(別紙)

A社は、B社が適格合併によりC社から移転を受けた国内にある土地(以下「本件土地」といいます。)を適格現物分配によりB社から移転を受けることを予定していますが、本件土地の租税特別措置法第65条の7《特定の資産の買換えの場合の課税の特例》第1項の表の第9号の上欄の規定の適用上、その取得日がいつになるかについて、下記のとおり御照会申し上げます。

1 事前照会に係る取引等の事実関係

A社は、適格現物分配によりB社から本件土地の移転を受けた後、本件土地を平成24年中にX社に売却する予定です。
 本件土地は、元々、C社が平成3年12月25日に売買により取得したものを、B社が平成17年3月25日に適格合併(以下「本件適格合併」といいます。)によりC社から移転を受けたものです。
 また、A社は、本件土地をX社に売却した日を含む事業年度において、租税特別措置法第65条の7第1項の表の第9号の下欄に規定する買換資産に該当する資産を購入する予定です。

2 照会の要旨

上記1の事実関係において、A社が適格現物分配によりB社から移転を受ける本件土地を、租税特別措置法第65条の7第1項の表の第9号の上欄に規定する譲渡資産(「国内にある土地等、建物又は構築物で、当該法人により取得をされた日から引き続き所有されていたこれらの資産のうち所有期間が10年を超えるもの」)に該当すると解して差し支えないか御照会いたします。
 なお、照会の趣旨といたしましては、租税特別措置法施行令第39条の7第27項本文及び第1号において、租税特別措置法第65条の7第1項の表の第9号の上欄に規定する譲渡資産が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下「適格合併等」といいます。)により移転を受けた資産である場合には、当該資産は当該法人により、当該適格合併等に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人が当該資産の取得をした日において取得をされたものとみなす旨規定されているところ、本件土地は適格現物分配により移転を受けた資産であるため、本件土地は、A社により、「B社が本件土地の取得をした日」において取得をされたものとみなされますが、本件土地は、元々、C社が平成3年12月25日に売買により取得したものを、B社が平成17年3月25日に本件適格合併によりC社から移転を受けたものなので、「B社が本件土地の取得をした日」をいつとみるかについて疑義が生じたことから、本件の照会を行うものです。

【取引図】
照会の要旨に基づく取引を表した図

※ 本件土地の所有期間が10年を超えるかどうかの判定における本件土地の取得日はいつか?

  • ・H3.12.25であれば所有期間が10年を超える→適用可
  • ・H17.3.25であれば所有期間が10年を超えない→適用不可

3 事前照会者の求める見解の内容及びその理由

(1) 法令の規定

イ 租税特別措置法第65条の7第1項抜粋
 法人が、昭和45年4月1日から平成26年3月31日まで(次の表の第9号の上欄に掲げる資産にあっては、平成10年1月1日から平成26年12月31日まで)の期間内に、その有する資産で同表の各号の上欄に掲げるものの譲渡をした場合において、当該譲渡の日を含む事業年度において、当該各号の下欄に掲げる資産の取得をし、かつ、当該取得の日から1年以内に、当該取得をした資産(以下「買換資産」という。)を当該各号の下欄に規定する地域内にある当該法人の事業の用に供したとき又は供する見込みであるときは、当該買換資産につき、その圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じて計算した金額の100分の80に相当する金額(以下「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその帳簿価額を減額することに代えてその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法により経理したときに限り、その減額し、又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

(上欄)譲渡資産 (下欄)買換資産
九 国内にある土地等、建物又は構築物で、当該法人により取得をされた日から引き続き所有されていたこれらの資産のうち所有期間が10年を超えるもの  国内にある土地等で一定の要件を満たすもの、建物、構築物若しくは機械及び装置又は国内にある鉄道事業の用に供される車両及び運搬具のうち政令で定めるもの

(注) 所有期間とは、その取得がされた日の翌日からこれらの資産の譲渡がされた日の属する年の1月1日までの所有期間とする(同項の表の第1号の上欄)。

ロ 租税特別措置法施行令第39条の7第27項抜粋
 上記イの表の上欄に規定する土地等、建物又は構築物が次の各号に掲げる資産である場合には、当該資産は、当該法人により当該各号に定める日において取得をされたものとみなして、同表の上欄の規定を適用する。

一 適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下「適格合併等」という。)により移転を受けた資産 当該適格合併等に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人が当該資産の取得をした日

(2) 本件土地の取得日について
 租税特別措置法第65条の7第1項の表の第9号の上欄の規定の適用上、適格現物分配により移転を受けた資産については、当該適格現物分配に係る現物分配法人が当該資産の取得をした日において当該法人(被現物分配法人)により取得をされたものとみなすとされている(措令39の727)。
 この場合において、当該資産が、当該適格現物分配が行われた日前に行われた適格合併等により当該現物分配法人に移転したものであったときは、租税特別措置法施行令第39条の7第27項の「現物分配法人が当該資産の取得をした日」がいつになるのかについては、明文の規定がない。このため、当該適格合併等による取得日の引継ぎはないとも考えられるところである。
 しかしながら、企業組織再編税制においては、適格合併等により移転した資産等については、その帳簿価額による引継ぎをしたものとして基本的に従前の課税関係を継続させるという考え方がとられており、特定の資産の買換えの場合の課税の特例制度においても、このような考え方を踏まえ、所有期間が10年超か否かの判定に際しては、適格合併等により資産の移転が行われた場合の取得日の引継ぎが認められていると解される。このことからすれば、適格合併等により対象資産の帳簿価額による引継ぎが行われた後、更に適格合併等により当該資産の帳簿価額による引継ぎが行われたような場合にあっては、その引継ぎの都度、取得日の引継ぎが認められると解するのが相当である。
 これを本件についてみれば、まず、A社がB社から適格現物分配により移転を受けた本件土地について、A社は「B社が本件土地の取得をした日」において本件土地を取得したものとみなして、同号の上欄の規定が適用されることとなる。そして、この場合の「B社が本件土地の取得をした日」については、B社が本件適格合併により本件土地の移転を受けたものであることから、本件適格合併に係る被合併法人C社が本件土地の取得をした平成3年12月25日に取得したものとみなされることとなる。