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- 公立病院に勤務する医師に貸与される研究資金等の課税上の取扱いについて
別紙
- 1 事前照会の趣旨
- 当町は、医師の資質の向上及び確保等を目的として、「A町医師研究資金等貸与条例」及び「A町医師研究資金等貸与条例施行規則」(以下、これらを併せて「貸与条例等」といいます。」に基づき、当町の公立病院(以下「本件公立病院」といいます。)に勤務する医師に対して、その申請により研究資金及び就業支度金(以下「本件研究資金等」といいます。)を無利息で貸与する制度(以下「本件制度」といいます。)を実施しております。
また、本件研究資金等の貸与を受けた者(以下「本件被貸与者」といいます。)が一定の要件に該当することとなったときには、本件研究資金等の全額が免除されることになっているほか、一定の事由が生じたときには、町長の裁量により本件研究資金等の全部について返還を免除することとしています。
この場合の本件研究資金等の返還義務の免除による経済的利益(以下「本件債務免除益」といいます。)及び本件研究資金等の無利息貸付けによる経済的利益については、下記3のとおり取り扱われると考えてよろしいか照会いたします。
- 2 事実関係
-
- (1) 本件制度の対象者
本件制度に基づく研究資金の貸与は、本件公立病院に勤務する医師(医師法第16条の2第1項の規定による臨床研修を受けている医師は除きます。以下同じ。)であって、1年以上継続して勤務するものを対象として行われます。
また、新たに本件公立病院に着任した医師に対しては、研究資金のほかに、就業支度金が貸与されます。
- (2) 貸与額
貸与額については、貸与時の状況に応じて、次のとおりとなります。
- イ 研究資金
医師免許取得経過年数 |
研究期間に応じた1年当たりの研究資金額 |
1年間 |
2年間 |
3年間 |
5年目以下 |
1,000,000円 |
1,500,000円 |
2,000,000円 |
6年目〜15年目 |
2,000,000円 |
3,000,000円 |
4,000,000円 |
16年目〜25年目 |
2,500,000円 |
3,750,000円 |
5,000,000円 |
26年目〜30年目 |
3,000,000円 |
4,500,000円 |
6,000,000円 |
31年目〜35年目 |
3,500,000円 |
5,250,000円 |
7,000,000円 |
36年目以上 |
4,000,000円 |
6,000,000円 |
8,000,000円 |
- ロ 就業支度金
就業支度金の額は、1,000,000円以内の金額です。
- (3) 貸与期間
貸与期間は次のとおりとなっています。
- イ 研究資金は、貸与決定のときから研究期間が終了するまでの間(以下「貸与期間」といいます。)、毎年貸与されます。
- ロ 就業支度金は、本件公立病院の就業時に一括して貸与されます。
- (4) 本件研究資金等の返還免除
- イ 次に該当することとなったときは、本件被貸与者からの申請により、本件研究資金等の返還義務が免除されることとなっています。
- (イ) 研究資金
- A 貸与期間を継続して本件公立病院に勤務したとき
- B 貸与期間に死亡したとき又は公務に起因する心身の故障のため公務を継続することができなくなったとき
- (ロ) 就業支度金
本件公立病院の就業時から2年間継続して公務に従事したとき
- ロ 上記イ(イ)のBを除き、貸与期間に本件被貸与者が災害、疾病その他やむを得ない理由により公務を継続することができなくなったと認められる場合には、町長は、返還債務の一部を免除することができます。
- (5) 当町と本件公立病院の関係について
当町と本件公立病院の設置者との間で、本件制度についての資金的な補助又は助成等は存在せず、本件制度は当町の独自財源で行われています。
- (6) 当町と本件被貸与者との雇用関係
本件公立病院は当町が設置した病院ではなく、当町と本件公立病院に勤務する医師との間に雇用関係は存在しません。
- 3 事前照会者の求める見解となることの理由
-
- (1) 本件債務免除益について
本件研究資金等の返還義務は、上記2の(4)イのとおり、
勤務期間が貸与期間に達したとき、
勤務期間中に死亡したとき、又は
勤務期間中に公務に起因する心身の故障のため公務を継続することができなくなったと認められる場合には、本件被貸与者の申請により免除され、
災害、疾病その他やむを得ない理由により公務を継続することができなくなったと認められる場合には、町長の裁量により免除されることとなります。
これらの場合に受けることとなる本件債務免除益については、給与所得、一時所得又は雑所得のいずれかに該当すると考えられますが、次のとおり雑所得に該当すると考えます。
- イ 給与所得について
所得税法第28条第1項において、「給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」旨規定されています。
本件被貸与者と当町との間には雇用契約及びこれに準ずる関係はないことからすれば、本件債務免除益は給与所得には該当しないものと考えられます。
- ロ 一時所得について
所得税法第34条第1項において、「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう」旨規定されています。
上記イのとおり、本件被貸与者と当町との間には雇用契約及びこれに準ずる関係はないものの、本件債務免除益は、一定期間行う医療研究に行う必要な資金等として貸与したものにつき本件公立病院における一定期間の継続勤務を条件に受けるものであり、実費弁済的な性格を有するものであることからすれば、対価性のない一時の所得である一時所得には該当しないものと考えられます。
- ハ 雑所得について
本件債務免除益は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから雑所得に該当すると考えられます。
なお、医療研究に要した研究費用の合計額は、本件債務免除益に係る雑所得の金額の計算上、必要経費として控除するのが相当と考えられます。
- (2) 無利息貸付による経済的利益について
本件研究資金等の無利息貸付けによる経済的利益についても、本件債務免除益と同様に雑所得に該当すると考えます。
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