別紙1−1 事前照会の趣旨

国税庁ホームページの質疑応答事例に掲載されている「障害者等のマル優制度を利用していた預金者が資格外となった場合の課税関係」では、寡婦である預金者が利子計算期間の途中で再婚した場合であっても、満期払戻しまでの全ての期間の利子について非課税規定の適用があるとの見解が示されています。
 つきましては、租税特別措置法第4条第1項(いわゆるマル特)の非課税制度(以下「本件非課税制度」といいます)の適用を受けている個人向け国債の利子の場合においても、上記の質疑応答事例と同様に、国債の償還日前の利子計算期間の途中で資格外となったとしても、全ての期間の利子について本件非課税規定の適用があると解して差し支えないか、ご照会いたします。

別紙1−2 事前照会に係る取引等の事実関係

  • 1 本件国債の保有者:租税特別措置法第4条《障害者等の少額公債の利子の非課税》の規定の適用を受けている国債を保有している寡婦
  • 2 保有銘柄:個人向け国債(変動・10年)第9回
  • 3 額面金額:350万円
  • 4 発行日:平成17年1月11日
  • 5 償還日:平成27年1月10日
  • 6 利払日:毎年1月10日及び7月10日
  • 7 現在の適用利率:0.58%
  • 8 現在の利子計算期間:平成21年1月11日〜平成21年7月10日
  • 9 資格外となった時期及びその理由:平成21年3月31日児童扶養手当支給終了により非課税資格喪失

別紙1−3 事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

1 障害者等の少額公債の利子の非課税制度の規定
 租税特別措置法第4条第1項では、障害者等が国債や地方債等(以下「公債等」といいます。)を購入する際に特別非課税貯蓄申込書を提出したときは、その公債の利子の各計算期間ごとにその計算期間を通じ特別非課税貯蓄申告書に記載した最高限度額を超えないこと等の要件を満たす場合には、当該計算期間に対応する利子について所得税を課さない旨規定されています。
 そして、本件非課税制度の適用に当たっては、所得税法第10条《障害者等の少額預金の利子所得等の非課税》第2項から第8項までの規定及び同法施行令第34条から第49条までの規定を準用することとされている(租税特別措置法第4条第2項、同法施行令第2条の4第3項)ところ、障害者等の少額預金の利子所得等が非課税とされない場合について、所得税法施行令第36条では、要旨次のとおり規定されています。

  • (1) 「非課税貯蓄申込書の提出をしなかった場合」は、所得税法第10条《障害者等の少額預金の利子所得等の非課税》第1項の規定の適用がない(第1項)。
  • (2) 「非課税貯蓄申込書を提出した個人が、提出後障害者等に該当しないこととなり、かつ、該当しないこととなった日以後に預入等した預貯金等の部分」は、所得税法第10条第1項の規定の適用がない(第2項)。
  • (3) 「普通預金等につき非課税貯蓄申込書を提出した個人が、提出後障害者等に該当しないこととなった場合には、該当しないこととなった日の属する利子の計算期間に係る利子については、所得税法第10条第1項の規定の適用があり、当該計算期間後最初の利子の計算期間に係る同項の適用については、当該計算期間の初日における普通預金等の現在高は同日においてその預入が行われたものとみなす」とされており、該当しないこととなった日の属する利子計算期間の翌計算期間以後の各計算期間の利子については非課税制度の適用がない(第3項)。
     なお、所得税法第10条に規定する非課税制度は、預貯金のみならず公債などの有価証券についても適用があることとされている(同条第1項)ところ、上記の普通預金等には有価証券は含まれていません(所得税法施行規則第6条の2第2項)。

2 本件の検討
 別紙1−2の事実関係を上記1の規定に当てはめて検討すると、次のとおりです。

  • (1) 租税特税措置法第4条第1項では、障害者等に該当する者が公債を「購入する際」に所定の手続きを経た場合に同項の適用がある旨規定されており、障害者等に該当しなくなった場合については特に規定していないことから、同項に規定する要件を満たす限り、当該公債の利子計算期間の全部について適用があるものと解することができます。
     なお、本件は、同項に規定する要件を満たしています。
  • (2) 次に、本件非課税制度の適用に当たっては、所得税法施行令第36条の規定が準用されることから、この点について検討すると、次のとおりです。
    1. 1 本件国債の保有者は、特別非課税貯蓄申込書を提出していることから所得税法施行令第36条第1項には該当しないこと。
    2. 2 本件国債の保有者の保有する国債は、本件国債の保有者が障害者等に該当している時点で預入等した国債であり、障害者等に該当しないこととなった日以後に預入等をした預貯金等ではないことから、所得税法施行令第36条第2項に該当しないこと。
    3. 3 上記1の(3)のとおり、所得税法第10条に規定する非課税制度は国債についても適用があるとされているところ、所得税法施行令第36条第3項に規定する普通預金等には国債は含まれていないことから、本件国債についても同項の規定は適用されないこと。

3 結論
 上記2のとおり、本件は租税特別措置法第4条第1項に規定する要件を満たしており、かつ、租税特別措置法施行令第2条の4第3項の規定によって準用される所得税法施行令第36条の規定のいずれにも該当しないことから、これらの条件を満たす限りにおいて、本件国債の償還日までの各利子計算期間の全部について本件非課税制度の適用があるものと考えます。