令和3年11月
仙台国税局

T 調査等の状況

1 所得税の調査等の状況

○ 新型コロナウイルス感染症の影響により実地調査の件数は大幅に減少したが、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査し、1件当たりの追徴税額は増加

○ 文書等による接触方法を積極的に組み合わせることにより、簡易な接触による申告漏れ所得金額、追徴税額は増加

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

  • 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が880件(前事務年度2,640件)、着眼調査が74件(同959件)であり、合計954件(同3,599件)、このほか、簡易な接触の件数は20,309件(同17,115件)となっています。
  • これらの調査等の合計件数は21,263件(同20,714件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は11,678件(同11,136件)となっています。

(2) 申告漏れ所得(調査等の対象となった全ての年分の合計)金額の状況

  • 実地調査による申告漏れ所得金額は、105億2千1百万円(同238億5千9百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは103億8千2百万円(同221億9千4百万円)、着眼調査によるものは1億3千9百万円(同16億6千5百万円)となっています。
  • また、簡易な接触による申告漏れ所得金額は82億9千2百万円(同68億2千3百万円)となっており、調査等合計では188億1千3百万円(同306億8千2百万円)となっています。

(3) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

  • 実地調査による追徴税額は、19億5千4百万円(同37億9千4百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは19億4千2百万円(同36億7千9百万円)、着眼調査によるものは1千2百万円(同1億1千5百万円)となっています。
    なお、実地調査による追徴税額を1件当たりでみると、204万8千円(同105万4千円)となっており、前事務年度に比べ増加しています。
  • また、簡易な接触による追徴税額は7億2百万円(同5億5千5百万円)となっており、調査等合計では26億5千6百万円(同43億4千8百万円)となっています。
(参考)

1 実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。

2 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。

3 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

〇 所得税の調査等の状況
所得税の調査等の状況
(注) 1  令和2年7月から令和3年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
2  上段は、前事務年度の計数である。
3  「簡易な接触」の件数には、更正の請求等に基づく減額更正や添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
4  追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
5  実地調査の件数は、所得税と消費税の実地調査件数である。

(参考)譲渡所得の調査等の状況

  • 所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数が、655件(前事務年度631件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数が、479件(同468件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となった全ての年分の合計)は、39億6千万円(同33億5千4百万円)となっています。
○ 譲渡所得の調査等の状況
譲渡所得の調査等の状況
(注) 1  土地建物等は、土地建物(分離譲渡所得)及び金地金等(総合譲渡所得)である。
2  土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。

2 消費税(個人事業者)の調査等の状況

○ 新型コロナウイルス感染症の影響もあり実地調査の件数は大幅に減少したが、無申告等の調査を重点的に実施することにより、1件当たりの追徴税額は増加

○ 文書等による接触方法を積極的に組み合わせることにより、簡易な接触による追徴税額は増加

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

  • 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が588件(前事務年度1,765件)、着眼調査が32件(同501件)であり、合計620件(同2,266件)、このほか、簡易な接触の件数は6,137件(同2,731件)となっています。
  • これらの調査等の合計件数は6,757件(同4,997件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は4,200件(同3,064件)となっています。

(1) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

  • 実地調査による追徴税額は、5億1千9百万円(同16億6百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは5億1千1百万円(同15億4千1百万円)、着眼調査によるものは8百万円(同6千5百万円)となっています。 なお、実地調査による追徴税額を1件当たりでみると、83万7千円(同70万9千円)となっており、前事務年度に比べ増加しています。
  • また、簡易な接触による追徴税額は2億3千4百万円(同1億9千4百万円)となっており、調査等合計では7億5千3百万円(同18億円)となっています。
○ 消費税(個人事業者)の調査等の状況
消費税(個人事業者)の調査等の状況
(注) 1  令和2年7月から令和3年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
2  上段は、前事務年度の計数である。
3  「簡易な接触」の件数には、更正の請求等に基づく減額更正や添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
4  消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。

U トピックス(主な取組)

1 富裕層に対する調査状況
〜1件当たり申告漏れ所得金額は1,529万円で過去最高〜

● 有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行っている個人など、「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に調査を実施しています。

  • 令和2事務年度においては、64件(前事務年度184件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,529万円(同1,028万円)となっており、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,180万円(同841万円)に比べ1.3倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は9億7千9百万円(同18億9千1百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は440万円(同240万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の221万円(同139万円)に比べ2.0倍となっています。また、追徴税額の総額は2億8千2百万円(同4億4千1百万円)に上ります。
  • 特に、海外投資等を行っている「富裕層」に対しては、1件当たりの追徴税額は1,062万円(同485万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の221万円に比べ4.8倍と高額となっています。
○ 富裕層に対する調査の状況
富裕層に対する調査の状況
○ 海外投資等をした「富裕層」に対する調査の状況
海外投資等をした「富裕層」に対する調査の状況

2 海外投資等を行っている個人に対する調査状況
〜「富裕層」のみならず、1件当たりの追徴税額は高水準〜

● 経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、積極的に調査を実施しています。

  • 令和2事務年度においては、27件(前事務年度71件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,032万円(同1,339万円)となっており、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,180万円(同841万円)と比べ1.7倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は5億4千9百万円(同9億5千万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は325万円(同391万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の221万円(同139万円)と比べ1.5倍となっています。また、追徴税額の総額は8千8百万円(同2億7千8百万円)に上ります。
○ 海外投資等を行っている個人に対する調査状況
海外投資等を行っている個人に対する調査状況
○ 取引区分別の調査状況
取引区分別の調査状況

3 シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人に対する調査状況
〜新たな分野の経済活動も的確に申告漏れを把握〜

● インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動(注)に係る取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。

  • 令和2事務年度においては、45件(前事務年度82件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,015万円(同843万円)となっており、申告漏れ所得金額の総額は4億5千7百万円(同6億9千1百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は248万円(同170万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の221万円(同139万円)に比べ1.1倍となっています。また、追徴税額の総額は1億1千1百万円(同1億3千9百万円)に上ります。

(注) シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、暗号資産(仮想通貨)取引、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことをいいます。

○ シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人に対する調査状況
シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人に対する調査状況
○ 取引区分別の調査状況
取引区分別の調査状況

4 無申告者に対する調査状況
〜所得税の1件当たり追徴税額で過去最高〜

● 無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者に対しては、更なる資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています。

<所得税無申告者に対する調査状況>

  • 令和2事務年度においては、93件(前事務年度249件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,295万円(同1,876万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,180万円(同841万円)に比べ1.9倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は21億3千4百万円(同46億7千1百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は290万円(同242万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の221万円(同139万円)の1.3倍となっています。また、追徴税額の総額は2億7千万円(同6億1百万円)に上ります。

<消費税無申告者に対する調査状況>

  • 令和2事務年度においては、138件(同466件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの追徴税額は200万円(同199万円)で、消費税の実地調査(特別・一般)全体の87万円(同87万円)の2.3倍と高水準となっています。また、追徴税額の総額は2億7千7百万円(同9億2千9百万円)に上ります。
○ 無申告者に対する調査状況
無申告者に対する調査状況

V 参考計表

○ 事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種
事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種
(注) 1  上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果である。
2  「前年の順位」は、事業所得を有する個人の前年の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位20位に該当するものについて、その順位を記載している。
(付表)事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種
事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種

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