別紙

平成22年10月13日

東京国税局審理課長 殿

更生会社株式会社日本航空
更生会社株式会社日本航空インターナショナル
更生会社株式会社ジャルキャピタル
管財人 株式会社企業再生支援機構
管財人 片山 英二

1 事前照会の趣旨

 更生会社株式会社日本航空(以下「JALS」といいます。)、更生会社株式会社日本航空インターナショナル(以下「JALI」といいます。)及び更生会社株式会社ジャルキャピタル(以下「JLC」といいます。)の3社は、平成22年8月31日に東京地方裁判所に更生計画案を提出しました。更生計画案によれば、JALIは、更生計画認可決定日(予定日:平成22年11月30日)の翌日に、JALSとJLCを吸収合併(以下「本件吸収合併」といいます。)し、本件吸収合併に伴い、合併日(平成22年12月1日、以下「本件吸収合併日」といいます。)に、平成22年11月30日現在のJALSの普通株式(以下「JALS普通株式」といいます。)を有する株主(JALSを除きます。)及びJALSのA種株式(以下「A種株式」といいます。)を有する株主に対し、そのJALS普通株式及びA種株式1株あたりJALI普通株式1株を交付しますが、交付したJALI普通株式は同日直ちにJALIによって無償取得のうえ消却され、JALI普通株式の株券は交付しません。
そこで、このJALS普通株式が本件吸収合併日である平成22年12月1日まで租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第37条の10の2《特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》第1項に規定する特定管理株式に該当する場合、JALS普通株式及びA種株式の消滅は措置法施行令第25条の8の2第2項第2号の事実に該当し、JALS普通株式を有する株主である居住者若しくは国内に恒久的施設を有する非居住者(以下「居住者等」といいます。)について、措置法第37条の10の2第1項に規定する特定管理株式等が価値を失った場合の損失の金額の特例(以下「特定管理株式等の特例」といいます。)の適用があると解して差し支えないかご照会申し上げます。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

(1) JALSはJALグループの持株会社、JALIは航空免許及び航空機を保有するJALグループの事業中核会社、JLCはJALグループの金融担当会社です。なお、JALIとJLCは、いずれもJALSの完全子会社です。

(2) JALSの株式は、JALS普通株式とA種株式があり、JALS普通株式は東京証券取引所に上場されていましたが、平成22年2月20日に上場廃止されました。なお、A種株式は優先配当株式で法人株主のみです。

(3) JALIは、更生計画案によれば、更生計画認可決定日(予定日:平成22年11月30日)の翌日に、JALSとJLCを吸収合併し、本件吸収合併に伴い、合併日当日(平成22年12月1日)に、平成22年11月30日現在のJALS普通株式を有する株主(JALSを除きます。)及びA種株式を有する株主に対し、そのJALS普通株式及びA種株式1株あたりJALI普通株式1株を交付しますが、交付したJALI普通株式は同日直ちにJALIによって無償取得のうえ消却され、JALI普通株式の株券は交付しません。

(4) 上記(1)のとおり、JALS及びJLCは、資本関係・人的関係及び組織においてJALIと不可分一体の関係にあり、これらを一体として再建することが最も合理的かつ効率的であり、その場合、更生会社3社の更生債権等の弁済率を同一の取扱いとすることが関係者にとって最も公平な結果を実現することになるため、JALS、JALI及びJLCを合併することとしました。なお、JALIが航空運送事業の免許を保有していることから、本件吸収合併の前後で運航の継続に支障が生じないようにするため、JALIを合併法人としました。

(5) また、株式会社企業再生支援機構(以下「機構」といいます。)は、株式会社企業再生支援機構法(平成21年法律第63号。以下「機構法」といいます。)に基づき、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている中堅事業者、中小企業者その他の事業者であって、債権放棄等その他の金融支援を受けて事業再生を図ろうとするものに対し、事業再生の支援を行うことを目的として設立された法人です。
機構は、機構法に基づいて事業再生支援を行う公正・中立な専門組織であって、3兆円の政府保証枠を背景とした投融資機能を持つため、更生会社3社が上記(4)のとおり事業体の統一(本件吸収合併)を行った上で、機構が最終的に支援を継続することとなる合併法人であるJALIに対して直接的にその出資を行うことが最も簡明であることから、更生計画案においては、更生会社3社の本件吸収合併を先行させた上で、合併法人であるJALIに対して機構が出資を行う形としています。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 特定管理株式等の特例は、特定管理株式が株式としての価値を失ったことによる損失が生じた場合の特例です(措法37の10の2丸1)。照会の場合、JALS普通株式を有する居住者等にとって、本件吸収合併によって取得するJALI普通株式は特定管理株式に該当しませんが、本件吸収合併日である平成22年12月1日まで特定管理口座に係る振替口座簿に記載又は記録がされているJALS普通株式は、特定管理株式に該当することとなります。

(2) そして、更生計画案において、JALS普通株式を有する株主(JALSを除きます。)及びA種株式を有する株主が本件吸収合併によって取得するJALI普通株式は、本件吸収合併日に直ちにJALIによって無償取得され、消却されることが定められています。
照会の場合、本件吸収合併によるJALS普通株式及びA種株式の消滅、JALS普通株式を有する株主(JALSを除きます。)及びA種株式を有する株主が本件吸収合併によって取得する株式(JALI普通株式)の無償消却という2段階の手続を経ることになりますが、JALS普通株式(JALSの自己株式を含みます。)及びA種株式のJALS株式の全部が平成22年12月1日に本件吸収合併により無償消滅することが更生計画案において定められ、更生計画認可の決定を受け、その更生計画に基づき無償消滅が行われることになるとされています。
したがって、措置法施行令第25条の8の2第2項第2号の「特定株式会社等がその発行済株式の全部を無償で消滅させることを定めた会社更生法(平成14年法律第154号)第2条第2項に規定する更生計画につき同法の規定による更生計画認可の決定を受け、当該更生計画に基づき当該発行済株式の全部を無償で消滅させたこと。」に該当することとなるものと考えます。

(3) 上記(1)及び(2)のことから、JALS普通株式が本件吸収合併日である平成22年12月1日まで特定管理株式に該当する場合、照会のJALS普通株式及びA種株式の消滅は措置法施行令第25条の8の2第2項第2号の事実に該当し、JALS普通株式を有する居住者等について、特定管理株式等の特例の適用があるものと考えます。