(別紙)

当社は、合併を行うことを予定していますが、当該合併(適格合併に該当します。)により被合併法人から移転を受けた減価償却資産に係る法人税法施行令第48条の2第1項第2号ロ(定率法)の規定の適用について、下記のとおり御照会申し上げます。

1 事前照会に係る取引等の事実関係

(1) 事実関係

 本件照会の前提となる事実関係は、次のとおりである。

  • 丸1 A社(3月決算)及びB社(3月決算)は、A社を合併法人、B社を被合併法人とする吸収合併を行うことを予定している(なお、当該合併は法人税法第2条第12号の8に規定する適格合併に該当する。)。
  • 丸2 合併期日は、平成24年10月1日とする。
  • 丸3 被合併法人から合併法人に引き継がれる減価償却資産(以下「移転資産」という。)及び移転資産に係る被合併法人が計上した各事業年度の償却の額は、次のとおりである。
     なお、移転資産に対する償却方法は、定率法によるものであり、被合併法人が計上した償却の額は、税務上の償却限度額と一致している。
    購入価額 取得日 法定耐用年数 定率法の償却率
    2,700,000円 H22.8 5年 0.500
    《各事業年度における償却の額》
    23/3期 2,700,000円×0.5×8/12=900,000円
    24/3期 (2,700,000円−900,000円)×0.5×12/12=900,000円
    24/9期 (2,700,000円−900,000円−900,000円)×0.5×6/12=225,000円
  • 丸4 合併法人における上記丸3の移転資産に対する償却方法は、定率法による。

(2) 平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産に対する償却方法のうち、定率法とは、当該減価償却資産の取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入された金額(以下「既償却額」という。)がある場合には、当該金額を控除した金額)にその償却費が毎年一定の割合で逓減するように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額(・・・省略・・・)を各事業年度の償却限度額として償却する方法(下記算式参照)とされている(法令48の2丸1二ロ)。

〔算式〕
定率法による償却限度額=(取得価額−既償却額)×償却率

(3) また、適格合併における移転資産の場合、上記(2)の「当該減価償却資産の取得価額」は、次に掲げる金額の合計額とされているところである(法令54丸1五)。

丸1 当該適格合併に係る被合併法人が当該適格合併の日の前日の属する事業年度において、当該資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額(以下「原始取得価額」という。)

丸2 当該適格合併に係る合併法人が当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

このように適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る償却限度額の計算は、被合併法人の原始取得価額をその計算の基礎とすることとされているところである。

2 照会の要旨

 適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る償却限度額の計算を行う場合の既償却額には、被合併法人において償却の額として損金の額に算入した金額を含むと解してよいか。
 なお、この方法により、合併法人であるA社の平成25年3月期に係る移転資産の償却限度額を計算すると、次のとおりである。

(2,700,000円−900,000円−900,000円−225,000円)×0.5×6/12=168,750円

(注) 上記1(2)に記載する定率法による償却限度額の計算において、取得価額から控除される既償却額については、「既にした償却の額で各事業年度の所得の金額・・・・の計算上損金の額に算入された金額」(法令48の2)と規定されており、合併法人の移転資産に係る償却限度額の計算において、合併前においては別人格を有する被合併法人における償却の額を「既にした償却の額」に含めて良いか疑義が生じたため本件の照会を行うところである。

3 事前照会者の求める見解の内容及びその理由

  • (1) 適格合併により移転を受けた減価償却資産に係る償却限度額の計算については、上記1の(2)及び(3)に記載のとおり、被合併法人における原始取得価額をその計算の基礎とし、また、既償却額を当該取得価額から控除することとされているところである。
  • (2) この取得価額から控除する既償却額とは、既にした償却の額で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額と規定されているに過ぎず、被合併法人における償却の額を含むかどうか明らかでないようにもみえる。
  • (3) しかしながら、上記1の(2)及び(3)に記載のとおり、適格合併に係る合併法人における償却限度額の計算において、被合併法人の原始取得価額を基礎とするということは、原則として、被合併法人の償却計算を合併法人に引き継ぐことであり、被合併法人において損金の額に算入した償却の額は、合併法人において損金の額に算入した償却の額として、合併法人における償却限度額の計算を行うこととなる。
  • (4) したがって、例えば、合併法人における平成25年3月期の移転資産に係る償却限度額の計算に当たっては、被合併法人の平成23年3月期から平成24年9月期までにおいて償却の額として損金の額に算入された金額である2,025,000円(900,000円+900,000円+225,000円)が既償却額に含まれることとなる(平成25年3月期は、合併の日を含む事業年度であるため、被合併法人において償却の額として損金の額に算入された金額と既償却額は一致する。)。

4 参考

仮に、本件照会の場合において、移転資産に係る合併法人の平成25年3月期の償却限度額を計算する際の既償却額に、被合併法人の最後事業年度の償却の額(225,000円)を含めないこととしたときには、その償却限度額は225,000円(注1参照)となり、被合併法人の最後事業年度の償却額(225,000円)との合計額が、本件の合併が生じなかった場合の被合併法人の平成25年3月期における償却限度額の450,000円(注2参照)と一致し、合理的とも考えられる。
 しかしながら、合併法人における移転資産に係る償却限度額の計算においては、上記3に記載のとおり既償却額に被合併法人において損金の額に算入した償却の額を含むと解され、被合併法人の償却の額のうち最後事業年度の償却の額を含まないとしていない。
注1:(2,700,000円−900,000円−900,000円)×0.5×6/12=225,000円
注2:(2,700,000円−900,000円−900,000円)×0.5=450,000円