沖縄国税事務所主任鑑定官は、独立行政法人酒類総合研究所と共同で調査研究を行い、次世代泡盛「尚」に採用された三回蒸留製法の特長を見出しました。

次世代泡盛「尚」の背景について

令和元年10月に、泡盛メーカー若手技術者が中心となり開発された12社共同ブランド次世代泡盛「尚」が発売されました。
 この「尚」の製造には、通常の泡盛では蒸留を一回のみ行うところを、さらに二回蒸留を繰り返す製法が用いられています。「尚」はカクテルに用いやすい特長を目指して開発され、甘い風味と後味のキレの良さがありますが、なぜそのような特長を有するかは明らかになっていませんでした。
 沖縄国税事務所では、独立行政法人酒類総合研究所と共同で試験蒸留や市販の「尚」の成分分析から、この三回蒸留製法による泡盛含有成分の挙動について研究を行いました。

結果のポイント

  • 二回目以降の蒸留では、成分の種類により留出する挙動が異なる
  • この結果、蒸留を繰り返すと、濃縮される成分と減少する成分がある
  • 果物の風味である各種エステル類は濃縮される
  • 花様や煙、燻製を感じさせる成分は除去される
  • 辛味、苦味を感じる成分は減少傾向にある

論文情報

論文名: 3回蒸留泡盛の再留工程における香気成分の蒸留挙動と製品特性
著者 : 長船行雄※1、利田賢次※1、韓錦順※1、磯谷敦子※1、宮本宗周※3
相澤常滋※2、向井伸彦※1 ※1 酒類総合研究所 ※2 沖縄国税事務所 ※3 在上海総領事館
掲載誌: 日本醸造協会誌(J. Brew. Soc. Japan. vol. 117, No. 2, p. 111〜130(2022))