号に規定する事由による上場株式等の譲渡に該当することから、上場株式等に係る譲渡所得等に対する税率の特例措置(所得税7%(ほかに住民税3%))の適用があるものと考えます。
また、配当等とみなされる部分の金額に係る配当所得に対する税率についても、本件A投資証券は、上記と同様の理由から、上場株式等に該当し、上場株式等に係る配当所得に対する税率の特例措置(所得税7%(ほかに住民税3%))の適用があるものと考えます。
(3) 本件B受益権の取得価額(照会事項)
本件移行により本件投資家が本件A投資法人から交付を受ける本件B受益権の取得価額は、本件B受益権の取得の時における本件B受益権の取得のために通常要する価額となりますので(所令109五)、本件B受益権の交付を受けた時の本件B受益権の時価(基準価額)となるものと考えます。