1 事前照会の趣旨

当法人は、法人税法第2条第6号に掲げる公益法人等に該当します。当法人では、その活動内容等を広報するため、書籍及びパンフレット等(以下「書籍等」といいます。)を自己の事務所において印刷及び製本(以下「印刷等」といいます。)し、これを希望者に無償で配布しています。
 当該書籍等の印刷等に際し、輪転機(印刷機)においてアルミニウム製の印刷板(以下「アルミ板」といいます。)を使用しております。これまで、使用済みのアルミ板は廃棄をしておりましたが、今後、使用済みのアルミ板を専門業者に有償で引き取ってもらう予定です。
 そこで、当法人が行う使用済みのアルミ板の譲渡の対価として受領する金員は、法人税法上の収益事業に係る収益に該当しないと解して差し支えないでしょうか。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

  1. (1) 当法人では、自己の事務所において書籍等の印刷等を行う際に、アルミ板に印字を行ったものを輪転機(印刷機)で使用しております。
     これまで、印字を行ったアルミ板は、使用後は再利用することはなく、廃品回収業者に無償で引き渡しておりました。
     なお、一つの種類の書籍等の印刷等の期間は最大でも1週間程度ですので、一旦印字を行ったアルミ板の使用可能期間も同様に最大でも1週間程度となります。
  2. (2) 当法人では、今後、当該使用済みのアルミ板を1〜2週間に1回程度の割合で専門業者に有償で引き取ってもらうことを検討しております。
     なお、当該アルミ板の引取価額は当法人の仕入価額の約10分の1程度であると見込まれています。
  3. (3) 当法人は、書籍等の印刷等に係る費用(アルミ板の購入費用など)を全て寄附で賄っています。
  4. (4) 当法人の行う書籍等の印刷等や無償による配布は、当法人の活動内容等を広報するという目的のため当初から対価を得ることを予定しないで行う行為であり、法人税法上の収益事業に該当しないことを照会の前提とします。

3 2の事実関係に対する事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 法人税法上の取扱い
法人税法第2条第6号に掲げる公益法人等は、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずる(法法41)とともに、収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになります(法法7)。法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい(法法2十三)、法人税法施行令第5条第1項において34事業が限定列挙されています。
 また、法人税法上の収益事業には、その性質上その事業に付随して行われる行為が含まれる旨規定されていることからすれば(法令51)、公益法人等の行う事業が収益事業に該当しない場合には、その性質上その事業に付随して行われる行為から生じた行為についても収益事業に該当しないと解されるところです。
 なお、その事業と併せて行われる行為であっても、それが独立した事業と認められるような場合には、その行為は単独で収益事業課税の対象となると解されます。
(2) 本件のあてはめ
当法人の行う書籍等の印刷等や無償による配布は、上記2⑷のとおり法人税法上の収益事業に該当しないことを照会の前提としています。
 当法人は、書籍等の印刷に必須の材料としてアルミ板を取得し、印字のために使用しているものであり、当法人の行う使用済みアルミ板の廃棄、売却などの処分行為は、書籍等の印刷等の一環として必然的に生じるものであり、その性質上書籍等の印刷等に付随して行われる行為に当たると考えられます。
 また、アルミ板は、印刷等の際に使用するために取得したものであり、販売する目的で取得したものではありませんので、この売却による処分行為が独立した事業とは認められず、法人税法施行令第5条第1項第1号に規定する物品販売業にも該当しないと考えられます。
 したがって、当法人が行う使用済みのアルミ板の譲渡の対価として受領する金員は、法人税法上の収益事業に係る収益に該当しないと考えられます。

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